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 COP16とCOP10
 メキシコで行われるCOP16では、温室効果ガス削減目標が決まらず、先行き不透明な感じである。今年10月に名古屋で行われる、COP10とは、日本で初めて開催される生物多様性条約第10回締約国会議のことである。

 こちらの会議では、国や開催地の愛知県などは、会議で排出される温室効果ガスCO2を「排出権」の購入で相殺し、実質的にCO2の排出ゼロを目指す方針を決めた。約190カ国から約8000人が会議のために利用する飛行機の排出量など関係するすべてのCO2が対象。生物多様性をアピールするため、佐渡島のトキの生息域保護をうたう排出権も活用する。

 CO2排出削減事業などで生じた排出権を購入し、排出分を相殺する「カーボンオフセット」と呼ばれる手法。会議は半年後に迫り、国などが総排出量を急ピッチで算定中だ。



 会議の総排出量が対象
 国は、参加者の使う飛行機や会議の主会場となる名古屋国際会議場(名古屋市熱田区)で消費される電力などを担当。県と名古屋市は、関連イベントや参加者が中部地域を視察する際の車の排出分などをカバーする。

 外務省COP10日本準備事務局によると、国が扱う大部分は飛行機のCO2。参加者の来日ルートや人数を基に排出量を計算する「膨大な作業」になる。同事務局は「会議開催で環境に負荷をかけるが、単にお金で排出権を買うのでは意味がない。会議でのCO2排出を徹底的に削減した上で、残った分を国内外の排出権でまかなう」 県と名古屋市などでつくるCOP10支援実行委員会が受け持つCO2は約70トン。住民が家庭用太陽光発電で生み出した電力を購入し、C02換算で県と市が10トンずつを確保。残る50トンは国内の排出権で確保する方針だ。

 その一つとして検討されているのが新潟県農林公社の「トキの森クレジット」。トキ生息地の佐渡島の森林を間伐して活性化し、CO2吸収量が増えた分を排出権として1トン当たり2万〜3万円で販売しており、この排出権を購入する。(毎日新聞 4月10日)

 カーボンオフセットとは?
 カーボンオフセットは、2006年のサッカーワールドカップ・ドイツ大会や2008年の北海道洞爺湖サミットなどでも実施された。

 カーボンオフセット (carbon offset) とは、人間の経済活動や生活などを通して「ある場所」で排出された二酸化炭素などの温室効果ガスを、植林・森林保護・クリーンエネルギー事業などによって「他の場所」で直接的、間接的に吸収しようとする考え方や活動の総称である。

 カーボンオフセットを通して、二酸化炭素排出が実質ゼロになった状況をカーボンニュートラル、二酸化炭素をより多く相殺した場合をカーボンポジティブともいう。

 生物多様性条約とは?
 生物多様性条約とは、絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(ワシントン条約)やラムサール条約のように、特定の行為や特定の生息地のみを対象とするのではなく、野生生物保護の枠組みを広げ、地球上の「生物の多様性を包括的に保全する」ことを目的にする。また、生物多様性の保全だけでなく、「持続可能な利用」を明記していることも特徴の一つである。

 COP10とは、生物多様性条約締約国による10回目の会議。名古屋市で今年10月11〜29日に開催される。2002年の第6回会議で「10年までに生物多様性の損失速度を顕著に減少させる」とした「2010年目標」を設定。目標年となる今回は、その達成度を検証し、新たな目標を設定するのが最大の目的。生物多様性を測る具体的な指標はなく、客観的な指標が確立できるか注目される。

 「排出権」とは?
 排出権とは排出取引のことで、その方式は主に2種類ある。キャップアンドトレード(Cap & Trade)と、ベースラインアンドクレジット(Baseline & Credit)であるが、多くの排出量取引で前者が用いられている。そのため、「キャップアンドトレード」というように方式の名前で呼ぶことも多い。

 「キャップアンドトレード」とは、各国家や各企業ごとに温室効果ガスの排出枠(キャップ)を定め、排出枠が余った国や企業と、排出枠を超えて排出してしまった国や企業との間で取引(トレード)する制度である。

 一方「ベースラインアンドクレジット」とは、各主体(国や企業など)が実施する温室効果ガスの削減事業について,事業がなかった場合に比べた削減量をクレジット(排出権)として認定するもの。主体どうしでこのクレジットを取引する。

 

参考HP Wikipedia「排出権」「カーボンオフセット」 

図解 カーボン・オフセットのしくみ

中央経済社

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