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 2002年発見のクジラ化石
 群馬県立自然史博物館(富岡市)は4月16日、同県高崎市吉井町の鏑川から2002年に発見された化石が、新属新種のクジラと判明したと発表した。クジラは「ジョウモウケタス・シミズアイ」と名付けられ、論文は米専門誌に掲載された。

 化石は頭部や椎骨などでいずれも約1100万年前(後期中新世)の地層から見つかった。当時は水深180〜1800メートルの海だったとみられる。

 頭蓋(ずがい)の長さは約75センチで、体長は4メートル前後と推定される。現存するクジラと比べて頭部の骨の形が異なるなどの特徴があるという。

 同博物館が既存の化石や標本などと比較した結果、化石はヒゲクジラ類の絶滅したケトテリウム科の新属と確認。群馬県の古い呼び名である上毛と発見者の同県桐生市のみどり市役所職員清水勝(41)さんにちなんで命名された。

 清水さんは中学生のころから化石採集に興味を持ち、この化石は出勤前の早朝に出かけた際に発見。1時間余りで運び出したという。

 国内ではこれまで、1984年に広島県で「ヒバケタス・ヒロセアイ」、1994年に三重県で「イサナケタス・ラティセファルス」と名付けられた新属新種のクジラの化石が見つかっている。

 今回発見された化石は、身体の特徴が最もよく表れる頭蓋の保存状態が良く、同博物館の木村敏之学芸員は「クジラの進化の道筋を解明するのに役立つ」と話している。(jiji.com 2010/04/16)

 群馬県立自然史博物館で公開
 「一生に一度あるかないかの経験で、非常に興奮している」。発見者の清水勝さんは、県立自然史博物館の関係者とともに会見に臨み、喜びを語った。

 清水さんは、みどり市職員として勤務する傍ら、個人で化石発掘に取り組んでいる。今回の化石は、2002年5月ごろ、出勤前の早朝に高崎市吉井町の鏑(かぶら)川で発掘していて、クジラの頭部とみられる巨大な石のかたまりを偶然見つけた。

 清水さんは「これまでに見たことのない大きさ。重かったが、必死になって車に運んだ」と当時の様子を説明。「新種のクジラを自分の手で掘り起こしたとは、今でも信じられない」と心境を述べた。

 学芸員と共同で鑑定に当たった同博物館の長谷川善和名誉館長は「群馬が誇る発見ができた。県民の皆さんには親しみを込めて『ジョウモウクジラ』と呼んでほしい」と話した。

 化石は4月17日から5月9日まで同博物館で一般公開される。(asahi.com 2010年4月17日)

 ヒゲクジラとは何か?
 今回発見されたクジラの化石、国内では3例目の「ヒゲクジラ」の新属・新種と判明した。ところでヒゲクジラとは何だろうか?

 現生のクジラ類は、ヒゲクジラとハクジラに大きく分かれる。ヒゲクジラ類は歯をもたないが、上顎から生えた「ひげ板」または「鯨鬚」(くじらひげ)と呼ばれる器官を使ってオキアミやコペポーダ等のプランクトンや小魚等の小さなエサを大量に濾しとり、食料とする。

 ハクジラ類はその名の通り、顎に歯を持つクジラである。しかし、最初期のヒゲクジラは歯を持っており、歯の存在によってこの分類群が定義されている訳ではない。通常の哺乳類の歯は異歯性を示すが、ハクジラ類の歯は化石種を含めて大半が二次的に同形歯となっている。また歯の本数が真獣類の基本数である44本より多いものや大半が失われているものなど変異が多い。

 鯨髭以外のハクジラ類との差異としては、外観上ではハクジラ以上に頭部が大型化し首が短縮している。噴気孔は二つ。喉に多数の襞を持つ。現生種では最大の動物であるシロナガスクジラが含まれる様に、ヒゲクジラは全体的に大型化する傾向がある、などである。また皮下の形態では、メロンを持たず、また音を発するための器官である発声唇を持たないため、高周波エコロケーション能力を欠く。ただし低周波音を発し、そのエコーを聴いて遠方の地形を探るという事を行っているとされる。(Wikipedia)

 ケトテリウムとは何か? 
 今回発見のヒゲクジラは、絶滅した「ケトテリウム科」に属するというが、頭部の骨の形が同科の他のグループと異なる原始的な特徴が認められたため、新属・新種と分かったという。ところで「ケトテリウム」とはどんなクジラだったのだろう?

 ケトテリウム (Cetotherium) は新生代中新世前期 - 鮮新世後期にかけて生息したヒゲクジラの絶滅した属。鯨偶蹄目 - ヒゲクジラ亜目 - ケトテリウム科に属する。このケトテリウム科はナガスクジラ科の祖先を含むとされる。北アメリカ、ヨーロッパ、アジアの海に生息した。

 体長約4mと小型のクジラである。現生のコククジラあるいはナガスクジラの小型版といった姿であったと推定される。吻部の骨は平坦であり、下面に鯨ひげに養分を運ぶ血管の孔が並ぶ。このヒゲはかなり短く荒かったとされ、おそらくはオキアミやプランクトンあるいは小型の魚などを濾しとり、食料としていたと推定されている。頭骨は対象形で噴気孔は二つであったとされる。

 また、上顎を形成する骨が後方へくさび上に伸長するのが独特な形態である。このクジラの属するケトテリウム科は雑多な系統の寄せ集めであったが、現在この特徴を共有するクジラのみをケトテリウム科とし、単系統の分類群となる様再構成が行われつつある。(Wikipedia) 

 

参考HP 群馬県立自然史博物館 

恐竜は哺乳類だった!―くつがえる科学の定説 (5次元文庫)
飛鳥 昭雄
徳間書店

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鈴木 直樹
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