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 ラミダス猿人
 昨年、話題になった科学ニュースの中に「ラミダス猿人の復元」がある。「ラミダス猿人は」東京大総合研究博物館の諏訪元教授らの研究グループが、約440万年前の人類、アルディピテクス・ラミダス(ラミダス猿人)の化石から全身像を復元することに成功し、生活の様子が明確になった。この人類は二足歩行をしていたらしい。

 化石は、「アルディピテクス・ラミダス」という種類の人類で「アルディ」と名づけられた。身長1メートル20の女性で、全身骨格としては最古。サイエンス誌は「化石が発見されたのは1994年だが、47人の研究者が10年以上かけて詳細に分析した」とねばり強い研究を評価した。しかし「アルディ」は猿人、人類の遠い祖先にあたる。

 人類の起源
 人類の祖先として、時代によって猿人、とか旧人、原人、新人とか言った言葉をよく聞くが、人類というとどの時代のものを言うのだろうか?

「ラミダス猿人は」東京大総合研究博物館の諏訪元教授らの研究グループが、約440万年前の人類、アルディピテクス・ラミダス(ラミダス猿人)の化石から全身像を復元することに成功したもので、二足歩行をしていた人類としては世界最古のものとして注目されている。

 人類とは生物の中で直立二足歩行が可能な存在。人類の進化は、アウストラロピテクスとよばれる猿人に始まった。彼らは400万〜500万年前に現われ、150万年目には姿を消してしまった。アウストラロピテクスは、直立2足歩行をするようになった初めての生物であった。

 160万〜150万年前には、脳が大きくなり、歯が小型になったホモ・エレクトゥスが現われた。原人ともいわれる。ホモ・エレクトゥスも、はじめはそれまでのヒトの祖先と同じくアフリカの東部と南部だけで生活をしていたが、100万年前くらいからユーラシア大陸へと移動していった。

 30万〜20万年前に、ホモ・エレクトゥスはホモ・サピエンスへと進化した。旧人である。ホモ・サピエンスは“知性あるヒト”という意味で、彼らは当時のきびしい氷河期の中でも効率よく食料を獲得することができた。また人類史上初めて死者に花を添えるなどして弔う習慣ができた。ホモ・サピエンスが現代人類の直接の祖先である。

 未知の人類「デニソワ人」
 約4万年前にロシア南部で未知の人類が暮らしていた可能性の高いことが、独マックスプランク研究所などの分析で分かった。発見された地名からデニソワ人と命名された。約104万年前に現生人類やネアンデルタール人と共通の祖先から枝分かれし、独自に進化したらしい。3月25日付の英科学誌ネイチャー電子版に発表した。

 研究チームは、ロシア南部のアルタイ山脈にあるデニソワ洞穴で見つかった指の骨片を分析した。細胞内の小器官「ミトコンドリア」からDNAを取り出し、塩基配列を特定、現生人類やネアンデルタール人、チンパンジーなどと比較した。その結果、骨片は約104万年前に現生人類やネアンデルタール人と共通の祖先から枝分かれした新しい人類のものと結論づけた。骨片が出土した地層の年代が4万8000〜3万年前だったことから、4万年前まで存在していたことも判明した。

 人類の起源はアフリカと考えられている。約190万年前、猿人から進化した原人がアジアへ移動。原人は、約47万年前にネアンデルタール人の祖先と現生人類の祖先にそれぞれ進化したとされている。チームは「未知の人類はユーラシア大陸で、他の人類の祖先と近接して共存していたようだ」としている。(毎日新聞 2010年03月26日)

 さまざまな人類の祖先たち
 ホモ・ローデシエンシス:ホモ・ローデシエンシスは30万から12.5万年前に生きていた。アルカイック・ホモ・サピエンスやホモ・サピエンス・ローデシエンシスのような呼称も提案されたが、多くの研究者はローデシア人がホモ・ハイデルベルゲンシスの仲間に含まれると考えている。
 
 2006年2月におそらくホモ・エレクトゥスとホモ・サピエンスの中間か、その近くの行き止まりにいた種のものと思われる頭骨の上部がエチオピアのGawisから発見された。このGawis頭骨は50万から25万年前のものと推測されている。大まかな概要だけは知られているが、発掘チームは査読付き論文として発表していない。頭骨の特徴は彼らが中間種であるか、ボド・マンの女性のものであるかを示している。
 
 ホモ・ネアンデルターレンシス:ネアンデルタール人は25万から3万年程前まで生きていた。ネアンデルタール人が独立した種ホモ・ネアンデルターレンシスか、ホモ・サピエンス・ネアンデルターレンシスとしてホモ・サピエンスの中に含まれるべきかは議論が継続中であり結論は出ていない。ミトコンドリアDNAの配列の証拠は大規模な遺伝子流動がネアンデルタール人と人類の間で起こらなかったことを示す。従って、それに基づけば二つの種は66万年ほど前に祖先を共有した異なる種である。

 1997年にペンシルベニア州立大学人類学の准教授マーク・ストーンキングはこう述べた:「これらの(ネアンデルタール人の骨から抽出されたミトコンドリアDNAに基づく)結果はネアンデルタール人がミトコンドリアDNAを現代人に与えなかったことを示している。......ネアンデルタール人は我々の祖先ではない」。ネアンデルタール人のDNAの配列研究もこの結果を支持した。多地域進化説の支持者は最近の非アフリカ人の核DNAが100万年前まで遡る可能性を示す研究を指摘する。しかしこの研究の信頼性は疑われている。

 ホモ・サピエンス:現生人類のホモ・サピエンス(サピエンスは賢い、知的を意味する)は25万年前から現在まで生きている。40万年前から25万年前の中期更新世の第二間氷期までの間に、彼らには頭骨の拡張と石器技術の精巧さが発達する傾向が見られ、ホモ・エレクトゥスからホモ・サピエンスへの移行の証拠を残した。

 直接の証拠は、ホモ・エレクトゥスがアフリカから他の地域へ移住し、その間にアフリカで種分化が起き(アフリカのどこで起きたかについてはほとんど証拠がない)エレクトゥスからホモ・サピエンスが分かれたことを示唆する。

 それから、アフリカとアジア、ヨーロッパでエレクトゥスがホモ・サピエンスに入れ替わった。このホモ・サピエンスの移動と誕生のシナリオは単一起源説(アフリカ単一起源説)と呼ばれる。

 ホモ・サピエンス・イダルトゥはエチオピアから発見されており、16万年前頃生きていたと考えられる。それは亜種として扱われてはいるが、解剖学的には現代人であり、知られているなかでもっとも古い現代人である。

 ホモ・フローレシエンシス:ホモ・フローレシエンシスはおよそ10万から1.2万年前に生きていた。彼らはその小ささ(おそらく島嶼化による)から「ホビット」とあだ名を付けられている。ホモ・フローレシエンシスはその大きさと年齢から、実際に最近まで生きていた現生人類と共通しない特徴を持つホモ属の興味深い例と考えられている。

 すなわち、いつの時点かで現代人と祖先を共有するが、現代人の系統とは分かれて独自の進化の過程をたどった。主要な発見は、30歳程度の女性と思われる骨格である。2003年に発見され、1.8万年前のものと見積もられた。ホモ・フローレシエンシスの生きている女性は身長1メートル、脳容量は380cm3でチンパンジー並みに小さく、現代人女性の1400cm3の三分の一程度であると推測されている。

 しかしホモ・フローレシエンシスが本当に別の種であるかは未だ議論が続いている。 一部の科学者は小人症を患ったホモ・サピエンスであると考えている。この仮説はフローレス島に住む現代人が小柄であるために、ある程度説得力がある。小柄さと小人症によって本当にホビットのような人が生まれた可能性はある。別種説への他の主要な反論は、現生人類と関連した道具類とともに発見されたという点である。

 

参考HP Wikipedia「人類の進化」・アイラブサイエンス「ラミダス猿人 

人類進化の700万年 (講談社現代新書)
三井 誠
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人類の足跡10万年全史
スティーヴン オッペンハイマー
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