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 火山噴火で欧州便多数欠航 
 アイスランドの火山が噴火して、ヨーロッパへ行く便やヨーロッパから出発する便に影響が出ている。日本の成田国際空港では4月17日、欧州便の欠航が拡大し、国内外の航空会社の旅客便計39便が運航を取りやめた。当初閉鎖されたイギリスに加え、ドイツやフランス、イタリアなど23カ国の空港も閉鎖され、新たにローマやモスクワ、チューリヒ便などが欠航した。

 航空券の再予約や払い戻しを求める乗客がチェックインカウンターに詰めかけ、航空会社の職員らは対応に追われた。ロビーには行き場を失った外国人旅行客が通路に座り込んだり、寝転んだりして途方に暮れる姿も。空港で一夜を明かす滞留客も発生しており、成田空港会社(NAA)や全日空などは、乗客の希望に応じて毛布や水などを提供している。

 飛行機の飛べないわけ
 どうして火山が噴火すると飛行機が飛べなくなるのだろう?

 現在、アイスランドの火山の噴火で巨大な火山灰の雲が広がっている。各国の航空当局がこうした極めて異例の措置を取ったのは、火山灰雲に含まれる岩やガラス・砂の微粒子がジェットエンジンを止めてしまう可能性があるからだ。

 「火山灰の中を飛行することが非常に危険であることは長年の定説だ」と、イギリス民間航空局の広報担当者リチャード・テイラー氏は話す。同氏は、1982年にブリティッシュ・エアウェイズのボーイング747型ジェット機がインドネシア上空で火山灰の中に突っ込み、エンジンが4基とも停止した事故を例に挙げ、「幸いなことにエンジンは再び動き出したが、非常に危険な行為であることは明らかだ」と説明する。

「燃焼機関は空気を吸い込むことで動き、動力を生みだす。火山塵(かざんじん)が航空機のエンジンの精密部品に入り込むと、さまざまな不具合を引き起こす可能性がある。砂嵐の中を走行する自動車と同じように、エンジン内部の部品を詰まらせることになる」。

 さらに、対気速度を測定するセンサーとして用いられるピトー管と呼ばれる装置を火山灰の浮遊粒子状物質が詰まらせてしまう。「火山灰でピトー管が詰まると計測値が正確に送られなくなり、飛行機が失速してもパイロットが飛行速度を把握できない事態になりかねない」。

 イギリス気象庁は火山灰情報センターを通じて火山灰雲の拡散状況を観測している。現在のところ、火山灰雲は18日頃までイギリス上空を漂い続けると予想されているが、火山灰は上空の高いところに留まると見られるため、地上に降り始める前にイギリス国外に出ていく可能性が高いと指摘されている。

 イギリス民間航空局のテイラー氏は、「火山は現在も噴火を続けているはずで、事態は長引く可能性がある」と話している。(National Geographic News April 16, 2010)

 アイスランド共和国とは?
 アイスランドというと、ずいぶん北の島国というイメージであるが、どんな国なんだろう?

 アイスランド共和国(通称アイスランド)は、北ヨーロッパ、北大西洋にある、美しいオーロラと火山と氷河の島国である。。首都はレイキャヴィーク。ヨーロッパといっても、イギリスよりもグリーンランドに近い。北海道と四国を合わせた程度の面積である。

 アイスランド本島は北緯63度から66度に位置し、国土の一部は北極圏にかかっている。しかし、冬の寒さはそれほど厳しくはなく、同緯度にあたるフィンランドやスウェーデンの北部の2月の最低気温の平均が氷点下20度近くであるのに対し、アイスランドは氷点下3度ほどである。

 これはアイスランドが火山島(世界最高緯度)であること(温泉も多い)、アイスランドを囲むようにして暖流(北大西洋海流)が流れていることなどに由来する。そのため、オーロラを観測することのできる地域の中では最も暖かい地域となっている。

 エイヤフィヤットラヨークトル火山
 あんなに北の国でも、比較的暖かいというのは不思議な話である。ところで今回のような噴火の話はあまり聞いたことはなかった。どんな火山が噴火したのだろう?

 噴火の熱したのは、エイヤフィヤットラヨークトル火山。4月14日、火山を覆っていた厚さ200メートルの氷塊が、みるみるうちに融けている。アイスランド大学地球科学研究所の地球物理学者パウッル・エイナルソン氏によると、融けた氷で洪水が起きる恐れがあるため、2回目の噴火の兆候が確認されると同時に近隣の住民約800人を避難させたという。

 当初、氷河が融けたことにより地元の河川の水位が最大3メートル上昇したとの報告もなされた。幹線道路の1本が封鎖され、水は現在も海へ激しく流れ込んでいるが、死者はない模様。

 この地域は、70万年ほど前より氷帽が火山(標高1,666 m)を覆っており、氷河期以来滅多にこの火山が噴火することはなかった。今回噴火する前は、1821年から1823年にかけての噴火がある。このときの噴火では同時に氷河湖決壊洪水も発生している。それよりも過去の噴火は1612年と920年に記録されている。 この火山の火口は直径は3 kmから4 kmあり、その周りを100 km²の氷河が覆っている。

 今回の噴火
 今回の噴火の兆候は2009年の12月クリスマスの頃から。火山性微動が観察された。2010年の2月には、近の地殻が3 cm南方に移動したことを指し示し、そのうちの1 cm分は4日以内で移動したことがわかった。この異常な地震活動とそれに伴う地殻変動は、エイヤフィヤットラヨークトル火山のマグマ溜まりにマグマが溜まりつつあり、その圧力により起きたもので、大規模な地殻変動が起こりつつあるという地球物理学者たちは予想した。

 地震活動はますます活発になり、同年3月3日から3月5日にかけては、火山を震源とする地震が3,000回も観測された。現地時間2010年3月20日午後10時30分から午後11時30分(UTC)にかけて、氷河の数 km東にあるフィムヴェルズハゥルス(Fimmvörðuháls)峠の北側の斜面で遂に噴火が起こり始めた。

 この時も、レイキャヴィーク空港及びケプラヴィーク国際空港を離着陸する航空機は欠航が相次いだ。翌3月21日の夜には国内線・国際線ともに復旧しており、地震学者は噴火は収束に向かうと予想したが、事態は簡単におさまらなかった。

 2010年4月14日から再び大規模な再噴火が起こった。主に炎と溶岩を噴出した3月の噴火とは異なり、火山灰は上空約1万6000mに達して南下し、イギリス北部に到達後、欧州北部と中部のほぼ全域に到達、18日にはスペイン北部に到達し、エンジン停止を避けるため18日には約30カ国で空港閉鎖となった。「9.11アメリカ同時多発テロ事件」を超える規模の歴史上例を見ない空路閉鎖である。(Wikipedia) 

 

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