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 骨髄の造血幹細胞
 白血病などの血液の病気を治療するためには、造血幹細胞の移植が有効である。造血幹細胞は、あらゆる血球系細胞(赤血球、白血球、リンパ球、血小板のもとになる巨核球など)に分化できる幹細胞であり、骨髄に多く見られるのがわかっている。

 通常は骨髄バンクに登録してある人から、血液型の合う人を見つけ出し、その人の腸骨から骨髄液をもらって、必要な患者に静脈輸血することで、移植は完了する。骨髄バンクはいつでも患者に骨髄液を提供できるように、1991年(平成3年)12月に設立された。

 骨髄バンクには名前さえ登録してあればよく、事前に血液を採取・保存する必要はない。血液型が一致して、候補になることも数年に1度あるかないか。問題は、骨髄液を採血するのに痛みを伴い、4日ほど入院するなど提供者への負担が大きいことだった。

 さい帯にも造血幹細胞
 ところが造血幹細胞は骨髄だけでなく、分娩時に採取される赤ちゃんのへその緒や胎盤に残った血液・さい帯血の中にも多く含まれていることがわかり、これをとっておき冷凍保存すれば、赤ちゃんの血液型に一致するから本人のためにもなる。

 1995年に神奈川に最初のバンクが設立され、1999年(平成11年)8月には日本さい帯血バンクネットワークが発足、公的なバンク事業が始まった。同ネットワークによると、23日現在、全国で3万2783人分が保存されており、必要に応じて医療機関への供給などを行っている。

 さい帯血バンクの経営危機!
 白血病患者への移植治療などに用いられる、さい帯血を管理する「日本さい帯血バンクネットワーク」加盟のNPO法人「宮城さい帯血バンク」(理事長・里見進東北大病院院長)が経営危機に陥っていることが23日、分かった。同日の臨時総会で、11年度以降は事業継続が困難として、事業譲渡も含めて検討する方針を会員に示した。全国11カ所にある公的さい帯血バンクの経営危機が明らかになるのは初めて。

 東北大内に事務局を置く「宮城さい帯血バンク」は2000年に業務を開始。今年2月末までに計94本のさい帯血を骨髄性白血病患者らに供給した。現在は1028本のさい帯血を冷凍保存している。

 同バンクによると、運営には職員4人の人件費に加え、感染症などの各種検査費用を合わせた年間約3000万円が必要。一方、収入の大半を占める国からの補助金は、さい帯血の採取数などに応じて定額を各バンクに配分する仕組みで、同バンクに対する2008年度の支給額は1600万円、2009年度は2268万円だった。

 さい帯血の供給1件につき約17万円支払われる診療報酬も、2009年度は約200万円にとどまった。会費やチャリティーコンサートの開催で資金繰りに努めているのが現状で、年間約1000万円の赤字が続いているという。

 補助金頼みも限界
 公的なさい帯血バンクは、収入源の大部分を国の補助金に頼るなど、宮城に限らず厳しい運営を続けている。

 全国のバンクのさい帯血保存状況を一元管理する日本さい帯血バンクネットワーク(東京都港区)によると、移植のための患者負担はなく、補助金のほか、移植手術による診療報酬の一部や寄付金などでまかなっているのが現状という。一方で累積移植症例数は、1997年に初移植後、2003年に1000例を超し、今年2月末現在には計6103例と増加傾向にある。

 同ネットワークの野村正満監事は「白血病など重い血液病患者への移植など社会のニーズは高いが、どのバンクも大きな赤字を抱えており、いつ事業を断念してもおかしくない危機的状況。このままでは、移植を受ける患者に費用負担を求めざるを得なくなってくる」と話す。(毎日新聞 ‎2010年3月23日)‎

 骨髄バンクとは何か?
 骨髄バンク(Marrow Donor Program)とは、白血病などの血液疾患の治療として造血幹細胞移植(特に「骨髄移植」)が必要な患者のために、血縁関係のない健康な人(非血縁者)から提供される「骨髄液」を患者に斡旋する仕組み及びその業務を担う公的機関のことをいう。

 骨髄には、あらゆる血球系細胞(赤血球、白血球、リンパ球、血小板のもとになる巨核球など)に分化できる造血幹細胞が存在する。マウスにおいては一個の造血幹細胞を移植することによって、すべての造血系細胞を再構成させることができることが証明されており、ヒトにおいても骨髄移植は白血病など造血系の疾患の根治的治療として有効である場合がある。

 造血機能を営んでいる骨髄は赤色を呈するため赤色骨髄(あるいは赤色髄)、造血機能を失い脂肪化している骨髄は黄色を呈するために黄色骨髄(あるいは黄色髄)と呼ばれる。 造血を行う赤色骨髄は幼児期は全身の骨に存在するが、加齢と共に四肢の骨の造血機能は失われ、黄色骨髄に置き換わる。

 25歳を過ぎた成人では体躯の骨にほとんどの赤色骨髄が存在する。特に腸骨と胸骨に大量の赤色骨髄が存在する。骨髄細胞は血液の再生だけでなく、脳や心臓の細胞にも分化することがわかっていて、その再生治療にも使われるようになった。(参考:2007.11.05 NHKスペシャル「眠れる再生力を呼びさませ 〜脳梗塞(こうそく)・心筋梗塞(こうそく)治療への挑戦〜」)

 さい帯血バンクとは何か?
 さい帯血バンク(Cord Blood Bank)とは、白血病などの血液疾患の治療として造血幹細胞移植(特に「臍帯血移植」)が必要な患者のために、産婦から提供される臍帯血を患者に斡旋する仕組み及びその業務を担う公的機関のこと。

 日本においては「日本さい帯血バンクネットワーク」がバンク全体の連絡調整を担い、臍帯血の検査・保存、患者や提供者への対応などの実務は独立組織である各地の臍帯血バンク(2004年現在11団体)によって行われている。

 母親と胎児を結ぶさい帯と、胎盤の中に含まれる血液をさい帯血といいます。さい帯は出産後は不要となりますが、その血液中には骨髄と同様の、血液細胞を作り出すもとである「造血幹細胞」がたくさん含まれています。

 さい帯血の中には、赤血球、白血球、血小板などをつくりだす細胞(造血幹細胞)がたくさん含まれています。そのため、骨髄と同じように移植し、治療に役立てることができます。白血病など重い血液の病気や遺伝病など、現在は骨髄移植により治癒可能な病気の治療に用いられている。

 さい帯血バンクと骨髄バンクはどのように違うのだろうか?さい帯血バンクも骨髄バンクも、移植を必要とする患者さんのためにあり、共同で助け合いながら行うものです。しかし、その方法は随分異なる。

 さい帯血バンクには採取設備と、検査、保存・管理設備まで必要とし、かなり費用がかかる。これに対し、骨髄バンクはドナー登録さえしていればよく、患者が必要になったとき、骨髄を採取・即輸血するだけでよいので、保存・管理に予算を必要としない。 

参考HP 骨髄バンク http://www.jmdp.or.jp/・さい帯血バンクhttps://www.j-cord.gr.jp/ 

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