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 「温暖化対策基本法案」を閣議決定
 政府は12日、2020年までに1990年比25%減とする温室効果ガス削減の中期目標を明記した「地球温暖化対策基本法案」を閣議決定した。今国会での成立を目指す。

 小沢鋭仁環境相は同日の閣議後会見で、法案がまとまったことについて「25%減目標実現に向けて大きな一歩を踏み出すことができた」と述べた。

 一方、法案に「原子力発電の推進」が盛り込まれたことに対し、社民党党首の福島瑞穂消費者・少子化担当相は同日の閣議後会見で、「納得し切れていないところもある。社民党としては新たな原発建設には反対で、その点はまったく変わっていない」と述べた。(毎日新聞 2010年3月12日) 

 政府の地球温暖化に対する方向性を示した法案がつくられ、閣議決定した。どんな内容がポイントなのだろうか?

 総量規定方式・原単位方式とは?
 まず、今回話題になったのは「総量規定方式」か「原単位方式」かという言葉。企業などの二酸化炭素(CO2)排出量に上限を設け、その過不足分を取引できる排出量取引制度をめぐっては、環境省や外務省が、国が企業ごとの排出量を決める「総量方式」を主張していた。

 これに対し、一部産業界や労働組合の意向に沿って経済産業省は、生産量当たりの排出量に上限を設ける「原単位方式」を求めた。排出効率を上げて上限を守ったとしても、生産量が増えれば、総排出量も増える懸念があるからだ。

 小沢鋭仁環境相は「環境と経済成長の両立という観点から排出量をコントロールしたい」と述べ「総量規制方式」を基本としつつ、生産量当たりの排出量に上限を設ける「原単位方式」も検討する、産業界に配慮した姿勢を見せた。

 地球温暖化対策基本法案概要
 次に、地球温暖化対策基本法案の概要を述べたい。まず、数値目標であるが「2020年までに1990年比25%削減」の中期目標を、「全主要国が公平で実効性ある国際枠組みで、意欲的な目標を合意した場合」との前提付きで明記。2050年までの長期目標は1990年比80%減とした。

 原子力発電については、発電時に温室効果ガスを出さないため「温暖化対策に必要不可欠」とする直嶋経産相の意見と、脱原発を掲げる社民党の意見が対立していたが、温室効果ガス削減目標の達成に欠かせない手段として推進することで落ちついた。

 ほかに、地球温暖化対策税(環境税)を2011年度から実施することや、太陽光・風力などの再生可能エネルギーを電力会社が一定価格で買い取る制度の創設も盛り込まれた。

 地球温暖化対策基本法案の目的・第一条
 第一条 この法律は、気候系に対して危険な人為的干渉を及ぼすこととならない水準において大気中の温室効果ガスの濃度を安定化させ地球温暖化を防止すること及び地球温暖化への適応を図ることが人類共通の課題であり、国際的協調の下にこれらの課題に取り組むことが重要であることにかんがみ、豊かな国民生活を実現しつつ温室効果ガスの排出量の削減を達成することができ、かつ、地球温暖化への適応をすることができる社会の構築を図るため、環境基本法(平成五年法律第九十一号)の基本理念にのっとり、地球温暖化対策に関し、基本原則を定め、並びに国及び地方公共団体の責務等を明らかにするとともに、温室効果ガスの排出量の削減に関する中長期的な目標を設定し、国内排出量取引制度、地球温暖化対策税及び固定価格買取制度の創設、革新的な技術開発の促進等について定めることにより、新たな産業の創出及び就業の機会の拡大を通じて経済成長を図りつつ地球温暖化対策を推進し、もって地球環境の保全並びに現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的とする。

 地球温暖化の定義・第二条
 第二条 この法律において「地球温暖化」とは、人の活動に伴って発生する温室効果ガスが大気中の温室効果ガスの濃度を増加させることにより、地球全体として、地表、大気及び海水の温度が追加的に上昇する現象をいう。

 この法律において「温室効果ガス」とは、次に掲げる物質をいう。
一 二酸化炭素
二 メタン
三 一酸化二窒素
四 ハイドロフルオロカーボンのうち政令で定めるもの
五 パーフルオロカーボンのうち政令で定めるもの
六 六ふっ化硫黄

 この法律において「新エネルギー等」とは、次に掲げるエネルギーをいう。
一 太陽光
二 風力
三 地熱
四 水力(政令で定めるものに限る。)
五 バイオマス(動植物に由来する有機物であってエネルギー源として利用することができるもの(原油、石油ガス、可燃性天然ガス及び石炭並びにこれらから製造される製品を除く。)をいう。)を熱源とする熱
六 太陽熱
七 その他政令で定めるエネルギー

 温室効果ガスや新エネルギーにはさまざまなものがあるが、主要なものを中心にスッキリとまとめてある。

 

参考HP 温暖化対策基本法案「PDFファイル 

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