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 イレッサ訴訟:副作用で死者
 副作用で多数の死者が出ている肺がん治療薬「イレッサ」をめぐり、死亡した患者の遺族計4人が輸入を承認した国と販売元の「アストラゼネカ」(大阪市)を相手取り、計約7700万円の損害賠償を求めた訴訟の口頭弁論が8月25日、東京地裁(松並重雄裁判長)であった。原告側は「被告は危険性を認識しながら販売し被害を拡大させた」と主張して結審した。判決期日は追って指定される。  

 原告側は「臨床試験など副作用による死亡が複数あったのに、国は十分な検討をせず承認した。ア社は承認前から『副作用が少ない』などと宣伝、販売した」と指摘。市販後も医療機関への警告を怠ったなどと批判した。

 これに対し、国などは、「国内臨床試験での死亡例はなかった。販売後も危険性が判明した際に早期に適切な対応をしてきた」などと反論した。

 使用開始当初に死亡者が集中した理由についてア社は、使用する中で安全な使用法が広がる「育薬のため」と説明、原告の反発をかった。

 薬害イレッサ訴訟は、平成16年7月に大阪地裁、同年11月に東京地裁で提訴され、大阪地裁は来年2月25日に判決が言い渡される。

 これまでの裁判の争点はイレッサの有効性と承認後の国やア社の安全対策など。有効性をめぐっては「臨床試験などで有効性を証明するデータはない」と主張する原告に対し、国側は「標準的な治療薬よりも腫瘍(しゅよう)縮小効果があった」など反論している。(産経ニュース 2010.8.25)

  イレッサ訴訟の争点
 間質性肺炎を中心とした副作用死が多発したことに対して、「薬害」であるとして、危険な医薬品を製造・販売したとしてアストラゼネカの責任を問う論や、承認を行った厚生労働省の責任を問う論がある。また、承認取消や使用制限を行うべきだという論もある。

 その一方、十分に注意して投与すれば他の抗癌剤と比較しても危険は少なく、他抗癌剤が無効の場合でも劇的な功を奏することがあり、欠くことのできない重要なものであるという論もある。また、ある程度の危険性があったとしても、他に治療方法が無い場合にはリスクに関するインフォームド・コンセントを十分に行った上で使わざるを得ないといった論がある。

 2010年8月現在、日本において承認取消や使用制限は行われていない。通常は他の薬の審査待ちで、1年ほどの審査期間が掛かるが、イレッサの場合は優先して審査したので、5ヶ月ほどのスピード承認となった。

 当初は副作用が少ないと言われていたが、その承認前には、既に間質性肺炎の副作用のデータはあった。同年7月16日の発売直後から、肺胞の周囲が炎症を起こして酸素が取り込めなくなる、間質性肺炎など重篤な副作用が多発し、死者数は瞬く間に増える。厚生労働省は同年10月15日、イレッサとの関連性が否定できない副作用26例、うち死亡13例を盛り込んだ緊急安全性情報を発表。

 その後も死者は次々と増え、その年の終わりまでには180人を数えるに至った。2003年の202人をピークに減少したが、2010年7月末日までの死者の累計は、810人に上ると言われている。

 症状が進んだ患者で、1〜2年は延命したケースも実際あるが、これで生き残る患者は珍しい。また、多くの臨床試験で延命効果は証明されていない。イレッサ使用継続を後押しした、ガイドライン作成に関わったメンバーの中に、講演料などの報酬を、メーカーから貰っていた人がいたのも問題である。(Wikipedia)

 イレッサとは?
 一般名はゲフィチニブ。再発したり手術が不可能な肺がんの治療薬として英アストラゼネカが開発。日本では薬事法の優先審査規定に適用され、平成14年7月、申請から約5カ月のスピード審査で世界に先駆けて承認。肺がんの原因遺伝子「EGFR」に作用する分子標的薬で、副作用が少ない画期的な新薬として期待された。

 イレッサ製剤は手術不能又は再発した非小細胞肺癌に対する治療薬として用いられる。製造・販売元はアストラゼネカ株式会社で、商品名は「イレッサ® (Iressa®)」。イレッサ®錠は白色の錠剤で一錠250 mgのゲフィチニブを含有する。日本における一錠の価格(薬価)は6,560.50円(2008年4月現在)。

 イレッサは2002年7月5日、世界に先駆けて日本で承認を受けた後、2003年5月5日アメリカ食品医薬品局 (FDA) での承認を含め、いくつかの国で承認を受けた。しかし、無作為比較臨床試験(ISEL試験)の結果、プラセボと比較して生存期間を延長することができなかったため、2005年1月4日アストラゼネカは欧州医薬品局 (EMEA) への承認申請を取り下げ、また2005年6月17日アメリカ食品医薬品局 (FDA)は本薬剤の新規使用を原則禁止とした。

 その後2009年7月1日欧州医薬品局は、後述のINTEREST試験とIPASS試験の2つの無作為化第III相臨床試験の結果をもとに、成人のEGFR遺伝子変異陽性の局所進行または転移を有する非小細胞肺癌を対象にイレッサの販売承認を行った。2010年現在イレッサを承認している国は、日本を含めたアジア諸国、欧州、およびオーストラリア、メキシコ、アルゼンチンである。(Wikipedia)

 間質性肺炎とは?
 間質性肺炎は肺の間質組織を主座とした炎症を来す疾患の総称で、治療の困難な難病である。肺は血液中のガスを大気中のものと交換する器官であり、大気を取り込む肺胞と毛細血管とが接近して絡み合っている。それらを取り囲んで支持している組織が間質である。

 通常、肺炎といった場合には気管支もしくは肺胞腔内に起こる炎症を指し、通常は細菌感染によるものを指す。間質性肺炎の場合は支持組織、特に肺胞隔壁に起こった炎症であり、肺胞性の肺炎とは異なった症状・経過を示す。大きな特徴は2つである。

 肺コンプライアンスの低下
 いわば「肺が硬くなる」。肺の支持組織が炎症を起こして肥厚することで、肺の膨張・収縮が妨げられる。肺活量が低下し、空気の交換速度も遅くなる。
 ガス交換能の低下
 間質組織の肥厚により毛細血管と肺胞が引き離される。その結果、血管と肺胞の間でのガス交換(拡散)効率が低下し、特に酸素の拡散が強く妨げられることになる。

  症状
 その病態から、呼吸困難や呼吸不全が主体となる(息を吸っても吸った感じがせず、常に息苦しい)。また、肺の持続的な刺激により咳がみられ、それは痰を伴わない乾性咳嗽である(痰は気管支や肺胞の炎症で分泌されるため)。 肺線維症に進行すると咳などによって肺が破れて呼吸困難や呼吸不全となり、それを引きがねとして心不全を起こし、やがて死に至ることもある。(Wikipedia) 

 

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