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 国連生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)が名古屋市で10月に開かれる。生物多様性を脅かす大きな原因が、動植物の生息地の開発だ。現在、大規模開発に伴う環境影響を低減するための環境影響評価(環境アセスメント)法改正案が衆院で審議されている。しかし、企業や開発官庁は「事業が遅れる」と消極的で、欧米と比べ対象が限られている。実効性が問われそうだ。 

 例えば、沖縄県辺野古に米軍基地が移設された場合、ジュゴンの生態に確実に影響が出るのに、防衛省は米軍施設と自衛隊施設を環境アセスメントの適用除外とするよう環境省に求めている。外務省も在日米軍基地施設・区域の提供に悪影響が及ばないよう求める意見を提出。環境省は「基地施設が適用されるかどうかはその都度判断する」と述べている。しかし、生物多様性が重要といいながら、例外を認める法律はどこか腑に落ちない。

 国防問題やエネルギー問題と生物多様性は両立しないのだろうか?今日は「環境影響評価法」について調べる。

 環境アセスメント
 環境評価法でいう「環境評価」とは、「環境アセスメント」ともいい、主として大規模開発事業等による環境への影響を事前に調査することによって、予測、評価を行う手続きのことを指す。ではどんな事業のときに環境アセスメントを行うのであろうか?

 正解は道路、ダム、鉄道、空港、発電所などの事業である。これ以外には、廃棄物最終処分場 埋立て干拓、土地区画整理事業、新住宅市街地開発事業、工業団地造成事業、新都市基盤整備事業、宅地の造成の事業、港湾計画など13種類ある。

 では、環境アセスメントでいったい何を調べるのだろう?

正解は、大気環境、水環境、土壌環境・その他の環境、植物、動物、生態系、景観、触れ合い活動の場、環境への負荷、廃棄物等、温室効果ガス等である。

 環境影響評価法施行前は公害(大気汚染、水質汚濁、土壌汚染、騒音、振動、地盤沈下、悪臭など)および自然環境の保全(地形、地質、植物、動物、景観および野外レクリエーション地など)について網羅的に行われていた。

 環境影響評価法施行後は、「環境の自然的構成要素の良好な状態の保持」(従来の公害項目と地形・地質など)、「生物の多様性の確保及び自然環境の体系的保全」(植物、動物および生態系)、「人と自然との豊かな触れ合い」(景観および触れ合い活動の場)、「環境への負荷」(廃棄物等、温室効果ガスなど)の中から対象事業の性質に応じて適切な要素を選ぶ手続き(スコーピング)を踏んで行われるようになった。

 これまでに行われた環境アセスメントには、どんな事業があるのだろう?

 例えば、北海道新幹線、大間原子力発電所、福島第一原子力発電所7・8号機増設、横浜湘南道路、川崎天然ガス発電所、東海環状自動車道(北勢IC〜県境)、新石垣空港整備事業など多数ある。

 カンムリウミスズメ
 「ヒナを連れた親鳥ですね」。山口県の市民団体「長島の自然を守る会」の高島美登里代表が説明した。10日、上関町沖の瀬戸内海西部の周防灘で、青い波間を全長20センチほどの黒い海鳥計9羽が泳いでいた。環境省指定の絶滅危惧(きぐ)種で、国の天然記念物のカンムリウミスズメの親子だ。時折、海に潜って餌をとっている。

 カンムリウミスズメは世界でも日本近海にしか生息せず個体数はわずか5000羽。西日本の中でも水温が低い周辺海域は、海鳥の餌となるプランクトンや小魚、イカの子が豊富で、世界有数の生息域になっている。

 ところが、北西に6〜8キロの地点で中国電力が原子力発電所の建設を計画している。海を14ヘクタール埋め立てる計画で、昨年10月に一部工事に着手した。

 中国電力は2001年、環境影響評価書を国に提出した。ところが、2007年にカンムリウミスズメが予定地周辺の海域で確認された。飯田知彦・九州大研究員(鳥類生態学)によると、冬から春にかけては建設予定地から1キロ以内にも出現する。日本生態学会など3学会は今年2月、原発から温かい排水が流されれば、餌のプランクトンが減少するとして、埋め立て工事の中止や適正な調査を求めた。これに対して、中国電力は「追加調査の実施など真摯(しんし)に対応している」としている。地球温暖化対策から原発建設が必要との立場だ。

 高島代表は「周防灘はかつて瀬戸内海の象徴だった干潟や自然海岸が残っている。初めに事業ありきのアセスでは、生物多様性は守れない」と批判する。

 戦略的環境アセスメント(SEA)
 現行アセスは個別事業を行う直前に実施する。既に位置や規模などが決まり、計画の大幅変更が難しいことが大半だ。民主党は政策集により早い段階でアセスを行う「戦略的環境アセスメント(SEA)」を導入することを明記した。

 SEAは欧米や中国・韓国などで導入されている。米ミズーリ州では、州全体を走る高速道路(長さ約320キロ)を改良する計画をつくる前に (1)既存道路を維持し保守管理 (2)拡幅 (3)並行して新規無料道路の建設 (4)高速鉄道の建設−−など7案を比較検討し、4案に絞った。そのうえで、住民の意見を聞き、「拡幅」に決めた。注目されるのは、「新たな開発は行わない」との選択肢もある点だ。

 改正案は従来のアセス手続きの前に、個別事業の位置や規模を決める段階で複数案を示し、環境保全のために配慮すべき事項を検討、公表するSEAの実施を事業者に義務付けた。ただし、複数案といっても敷地内での施設の配置が認められるほか、複数案が現実的でない場合は1案でも許容される。「開発を行わない」との選択肢の設定は義務づけなかった。小沢鋭仁環境相は今国会で「今回は日本版SEAだ」と答弁し、本来のSEAは今後の課題として扱う姿勢を示した。

 また、改正案の作成段階で、防衛省は米軍施設と自衛隊施設をSEAの適用除外とするよう環境省に求めた。軍事施設は現行アセスの対象だが、防衛省は「高度に秘匿を要する情報の開示、地元の混乱や反対運動を招く」として、適用除外の条文案まで提示した。

 外務省も在日米軍基地施設・区域の提供に悪影響が及ばないよう求める意見を提出。環境省は「基地施設が適用されるかどうかはその都度判断する」と要請は断ったとしている。しかし、環境NGO(非政府組織)「日本自然保護協会」の大野正人部長は「生物多様性が重要で、環境と経済・エネルギー政策は両立すると言いながら、いざ両者が衝突すると、基地や開発が優先される」と指摘する。(毎日新聞 2010年6月14日)

 環境影響評価法とは?
 大規模事業が環境に与える影響を事前に調査、予測、評価し、結果を公表して地域住民の意見を聞いて環境保全策を実施する制度。1997年制定、1999年施行された。法律でアセスが義務づけられている第1種事業は高速道路、ダム、発電所、飛行場など13事業で、さらに規模が道路は4車線以上、滑走路は2500メートル以上などに限られる。第1種事業より規模が小さな第2種事業は、個別にアセスが必要か判断される。法に基づくアセスは今年3月末で187件、年あたり約20件。

 環境アセスメントの手続きとしては、対象事業が周辺の自然環境、地域生活環境などに与える影響について、一般の方々や地域の特性をよく知っている住民の方々、地方公共団体などの意見を取り入れながら、方法書、準備書・評価書の手続きに沿って行い、事業者自らが調査・予測・評価を行い、事業内容を決定していく。

 現在、検討されている、環境影響評価法改正案の骨子は、1.風力発電所を対象事業に追加(政令改正) 2.戦略的環境アセス(SEA)手続きの新設 3.公有水面埋め立てなど自治体が許可権限を持つ事業について、環境相が助言 4.アセス関連書類のインターネットなどでの公表を義務化 5.事業者は事業着手後、評価書に盛り込んだ環境保全対策の結果を公表する 以上。(Wikipedia) 

 

環境アセスメントの実施手法
北山 正文
日刊工業新聞社

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