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 プルサーマルとは何か?
 政府の温暖化対策の支援を受け、原子力発電計画がすすめられている。原子力発電所を増やすのは、狭い日本では難しい。同時に発電効率を上げる努力も必要だ。その一つの技術がプルサーマル計画だ。

 原子力発電所で使い終わった核燃料からプルトニウムという物質を取り出し、ウランと混ぜて、再び原発の燃料として使うことさ。この燃料はMOX燃料という。

  本来、原子力発電の燃料はウラン。その燃えかすには、燃え残りのウランと、ウランが中性子を吸収してできたプルトニウムと、放射性物質が含まれている。

  プルトニウムは原子爆弾などの核兵器をつくれる、とても危険な物質。プルサーマルとは、余ったプルトニウムをうまく燃やしてエネルギー源に活用しようという一石二鳥をねらった計画である。 

 プルサーマル発電第2号起動
 今回、国内2例目のプルサーマル発電に向け、四国電力は 3月1日午後、伊方原発3号機(愛媛県伊方町、加圧水型、出力89万キロワット)の原子炉を起動させた。2日朝、核分裂の状態が一定となる「臨界」を迎え、4日に発電を、30日に営業運転を始める。起動は2月下旬の予定だったが、同機で昨年11月に起きた微量の放射能漏れの原因究明のため約1週間遅れた。

 今年1月に定期検査で運転を停止し、2月9〜12日にMOX(ウラン・プルトニウム混合酸化物)燃料16体を取り付けていた。

 プルサーマル発電は、使用済みウラン燃料からプルトニウムを抽出して製造するMOX燃料を通常の軽水炉で燃やす発電方式。同じMOX燃料を使う高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)が1995年のナトリウム漏れ事故で長期停止中のため、プルトニウム利用の“つなぎ役”から当面の“本命”に浮上した。

 1997年に推進が閣議了解され、電気事業連合会も10年度までに全国16〜18基の原発で実施する計画を立てた。しかし、東京、関西電力でMOX燃料の検査データ改ざんなどが発覚して計画が中断。大きなトラブルのない後発の九州電力が玄海原発3号機(佐賀県玄海町)で昨年11月、全国初のプルサーマル発電を始め、同様に地元との関係が良好な四電が続くことになった。

 全国的には当初計画通りに進んでおらず、電事連は昨年、16〜18基の原発への導入目標時期を5年間先送りしている。(毎日新聞 2010年3月1日)

 第1号は九州電力玄海原発
 原子力発電所で燃やした核燃料を再処理してもう一度原発で使う、日本初のプルサーマル発電が2009年11月9日、佐賀県玄海町の九州電力玄海原発で始まった。国は核燃料をリサイクルして使う計画(核燃料サイクル)を進めており、プルサーマルはその一つ。しかし、核燃料サイクルはトラブル続きで、国民の不信は根強い。

 プルサーマルとは、熱中性子(thermal neutron)によりプルトニウムを核分裂反応させて発電を行う原子炉のことを指す。なおプルサーマルとはプルトニウムのプルとサーマルリアクター(軽水炉)のサーマルを繋げた和製英語(plutonium thermal use)である。

 通常の軽水炉との違い
 通常、軽水炉ではウラン235とウラン238を混合したウラン燃料(二酸化ウラン)を核分裂させることで熱エネルギーを生み出すが、ウラン238が中性子を吸収することによりプルトニウム239が生成され、そのプルトニウム239自体も核分裂する。

 その結果、発電量全体に占めるプルトニウムによる発電量は平均約30%となる(プルサーマル発電を行わない場合でも、運転中の軽水炉の中にはプルトニウムが存在し、ウラン同様に発電に利用されていることに注意)。

 それに対しプルサーマルではMOX燃料と呼ばれるウラン238とプルトニウムの混合酸化物(Mixed Oxide)を燃料として使用する。プルサーマルで使われるMOX燃料はプルトニウムの富化度(含有量)が4〜9%であり、MOX燃料を1/3程度使用する場合、発電量全体に占めるプルトニウムによる発電量は平均50%強となる。

 なお高速増殖炉でもMOX燃料が使用されるが、プルトニウムの富化度は20%前後である。日本においてもプルサーマルの開始に向けて国による安全審査や地元の事前了解が進んでいたが、住民投票による反対(新潟県)などにより、計画は遅れていた。他の反対の事例としては、佐藤栄佐久福島県知事(当時)が、発電所から距離のある地域を含めた県全体の観点や自身の戦略等から、地元の意向を別に強く反対してきた、といったことがある。

 今後のプルサーマル発電
 2006年3月に九州電力の玄海原子力発電所3号機で実施したいとの電力会社からの申し入れに、古川康佐賀県知事は事前了解を出した。また2008年1月には福井県の西川一誠知事が高浜原子力発電所の3、4号機で2010年までにプルサーマル発電を実施する計画に事前了解を、静岡県の石川嘉延知事が浜岡原子力発電所でのプルサーマル発電に事前了解を出すなど、地元の同意も背景に、プルサーマル発電計画は着実に実施されている。

 現在までに合意が成立しているプルサーマル発電計画
九州電力(株) 玄海原発3号機 2009年11月9日起動
四国電力(株) 伊方原子力発電所3号機 2010年3月1日起動
中部電力(株) 浜岡原子力発電所4号機 2010年度から導入予定
関西電力(株) 高浜原子力発電所3号機および4号機 2010年度から導入予定
中国電力(株) 島根原子力発電所2号機
北海道電力(株) 泊原子力発電所3号機

 現在計画中のプルサーマル発電計画
 東北電力(株) 女川原子力発電所3号機 2015年度までに導入を目指している。
 プルサーマル計画の進捗状況は、核燃料の検査データ不正や原発事故により、当初の計画が10年以上遅れている。

 

 参考HP Wikipedia「プルサーマル」「MOX」  

プルトニウム
ジェレミー バーンシュタイン
産業図書

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プルトニウム発電の恐怖―プルサーマルの危険なウソ
小林 圭二,西尾 漠
創史社

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