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 民主大敗・自民大勝
 参議院選挙が終わった。結果は民主党の大敗。自民党の大勝だった。全体の印象としては、民主党に政権を取らせてみたところ思ったほどに、景気がよくならなかった。そこに突然、菅総理大臣から消費税の話。よくよく聞けば、ギリシャの財政破綻が日本にも及ぶことを恐れての発言だそうで、日本を経済力のある国にする発想はないらしい。

 我が国が世界に誇る科学技術で、すばらしい物をつくっていけば、誰が日本を売るだろうか?我が国が信仰心あふれる心豊かな国民であれば誰が日本を見限るであろうか?菅総理の考えには、世界で1番よい国にする発想はなく、あるのはとにかく、富の分配で最小幸福社会をつくることだった。

 だからといって、同様に消費税10%を掲げる自民党にも期待できないような雰囲気で、多様な政党が乱立して始まった今回の参院選。自民党の谷垣氏が1番よい国にしようと呼びかけたCMは共感できたが、どこまで支持されるのか疑問だった。しかし予想に反して、4%の経済成長、憲法改正、安全保障の確立を訴えた自民党が大勝した。

 手のひらを返した国民
 しかし、これほど手のひらを返したように、支持政党が変わるとは思わなかった。国民もバカではない。普天間基地の問題の鳩山首相のうろたえぶりには、さすがに国の安全保障が心配になった。少しは期待した菅首相に経済再生のビジョンはなく、最小幸福社会と消費税10%をめざすという、全く景気回復に希望が見いだせない内容だった。

 ただ、国民の豹変ぶりには驚いた。政治家は国民の操り人形に過ぎないのだろうか?だが、この豹変ぶりは、やはり、真剣にこの国が危ないことを察知したからだと思う。そういう意味では、幸福実現党が真剣に訴えたことは意味があった。とにかくまず、国の安全確立、次に景気回復を目指すべきだ。景気回復には、やはり科学技術振興政策だ。

 総合科学技術会議
 総合科学技術会議は7月8日、来年度の科学・技術重要施策を定めたアクション・プランを公表した。アクション・プランは、2020 年を見据えた政府全体の科学・技術政策の行動計画。8月末に各省が出した概算要求について総合科学技術会議が評価するという従来の予算編成のやり方を改め、概算要求前に全体の戦略を示すことで、総合科学技術会議が「司令塔」機能を発揮できるようにすることを狙っている。

 総合科学技術会議とは、内閣総理大臣及び国務大臣と有識者の議場として、日本全体の科学技術を俯瞰し、各省より一段高い立場から、総合的・基本的な科学技術政策の企画立案及び総合調整を行うことを目的とする会議である。

 平成23 年度は、先行的に以下のアクション・プランを策定。
・ 新成長戦略の重要課題であるグリーン及びライフの2大イノベーションの中で、特に具体的な実現目標が明確で、達成時に効果の大きい課題に重点化して推進。
・ 研究の生産性向上に速効性が期待できる競争的資金の使用ルール等の統一化及び簡素化・合理化。

 これにより、予算編成プロセスを、概算要求後に調整する「受動的な仕組み」から、アクション・プランを中心に行動する「能動的な仕組み」に改め、総合科学技術会議の科学・技術政策における「司令塔」機能を発揮し、責任の所在を明確化。

 なお、2大イノベーション以外の基礎研究、人財育成、国家を支え新たな強みを生み出す研究開発など、我が国将来を切り拓く上で充実・強化が必要。次年度以降アクション・プランの取組を2大イノベーション以外にも広げ、科学・技術予算の向上に努める。

 ゲノムコホート研究
 新成長戦略の柱に決まっているグリーン・イノベーション、ライフ・イノベーションを推進するための8つの重点方策が掲げられ、この中に「ゲノムコホート研究と医療情報の統合による予防法の開発」が盛り込まれた。2020年を目標に、ゲノムコホート研究で得られる疫学情報と電子化された医療情報の統合により、治癒困難な疾患に関する原因因子の解明を目指す。大人数を対象に長期にわたる追跡調査を必要とする大規模コホート研究は日本でこれまで例がない。

 推進方針によると、ゲノムコホート研究は10万人の対象者を追跡調査し、疾患・死因などの情報を集約する。併せて生体試料を収集、保管、管理するシステムをつくる。これら生体試料の解析を行い、ゲノム情報を含む生体情報を収集、データベース化する。電子医療情報とゲノムコホート研究の成果である生体情報を統合し、疾患原因因子の疫学的解明を行う。また、東南アジアを中心とする国際連携によってコホート研究の母集団拡大も目指す、としている。

 大規模コホート研究は海外では珍しくなく、特に英国が力を入れている。母親の胎内にいたときの状態が、成人になってからいろいろな影響として現れることを明確にしたコホート研究が特に有名で、これは1958年にスタートした大規模追跡調査だ。DNAを調べ、遺伝的な要因も見ようというコホート研究は最近、海外でも始まっている。

 日本では、科学技術振興機構社会技術研究開発センターの研究プロジェクト「脳科学と教育」(2001-09年度、研究総括・小泉英明日立製作所役員待遇フェロー)の中で幼児を対象にした複数のコホート研究が実施された。それぞれ貴重な成果が得られたが、さらに確かな成果が期待される大規模コホート研究への移行は見送られた経緯がある。

 8つのアクション・プラン
 「ゲノムコホート研究と医療情報の統合による予防法の開発」以外のアクション・プランに盛り込まれた7つの重点方策は以下の通り。

 グリーン・イノベーション関連
•「太陽光発電による再生可能エネルギーへの転換の促進」
•「バイオマスによる再生可能エネルギーへの転換の促進」
•「次世代自動車の普及による交通運輸分野の低炭素化」
•「情報通信技術の活用による低炭素化」
•「豊かな緑環境・自然循環の形成
ライフ・イノベーション関連
•「早期診断・治療を可能とする技術、医薬品、機器の開発」
•「高齢者・障がい者の生活支援技術の開発」(サイエンスポータル 2010年7月9日) 

 

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