スライムとは何か?

 毎日暑い日が続く。今日は暑い夏にピッタリ!ひんやりと涼しい「スライム」をつくる実験について、紹介する。

 スライムの元の意味は英語の「slime」からきており、意味は「泥状・粘液状のぬるぬるとしたもの」。現在のゲームやアニメのキャラクターのような存在ではなかった。

 現在のスライムに繋がる直接の祖先としては、1931年にラヴクラフトにが発表した小説「狂気の山脈にて」に登場する人工生物ショゴスが挙げられる。この頃から、様々なスライムが異質な生命体としてSF作品などで扱われるようになった。

 また、この不定形生物に初めて「スライム」の名が与えられたのは、1953年にブレナン(Joseph Payne Brennan)が発表した短編小説「スライム」においてである。

 1974年、ゲームに初めてスライムが登場する。テーブルトークRPG『ダンジョンズ&ドラゴンズ』において、スライム系モンスターのイメージが整理され、ダンジョン内での危険な存在として定義された。

 1986年以降、これらをヒントに、鳥山明氏がデザインしたコンピューターRPG「ドラゴンクエスト」。この中に、コミカルな「スライム」が登場し、一挙に有名になった。



 玩具としてのスライム

 次に人工的に作られ、玩具や教材として使われているスライムを紹介する。

1978年、ツクダオリジナル(現 メガハウス第4事業部)が米マテル社製玩具のスライム状の物質を日本で発売した。

 この「スライム」は小さいポリバケツに入った緑色の半固形の物体で、手にべとつかない程度の適度な粘性と冷たく湿った触感がある。触って遊ぶためだけの玩具であったが、それまでにない新鮮な感覚をもたらしたため大ヒットし、後に様々な類似商品も生まれた。

 そもそもは第二次世界大戦の時にゴムの産地を日本軍に占拠され、ゴム不足となったアメリカで、人工的にゴムを作ろうとして生まれた物だという。

 1985年、第8回科学教育国際会議でマイアミ大学の A.M.Sarquis が初めて日本に紹介し、理科教材として広まった。 ポリビニルアルコール(PVA)は合成糊や洗濯糊の主成分であり、直鎖状の高分子である。これがホウ砂を介して架橋結合するためゲル化する。


 スライムの作り方 

 今回は、ポリビニルアルコールとホウ砂(硼砂)を使った、代表的な作り方を紹介する。

1.食紅や染料(絵の具可)を溶かし、適度な濃さにする。
2.主成分がPVAの洗濯糊(PVAの10%水溶液)を用意する。
3.ホウ砂の飽和水溶液(約4.7%水溶液)を作る。ホウ砂は薬局等で眼の消毒薬として粉末で入手できる。(※注意:ホウ砂には毒性があり、多量に(5g以上)飲むと嘔吐や下痢を起こす)
4.1〜3をプラスチックのコップに1/3ずつとり、これらを、割りばしで混ぜながら、1つにし、よくこねてできあがり。固い場合は水を加え、柔らかい場合はPVAやホウ砂水溶液を追加する。


 スライムの原理

 なぜ、スライムは固体と液体の中間の性質を持つのだろう?

 液体に物質が混ざった分散系のものをゾルというが、分散質のネットワークにより、高い粘性を持ち流動性を失い、系全体としては固体状になったものをゲルという。スライムはゾルがゲル化したものである。

 原料となる洗濯糊はポリビニルアルコール(PVA)の10%溶液であるが、PVAは高分子化合物で、非常に多数の原子が共有結合してできる巨大分子(化学式[-CH2-CH(OH)-]n)である。これはすでに粘性が高いが、まだ液体のゾルである。

 ホウ砂の正式な名称は「四ホウ酸ナトリウム」であるが、これが水に溶けると水素ホウ酸イオン[B4O5(OH)4]2- ができる。水素ホウ酸イオンが、アルコールのOH基に近づくと、そのOH(アルコール)の水素(H)が外れて、酸素原子の求核攻撃が起こり、CH2-O-B の無機酸との強い結合ができて架橋する。これがゲル化の原理である。


 やってみよう

 自由研究として、次のような研究はどうだろう。冷蔵庫に入れて冷やすとどうなる?スライムにお酢(酸)や重曹(アルカリ)を加えたらどうなる?また、食塩・アルコールを加えたらどうなる?


参考HP Wikipedia「スライム」・スライムずくり・Play and learn by Slime「スライム考察


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