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 HTLV
 世の中にはさまざまな病気がある。ウイルスによる感染症も多い。ウイルスの病気にはどんなものがあるだろう?

 そう、インフルエンザ、麻疹、日本脳炎、ノロウイルス感染症など多数ある。浅野史郎氏のかかった「ATL」(成人T細胞白血病リンパ腫)はHTLV1というウイルスが、免疫細胞であるT細胞を癌化させる病気であった。しかし、潜伏期間が長く、感染してから50年も経てから発病する。発病率も5%程度と低い。

 HTLV1ウイルスが体内にあるキャリアーであっても、95%は健康なまま生涯を終える。浅野氏にとっても「青天の霹靂」であったろう。いったん発病するとT細胞の癌化は抑えられない。癌化したT細胞(ATLL細胞)は、特徴的な花びらのような形状をした核を有し、「花細胞」と呼ばれる。

 こうして、免疫担当細胞として重要なT細胞ががん化すると、強い免疫不全を示す。そのため、感染症にかかりやすくなり、真菌、原虫、寄生虫、ウイルスなどによる日和見感染症を高頻度に合併する。

 生き残るための治療方法としては、自分のT細胞をいったん全部殺し、新しい造血幹細胞を他人から移植するしかない。現在浅野氏は移植手術を終え、新しい血液が増えていくのを安静に待っている状態だそうだ。

 このようなウイルスの病気は、病原体が小さいこともあって、まだまだ分からないことが多い。今回のHTLV1は、「ヒトTリンパ好性ウイルス」という。このウイルスはRNAと逆転写酵素を持つ種類のウイルスで、「レトロウイルス」のなかまである。

 HIV
 ではHIVというと何のウイルスだろう?

 そう、「エイズ(AIDS)」のウイルスである。エイズは、日本語では「後天性免疫不全症候群」のことである。この原因となる病原体が「HIV」(ヒト免疫不全ウイルス)で、人の免疫細胞に感染し免疫細胞を破壊して、最終的には後天性免疫不全症候群(AIDS)を発症させるウイルスである。

 このウイルスも分類上は、「レトロウイルス」のなかまで、エンベロープという特殊な膜を持つ、プラス鎖の一本鎖RNAを持つウイルスである。

 HIVは免疫機能の発動に必要なCD4+T細胞というリンパ球などに感染し、比較的長い潜伏期の後に活性化してCD4+T細胞を破壊してしまう。CD4+T細胞が著しく減少すると体内の免疫力が極度に低下し、免疫が正常であれば排除できるような病原体にも簡単に感染する日和見感染を起すようになり、容態が不安定になる。

 エイズとはこのように感染後の潜伏期を経て陥ってしまう免疫不全状態を指し、単にHIVに感染しただけ(HIVキャリア)ではエイズとは呼ばない。他にも、HIVは脳神経の免疫を担うミクログリア細胞に感染する事が判明しており、HIVに感染したミクログリア細胞が神経系組織に影響を及ぼし、精神障害や認知症など神経症状を呈するエイズ脳症を引き起こす。

 全体の多くは性行為による感染で、注射器の使い回しによる感染、母子感染などが後に続く。一般に感染源となりうるだけのウイルスの濃度をもっている体液は血液・精液・膣分泌液・母乳である。主な感染経路は性的感染、血液感染、母子感染の3つに限られている。

 HPV
 ではHPVというウイルスは何のウイルスだろう?

 HPVはヒトパピローマウイルス(Human papillomavirus:HPV)のこと。パピローマまたは乳頭腫と呼ばれるいぼを形成することから名付けられた。

 環状構造の二本鎖DNAウイルス。全世界的に古くから存在していた。現在では100種類以上の型が報告されている。正20面体のカプシドで覆われており、遺伝子サイズは種類により異なるがだいたい約8,000塩基ほどで、8から9のオープンリーディングフレーム(ORF:蛋白をコードしていると推定される遺伝子。しかしその遺伝子産物は同定されていない)を含んでいる。子宮頸癌の原因とされるウイルスである。

 このウイルスに有効なワクチンができており、子宮頸がん予防ワクチンとして、日本でも昨年末から接種が始まった。しかし、高額な接種費用が普及の「壁」となっており、公費助成を求める動きが活発化している。

 ワクチンは既に100カ国以上で使用され、欧米など二十数カ国は公費や保険で費用をカバーしている。国は早急に公費助成の道を開き、普及に努めてもらいたいところ。
 
 子宮頸がんは、性交渉を通じたヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が主原因。HPVは、「特別な人が感染するわけでなく、大人の女性の7、8割は感染する」という。 HPV感染後の細胞のがん化は、少なくとも10年掛かるとされる。しかし癌化した場合、子宮摘出という事態も少なくない。予防の大切さがそこにある。

 ワクチンは特定の2種類のHPV感染を防ぎ、子宮頸がん全体の約7割を予防できるとされる。日本産科婦人科学会などの関連団体は「定期的な検診の受診とワクチン接種の『両輪』で、子宮頸がんはほぼ百パーセント防げる」として、予防効果が高いと見込まれる11〜14歳の女児への接種を推奨している。(2010年04月22日 愛媛新聞)

 そもそもウイルスとは何か?
 ウイルスの大きさは小さいものでは数十nmから、大きいものでは数百nmのものまで存在し、他の一般的な生物の細胞(数〜数十µm)の100〜1000分の1程度の大きさである。

 ウイルスは細胞を構成単位としないが、遺伝子をもち他の生物の細胞を利用して増殖できるという、生物の特徴を持っている。現在でも自然科学は生物・生命の定義を行うことができておらず、便宜的に、細胞を構成単位とし、代謝、増殖できるものを生物と呼んでおり、細胞をもたないウイルスは、非細胞性生物または非生物として位置づけられる。

 ウイルスは様々な点で他の生物と大きく異なる。

1.ウイルスは非細胞性で細胞質などは持たない。基本的にはタンパク質と核酸からなる粒子である。
2.他の生物は細胞内部にDNAとRNAの両方の核酸が存在するが、ウイルス粒子内には基本的にどちらか片方だけしかない。
3.他のほとんどの生物の細胞は2nで指数関数的に増殖するのに対し、ウイルスは一段階増殖する。またウイルス粒子が見かけ上消えてしまう暗黒期が存在する。
4.ウイルスは単独では増殖できない。他の細胞に寄生したときのみ増殖できる。
5.ウイルスは自分自身でエネルギーを産生しない。宿主細胞の作るエネルギーを利用する。

 ウイルスの分類
 通常の細胞性の生物は2本鎖DNAに遺伝情報を保存しているが、2本のうちの1本は冗長である。ウイルスの場合にはゲノムは1本鎖であったり2本鎖であったりする。またDNAではなくRNAを用いている場合もある。1本鎖RNAを用いる場合には、さらに+鎖(mRNAと同様に遺伝子が5'→3'方向に読み取られる)を用いる場合と、-鎖(遺伝子が相補鎖を使って3'→5'方向に読み取られる)を用いる場合がある。

 このようなDNA・RNAのタイプによって分ける方法は、ウイルスによる逆転写を発見した功績でノーベル賞を受賞したデビッド・ボルティモア(1938〜) によって提案され、現在では国際ウイルス分類委員会の定める分類体系の基本骨格となっている。ボルティモア分類とでは、こうしたゲノムの種類と発現様式によって以下の7群に分類する。

1.2本鎖DNA 2.1本鎖DNA 3.2本鎖RNA 4.1本鎖RNA +鎖 5.1本鎖RNA -鎖 6.1本鎖RNA逆転写 7.2本鎖DNA逆転写

 

参考HP Wikipedia「HTLV」「HIV」「HPV」「ATL」「AIDS」「ウイルス」「子宮頸癌」 

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