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 「はやぶさ2」開発へ
  日本は独自に開発した小惑星探査機「はやぶさ」が7年ぶりに地球に帰還したことを受け、2014年に後続の探査機を打ち上げることにした。日本政府はさらに性能を高めた「はやぶさ2」の打ち上げ計画を来月確定する計画だと、日本経済新聞が15日報じた。

  宇宙開発を総括している日本宇宙航空開発研究機構(JAXA)はできるだけ早い時期に後続探査機の開発に着手することにした。JAXAは探査機「はやぶさ」の性能を改善する一方、探査任務の目標も高める方針だ。

  「はやぶさ2」の最も大きな特徴は、探査機を何度もリサイクルする技術を実用化することだ。「はやぶさ」は地球から3億キロ離れた小惑星イトカワに着陸し、宇宙物質をカプセルに入れて先月13日、奇跡的に地球に戻った。

  カプセルを分離し、オーストラリアの砂漠に落下させるのに成功したが、探査機自体は空中で燃えた。1回用だった。「はやぶさ2」からは地球帰還後、探査機をまた宇宙に送り出し、他の任務を遂行できるように改善する計画だ。

 人工クレーター
  JAXAは「はやぶさ2」で大型弾丸を小惑星に衝突させて大きな人工クレーターを作った後、地下物質を収集してくる技術に挑戦することにした。クレーターは直径5〜6メートルで作る予定だ。

  「はやぶさ」の場合、オーストラリアの砂漠に落としたカプセルを通してイトカワの微粒子を採取したが、微量だった。「はやぶさ2」プロジェクトで採取量を増やすのに成功すれば、生命体の起源に関する謎を解く有機物質を確保できると期待している。

  こうした目標に最も適した小惑星は地球から3億キロほど離れている小惑星「1999JU3」。C型と呼ばれるこの小惑星は単に岩石が固まっているS型小惑星のイトカワに比べ、炭素など有機物質が大量に含まれていると推定されている。この小惑星はイトカワの近くにある。

  日本政府はこの小惑星と地球の公転周期を考慮すれば、二つの惑星間の距離が最も近づく2014年が最も適した打ち上げ時期と考えている。JAXAはこれを実現するため、「はやぶさ2」の開発予算を申請する方針だ。

  故障が頻発し、当初の計画より3年遅れで地球に帰還した「はやぶさ」の技術的欠陥などを全面補完する作業も急ぐことにした。「はやぶさ」開発の経験を生かせば「はやぶさ2」開発費用は100億円を大きく超えない見込みだと、日本経済新聞は伝えた。(2010年7月15日 中央日報)

 小惑星の分類
 「はやぶさ2」は、「はやぶさ」と同様に、小惑星からの物質を地球に持ち帰るサンプルリターン・ミッション。ただし、対象の小惑星が異なる。「はやぶさ」が探査したイトカワはS型と呼ばれるタイプに分類されるもので、岩石質の小惑星であった。

 太陽に近い場には、主な材料が岩石質と推定される「S 型小惑星」が多く見られる。これらは火星や地球など太陽系の内側にある岩石質の惑星たちの原材料について、ヒントを与えてくれる。またS 型小惑星は、地球上で最もたくさん発見されている隕石である「普通コンドライト」のふるさとではないかと考えられている。

 「はやぶさ2」が目指すのはC型と呼ばれる小惑星。C型も岩石質だが、有機物をより多く含んだものと考えられている。太陽系空間にある有機物がどのようなものなのか、そして生命との関係はあるのか、非常に面白いテーマに挑戦する。

 小惑星帯の中ほどに最も多く分布しているのが、有機物や含水鉱物を多く含むと考えられている「C 型小惑星」。このタイプは、隕石のうち「炭素質コンドライト」のふるさとと予想されており、地球生命の原材料を調べる上でも、大切な探査対象だと考えられている。「はやぶさ」に続く「はやぶさ 2」ミッションでは、このC 型小惑星からのサンプルリターンを計画している。

 火星よりも木星に近い、暗くて冷たい小惑星帯の外縁には、S型やC型小惑星よりもさらに始原的な天体と考えられる P型や D型小惑星が多数存在している。木星と同じ軌道をめぐるトロヤ群小惑星もD型の宝庫。

 さらに太陽から離れた空間で生まれて揮発性成分を豊富に持つものの、比較的最近に軌道が変わって太陽に近づくようになった活動彗星核や、ガスや塵を噴き出さなくなって見かけ上小惑星との区別が難しい「枯渇彗星核」なども、太陽系全体の物質分布を知る上で、大変重要な探査対象である。

 D、P型小惑星や彗星核をふるさとに持つと思われる隕石は地球上ではほとんど発見されていないため、これら遠方の小天体表面の物質と構造はまったくの未知。(JAXA)
 
 始原天体探査プログラム
 始原天体とは、太陽系が誕生したときやその後の進化の情報を持った天体のことです。地球などの大きな天体では、原材料は全て天体内部で一旦溶けてしまったので、それ以上昔の情報にたどりつけません。一方、大きさこそ小さいものの、現在発見されているだけで数十万個にもおよぶ小惑星や彗星核の多くは、それぞれが太陽系内で生まれた時代と場所の記憶を比較的良くとどめている。

 こうした「始原天体」を探査することで、太陽系がどのように生まれ、どのように成長してきたのか、また私達のような地球生命の原材料が宇宙空間でどのように作られ、進化してきたのかについて、重要な手がかりが得られる可能性がある。そうした知識は、太陽系だけでなく、その他の惑星系の誕生や進化を比べる上でも不可欠だ。

 始原天体の探査目的は、科学だけではない。小惑星や彗星は、過去に何度も地球に衝突しており、そのたびに当時の地球環境に大小様々な影響 --100年前のシベリヤ原野の大爆発から6500万年前の恐竜絶滅まで-- を与えてきた。過去に起きた「宇宙からの天災」は、将来も確実に地球に起こることが予想される。そこで、こうした天体の地球衝突に備える「スペースガード」活動の一環としても、地球接近型小天体の探査は重要なテーマである。

 また月に続く近未来の有人探査のターゲットとしても、火星よりも到達しやすい地球接近型小天体は、近年大きな注目を集めている。さらに遠い将来、人類が深宇宙空間に進出した暁には、月や火星のような重力の大きな天体に昇り降りすることなしに、小天体を資源としてその場で利用できるかどうかを調べておくことも意義がある。(JAXA)

 マルコ・ポーロ 
 小惑星探査機「はやぶさ」「はやぶさ2」に続くさらに高度な始原天体サンプルリターン・ミッションをJAXA では検討している。この構想は、2004年に作られたミッションを検討する作業部会では当初「ポストはやぶさ」と呼ばれていたが、2005年末に初号機と同型である「はやぶさ2」のコンセプトが新たに提唱されて以降、両者を区別するためにフルモデルチェンジを意味する「はやぶさ Mk2(マークツー)」というコードネームが与えられた。

 この検討にヨーロッパの科学者・技術者が大きな興味を寄せ、2007年から日欧共同でミッションを計画することになった。共同ミッションは「マルコ・ポーロ」と命名され、欧州宇宙機構 (ESA) が公募する宇宙科学プログラム「コズミックビジョン」の中型ミッションとして提案された。全50件の応募から第一次審査を通過した8案の一つとなり、2008年から日欧共同でミッション検討が続けられている。

 マルコ・ポーロでは、イトカワや「はやぶさ2」での探査候補天体 1999JU3よりもさらに昔の太陽系の情報を保っていると思われている始原天体を探査し、その表面物質と、できれば地下物質をも地球に持ち帰ることを試みる予定。もしかすると地球上では見つからない、太陽系内に残る最も古い物質を私たちは手にすることができるかもしれない。 (JAXA)

 

参考HP JAXA「始原天体探査 

小惑星探査機 はやぶさの大冒険
山根 一眞
マガジンハウス

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