科学大好き!アイラブサイエンス!最近気になる科学情報を、くわしく調べやさしく解説!毎日5分!読むだけで、みるみる科学がわかる!
 赤道で見えるオーロラ?
 米国、NASAは6月21日、国際宇宙ステーション(International Space Station)から撮影されたオーロラ「南極光」の画像を公開した。このオーロラは5月24日に、南インド洋上空350kmから南極大陸の方角を向いて撮影されたもので、緑色のリボン状の形をしている。

 オーロラは通常極点付近で観測されるが、地球の磁気へ影響を与える大型の磁気嵐により、オーロラの一部が赤道付近へ移動することがある。 今回がその場合にあたる。

 磁気嵐とは、全地球にわたって、地磁気の強さおよび方向が急激に変化する現象。普通一日程度継続し、しばしばデリンジャー現象を伴う。太陽からの高エネルギーをもった荷電粒子流(太陽風)が原因である。(2010年6月23日 RBB TODAY)

 それにしても、オーロラとは南極、北極で見られるものと思っていたが、赤道というのは聞いたことがない。これまでにもあったことなのだろうか?

 調べてみると南極、北極以外でも見られることはあるそうで、北海道でも数年に1度見られる。しかし、赤道付近で見られることはほとんどなく、どうやら今回の現象は地球の外から観察できる、国際宇宙ステーション(ISS)という特別な場所だったからというのが真相だ。

 低緯度オーロラ
 北海道などで見られるオーロラを低緯度オーロラという。太陽活動が活発な時に「北海道で○年ぶりにオーロラが見られた」と報道されることがある。

 極域オーロラと低緯度オーロラは同じオーロラである。普段見られる地域に現れるものを極域オーロラ、それよりも南の地域(緯度)に現れた時に低緯度オーロラと呼ぶ。オーロラは地磁気極を中心としたドーナツ状の地域に現れるため、厳密には「地磁気緯度」が低い場所ということになる。またここで「現れる」としたのは、肉眼では見えなくても写真などで撮影が可能な場合があるからだ。

 極域オーロラの代表的な色は緑白色だが、活発なオーロラの上部は赤い色をしていることが多い。北海道で見られるオーロラの多くは、赤くて動きもほとんど分からないようだ。けれども、オーロラ活動が非常に活発な場合、緑白色の筋の構造を伴っていたり、動きも分かることもあるという。

 亜熱帯オーロラ
 亜熱帯オーロラというものもある。衛星などの画像でのみ分かるが、赤道を挟んで2本の帯のように存在することもある。これまでにも、アメリカの人工衛星DE-1によって撮影された画像がある。

 これまでの研究によると、亜熱帯オーロラはその成因が極域オーロラとは大きく異なることに加え、これを光らせているエネルギーは極域のものに比べると一桁小さく、光の強さも両極域より一桁弱いとのこと。肉眼で見るのは絶望的なようだ...それで、これはオーロラとは呼ばずに、Glow(グロー)やArc(アーク)と表す。

 オーロラとは何か?
 太陽に端を発する「太陽風」と呼ばれるプラズマ粒子の流れが地球磁場と相互作用し、複雑な浸入過程を経て地球磁気圏内の夜側に広がる「プラズマシート」と呼ばれる領域にたまる。

 プラズマシート中のプラズマ粒子が地球大気(電離層)に向かって高速で降下し、大気中の粒子と衝突すると、大気粒子が一旦励起状態になり、それが元の状態に戻るときに発光する。これがオーロラの光である(発光の原理自体は蛍光灯と同じ)。

 オーロラは肉眼では白くぼんやりとしか見えないことが多いが、それは発光自身が暗いためでいくつかの色をもっている。本が読めるほどの明るいオーロラだと、はっきりとその色を識別できる。

 オーロラの色と高度
 肉眼で見られるオーロラの色はほとんどが電子の降り込みが原因で、発光が起こっている高度によって違う。上方の高度200 km以上では赤色(630nm)、200kmから100kmの低高度では緑色(557.7nm)、そして稀に100km以下の最下部にピンク色や紫色を見ることができる。

 赤と緑は酸素原子によるもので、ピンク色(連続光)は窒素分子、紫(427.8nm)は窒素分子イオン(N2+)による。通常見られるのは緑色のオーロラである。これは大気の主組成の高度変化と関連しており、100km以上では窒素分子に比べ酸素原子が卓越していることを示す。また赤と緑の境は酸素原子の密度変化が影響している。降り込む電子のエネルギーが高くなると、平均的なオーロラの発光高度は低くなる。

 太陽活動現象に伴う磁気嵐により、たまに日本のような低緯度地方でも赤いオーロラが観測されることがある。これは磁気嵐によって磁力線が低緯度側にゆれることや、赤いオーロラが高高度であるために地平線に沈みにくいことと関係がある。

 

参考HP Wikipedia「オーロラ」「磁気嵐」「太陽風」・オーロラに会いに行こう「低緯度オーロラ・亜熱帯オーロラ 

オーロラ―その謎と魅力 (岩波新書 新赤版 (799))
赤祖父 俊一
岩波書店

このアイテムの詳細を見る
オーロラ ウォッチング ガイド -宇宙の神秘に迫る (楽学ブックス―自然)
上出 洋介
ジェイティビィパブリッシング

このアイテムの詳細を見る

ブログランキング・にほんブログ村へ ランキング ←One Click please