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 ネアンデルタール人とは何だろうか?
 ネアンデルタール人は約40万年前に出現し、約3万年前に絶滅したヒト属の一種である。我々現生人類であるホモ・サピエンス (Homo sapiens) の最も近い近縁種とされる。ネアンデルタール人は、ヨーロッパを中心に西アジアから中央アジアにまで分布しており、旧石器時代の石器の作製技術を有し、火を積極的に使用していた。

 かつて、ネアンデルタール人は旧人と呼ばれ、我々ホモ・サピエンスの祖先とする説があった。また、ネアンデルタール人をホモ・サピエンスの一亜種であるホモ・サピエンス・ネアンデルターレンシスと分類する場合もある。この場合ネアンデルタール人と現世人類との分岐直前(約47万年前)の共通祖先もまたホモ・サピエンスということになる。

 しかし、遺骨から得られたDNAの解析から、我々の祖先ではなく、別系統の人類であることがほぼ明らかになった。この相違点は、他の動物種ならば十分別種として認識されるだけのレベルのものであるため、ネアンデルタール人とホモ・サピエンスは別種とする考え方が有力である。

 
 ホモ・サピエンスにネアンデルタール人の遺伝子  
 今回、ドイツのマックスプランク進化人類学研究所などの国際研究チームが、現生人類(ヒト)の一部はネアンデルタール人と交雑し、その遺伝子を受け継いでいたことを発見した。ネアンデルタール人のゲノム(全遺伝情報)配列を解析し、突き止めた。5月7日付の米科学誌サイエンスでその概要版を発表された。

 ネアンデルタール人はヒトに最も近い種の人類。約40万年前に現れ、欧州を中心に西アジアで生存、約3万年前に絶滅したとされる。約20万年前にアフリカで現れたヒトと同じ地域で生きていたが、両者の間に交雑はない、との考えが有力だった。

 研究チームは、クロアチアの洞穴から発掘された4万年ほど前の3人のネアンデルタール人女性の骨片を使い、ゲノム配列を調べ、ネアンデルタール人のゲノム全体の約6割を解明した。

 この情報とフランス、中国、パプアニューギニア、アフリカ南部と同西部の5人のヒトゲノムとを比べた。すると、アフリカ以外のヒトはゲノムの1〜4%がネアンデルタール人由来と推測できた。子孫を残せるほど近い関係だったことになる。

 同チームはヒトの移動時期を踏まえ、アフリカを出た初期のヒトは10万〜5万年前の間に中東でネアンデルタール人に遭って限定的に交雑し、その後、欧州やアジアに広がったと考えられるとした。また、認知機能や頭の骨の発達にかかわるとされる遺伝子は両者の間で大きな違いがあることもわかったとしている。

 国立科学博物館人類史研究グループの篠田謙一グループ長(分子人類学)は「人類の本質を探るための第一歩となる研究成果だ。未知の部分の多いヒトの遺伝子の働きについてさらに理解が深まれば、ネアンデルタール人についても同時にわかるようになるだろう。両者は分岐して数十万年しかたっておらず生物学的には交雑は可能と思っていたが、その考えがより強まった。ただ、交雑したと確定させるには、より古い時期のネアンデルタール人のゲノムを調べたり、ヒトがアフリカを出た時期を再検討したりするなどもう一段階必要だ」と話している。(asahi.com 2010年5月7日)

 ネアンデルタール人の発見
 最初に発見されたネアンデルタール人類の化石は、1830年にベルギーのエンギスで発見された子供の頭骨である。1848年にはスペイン南端のジブラルタルからも女性頭骨が見つかっている。しかしこれらの古人骨が発見された当時は、その正体はわからないままであった。

 最初に科学的研究の対象となったネアンデルタール人類の化石が見つかったのは1856年で、場所はドイツのデュッセルドルフ郊外のネアンデル谷 (Neanderthal) にあったフェルトホッファー洞窟であった。これは石灰岩の採掘作業中に作業員によって取り出されたもので、作業員たちはクマの骨かと考えたが念のため、地元のギムナジウムで教員を務めていたヨハン・カール・フールロットの元に届けられた。

 フールロットは母校であるボン大学で解剖学を教えていたヘルマン・シャーフハウゼンと連絡を取り、共同でこの骨を研究。1857年に両者はこの骨を、ケルト人以前のヨーロッパの住人のものとする研究結果を公表した。ちなみにこの化石は顔面や四肢遠位部等は欠けていたが保存状態は良好であり、低い脳頭骨や発達した眼窩上隆起などの原始的特徴が見て取れるものである。

 ネアンデルタール人の進化
 ネアンデルタール人の最も古い化石は中部更新世から発見されており、シュタインハイム人・サッコパストーレ人・エーリングスドルフ人その他幾つかが知られている。これらは時代的には典型的な後期ネアンデルタール人より早い時代に出現したという意味で「早期ネアンデルタール人」と呼ばれる。

 時代が古いため、一面では原始的であり、脳容量が小さく、眼窩上隆起が発達するなどの特徴があるが、一方で後に出現したネアンデルタール人よりホモ・サピエンスに共通する特徴が多い。すなわち、頭骨は丸みを帯びて後期のネアンデルタール人より頭高が高く、額のふくらみも発達し、更に上顎骨には犬歯窩が存在する(犬歯窩はホモ・サピエンスになって初めて現れる形質)。

 このように、早期ネアンデルタール人は後期ネアンデルタール人よりも進化していたとさえ言える特徴があり、大きな謎とされていた。現在では、ネアンデルタール人は下部洪積世にホモ・サピエンスと分岐したとされているので、かつて早期ネアンデルタール人の進歩的特長と言われた部分は、ホモ・サピエンスの祖先と分かれて間もない頃の、双方に共通する特徴が残っているものだと考えられている。

 また、彼らの化石は大部分が女性のものと思われるので、性差により進歩的に見えているとも、犬歯窩と見えるのは土圧による変形に過ぎないとする説もある。

 ネアンデルタール人の絶滅の謎
 ネアンデルタール人は2万数千年前に絶滅してしまった。絶滅の原因はよくわかっていない。クロマニョン人との暴力的衝突により絶滅したとする説、獲物が競合したことにより段階的に絶滅へ追いやられたとする説、ホモ・サピエンスと混血し急速にホモ・サピエンスに吸収されてしまったとする説など諸説ある。

 1999年にポルトガルで、そして2003年にルーマニアで発見された化石の骨格が、新旧人双方の特徴を備えていたことから、新旧人の混血化を主張するグループが現われ、議論を呼んでいる。一方、ネアンデルタール人の化石から抽出されたミトコンドリアDNAの解析からは、新旧人の混血化には否定的な結果が得られている。

 これに対して、ワシントン大のアラン・テンプルトンらは、従来のミトコンドリア遺伝子などの単一の部分だけを調査して決定づける方式ではなく、10か所の遺伝子を調査したところ、混血しているとの結果を導き出している。ただし、2006年から2008年にかけて行われたネアンデルタール人のミトコンドリアDNAの全配列解析では、ホモ・サピエンスとの交配の証拠は見つからなかった。

 従来、ネアンデルタール人は約3万年前に滅亡したと考えられていたが、2005年にイベリア半島南端のジブラルタルの沿岸の洞窟から、ネアンデルタール人が使っていた特徴のある石器類や、洞窟内で火を利用していた痕跡が見つかった。この遺跡は、放射性炭素による年代分析で2万8000-2万4000年前のものと推定された。このことから、ネアンデルタール人は、少なくとも地中海沿岸からイベリア半島においては、しばらくの間生き残っていたと考えられる。これにより、「ネアンデルタール人は約3万年前に絶滅した」という説はわずかに修正されることになった。

 そして今回、現生人類のほとんどは、ほんの数パーセントではあるがネアンデルタール人ゲノムが混入しているとの研究結果が2010年のサイエンス誌に発表された。この説が正しければ、中東を経てヨーロッパからアジアにまで拡がった現生人類の殆どは、絶滅したネアンデルタール人の血をわずかながらもひいていると言うことになる。(Wikipedia)

 

参考HP Wikipedia「ネアンデルタール人」・アイラブサイエンス「アウストラロピテクス・セディバ 

ネアンデルタール人の正体―彼らの「悩み」に迫る (朝日選書)
赤沢 威
朝日新聞社

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最後のネアンデルタール 別冊日経サイエンス127
イアン・タッターソル,高山 博,Ian Tattersall
日経サイエンス

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