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 国連生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)が名古屋市で10月に開かれる。日本では絶滅の恐れがある希少な野生生物の保全を目的に1993年、「種の保存法」が施行された。貴重な動植物を守り、生物 の多様性を維持していく上で最も象徴的な法律といえる。しかし「指定種が少なすぎて実効性が乏しい」など批判も根強く、環境保護団体や研究者から抜本的見直しを求める声が上がっている。

 環境を守り、生物多様性を守り、利用する法律にはどんなものがあるのだろうか?今日は「種の保存法」について調べたい。

 種の保存法の三本柱
 さて、「種の保存法」の正式名称は何というか?

 正解は、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律である。平成4年(1992年 6月5日法律第75号)に成立し、1993年(平成5年)4月1日施行された。この法律の目的はもちろん、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存を図ることを目的とすることである。

 ではどのように種を保存するのだろうか?

 正解は、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関して「希少野生動植物種」(亜種・変種を含む)を定める。そして、1.指定種の捕獲や所持・流通等の規制による個体保護を行う。次に、2.指定種の生息地内の開発等を制限する生息地保護を行う。 さらに3.生物の保護増殖を行う。これらが、種の保存法の三本柱である。

 現在、この法律にもと付いて保護増殖がはかられている動物がいるそれは何だろう?

 正解 よく話題になるのは、トキ、コウノトリ、アホウドリ、などである。その他にもツシマヤマネコ、イリオモテヤマネコ、アマミノクロウサギなど多数ある。最近、コウノトリの野生復帰に成功したが、トキは今年もだめであった。人工繁殖には成功している。

 このように絶滅危惧種と認められ、大切に保護される場合もあるが、絶滅危惧種として認められながらも、保護されず、見殺しになる動物もいる。例えばどんな動物だろう?

 正解は中国のヨウスコウカワイルカや、日本の辺野古に生息するジュゴンである。中国は産業・経済を優先させ、三峡ダムや生活排水のため、揚子江の汚染がすすんでおり、ヨウスコウカワイルカは確実に絶滅するといわれている。日本では辺野古に米軍基地が移設された場合、ジュゴンの生態に確実に影響が出るとされている。

 絶滅危惧種IA類ジュゴン
 「辺野古沖には沖縄でも最大の海草藻場がある。ジュゴンが命をつなぐための重要な地域を破壊すべきではない」。今月14日、東京都内で開かれた集会で、桜井国俊沖縄大教授(環境学)が訴えた。米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設先として挙がっている辺野古(名護市)周辺の海域は、絶滅危惧(きぐ)種のジュゴンが食べるアマモなどの海草が広がっている。環境省の2003年調査でも食痕や糞(ふん)が見つかった。

 移設先について鳩山由紀夫首相は23日、沖縄を訪ね「辺野古付近にお願いせざるをえない」と表明した。地元が合意するかや工法など不透明な点は多いが、2006年の日米合意は「キャンプ・シュワブ沿岸部を埋め立てる」という内容。鳩山首相は今年4月、「辺野古の海の埋め立ては自然への冒涜(ぼうとく)」と述べていた。

 人魚のモデルとも言われるジュゴンは、南太平洋からインド洋の熱帯・亜熱帯に生息する。日本は西太平洋の北限にあたり、かつては沖縄県から鹿児島県奄美群島にかけて分布。しかし、乱獲で激減し、日本では沖縄本島の周辺海域に50頭以下しか生息しないと推測される。絶滅の恐れのある野生生物を評価した環境省のレッドリストは最も絶滅の危機度が高い「絶滅危惧種IA類」に分類した。

 種の保存法の汚点
 レッドリストは環境影響評価で国や自治体の基礎資料として役立てられるが、保護のための強制力はない。また、文化財保護法、鳥獣保護法、水産資源保護法で狩猟や捕獲が規制されるが、生息地の破壊や分断による種の減少には対応していない。

 種の保存法は指定した種の捕獲や譲渡を規制し、生息地内の開発を制限する。だが、レッドリストの絶滅危惧種3155種のうち、同法に基づき「国内希少野生動植物種」に指定されたのは、トキやアマミノクロウサギなど82種に過ぎない。さらに「生息地等保護区」になると、指定はミヤコタナゴの生息地(栃木県大田原市)など7種9カ所計885ヘクタールにとどまる。

 1992年の種の保存法案の国会提出にあたり、環境庁(当時)と水産庁はジュゴンなど海の生物を種の保存法から除外する覚書を交わした。これは2001年の国会質疑の中で明らかになり、環境保護団体の間で「種の保存法の汚点」と呼ばれている。翌2002年、環境省はジュゴンを種の保存法対象とし、将来的には国内希少野生動植物種として検討する考えを示したが、8年たった現在も指定されていない。

 ジュゴンは世界最大の自然保護団体「国際自然保護連合(IUCN)」や米国の法律でも絶滅危惧種に指定されている。IUCNは、2008年に日米両政府に対し、沖縄のジュゴン保護を求める3度目の勧告を出した。

 保護されないレッドリスト
 ジュゴンを含め、レッドリストに指定されながら、大半が種の保存法で指定されない理由について、環境省は「保護対策の検討に必要な生態などのデータが十分集まらず、関係者の理解も得られていない」などと説明する。

 環境省の検討委員会が今年初めてまとめた国内の生物多様性総合評価は、絶滅危惧種が減少する最大要因は生息地の開発・改変と指摘した。しかし、新しい生物多様性国家戦略でも種の保存法に基づく新たな指定種の目標は5種程度に過ぎない。

 宮崎正浩・跡見学園女子大教授(環境政策)は、「このままの指定ペースだと、絶滅の速度に対応できない。レッドリストの掲載種がそのまま保存法の指定種となるよう連動させるべきだ」と指摘する。現行法では、種の存続に支障をきたす程度に個体数が著しく少ないことや、分布域が限定されていることが種の指定要件だ。さらに生息地等保護区の指定は、住民らの同意があった場合に限られるため、利害関係者の意向で指定が進まないという。

 日本の制度と単純に比較できないが、米国の絶滅危惧種法は、連邦政府が対象種の生存を危険にさらしたり、生息地を破壊したりする行為の回避を義務付ける。該当動植物は1990種にのぼる。種を指定した場合、原則として同時に重要生息地を指定する。市民が指定種を提案できる。

 畠山武道・早稲田大教授(環境法)は「科学的なデータに基づき、市民が指定種を申請し、指定されない場合は理由を公表するなど指定手続きの透明化を進めるべきだ」と話す。(毎日新聞 2010年5月24日)

 種の保存法とは?
 絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律、平成4年(1992年)6月5日法律第75号)は、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存を図ることを目的とする日本の法律である。1993年(平成5年)4月1日施行。野生動植物保存法、種の保存法とも呼ばれる。

 日本が1993年に生物多様性条約を批准するのを契機に施行された。国内で絶滅の恐れがある動植物を「国内希少野生動植物種」として捕獲と採取、流通を規制するとともに、ワシントン条約など国際取引規制の対象となる種を「国際希少野生動植物種」として指定し、国内取引を規制する。希少野生動植物種を譲渡したり、譲り受けた場合は1年以下の懲役か100万円以下の罰金。抜本的な改正は一度も行われていない。

 2008年(平成20年)8月15日現在、下記の71種(亜種・変種含む、以下同じ)が国内希少野生動植物種に指定されている。このうち植物の7種が特定国内希少野生動植物種に指定されている。

哺乳類5種 イリオモテヤマネコ、ツシマヤマネコ、ダイトウオオコウモリ、アマミノクロウサギ。オガサワラオオコウモリ

 鳥類38種 アホウドリ、チシマウガラス、コウノトリ、トキ、シジュウカラガン、オオタカ、イヌワシ、ダイトウノスリ、オガサワラノスリ、オジロワシ、オオワシ、カンムリワシ、クマタカ、シマハヤブサ、ハヤブサ、ライチョウ、タンチョウ、ヤンバルクイナ、アマミヤマシギ、カラフトアオアシシギ、エトピリカ、ウミガラス、キンバト、アカガシラカラスバト、ヨナクニカラスバト、ワシミミズク、シマフクロウ、オーストンオオアカゲラ、ミユビゲラ、ノグチゲラ、ヤイロチョウ、アカヒゲ、ホントウアカヒゲ、ウスアカヒゲ、オオトラツグミ、オオセッカ、ハハジマメグロ、オガサワラカワラヒワ

爬虫類1種 キクザトサワヘビ 両生類1種 アベサンショウウオ 魚類4種 ミヤコタナゴ、イタセンパラ、スイゲンゼニタナゴ、アユモドキ

昆虫類10種 オガサワラハンミョウ、ベッコウトンボ、ヤシャゲンゴロウ、ヤンバルテナガコガネ、オガサワラシジミ、ゴイシツバメシジミ、オガサワラトンボ、オガサワラアオイトトンボ、ハナダカトンボ、イシガキニイニイ 他に植物23種がある。(Wikipedia) 

 

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