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 サンマ漁獲量徐々に回復
 猛暑の影響で不漁、高値がついていたサンマ。スーパーで売られているのは北海道産のサンマだろうか、ここにきて少し安くなってきたようだ。

 サンマの適温は13〜15℃。その温度の海域が下がってこなければ、サンマはとれない。9月初旬は日本近海はどこも20℃以上。気象庁の海面水温の色分け解析図を見ると、日本周辺はどこも真っ赤、20℃以上を示していた。しかし、9月中旬の解析図をみると北海道根室沖に15℃の海域が表れている。

 9月16日の朝、銚子市の銚子漁港に、色丹島沖で漁獲されたサンマ60トンが初水揚げされ、大勢の仲買人らで活気づいた。ただ、不漁の影響で例年より1か月近くも遅く、昨年より26日遅れの初水揚げとなった。

 銚子漁港は昨年、10月以降の干物や缶詰などの加工用、輸出用を中心にサンマの水揚げ量が日本一となった。今年は、漁獲量の減少に加えてサンマの南下が遅れており、水揚げ量が少ない状態が続くと加工業者への影響も懸念される。(9月16日毎日新聞)

 北海道根室では、第18回根室さんま祭り(協賛会主催)が根室市海岸町の根室港特設会場で始まった。不漁で食卓から遠のいていた旬のサンマを求め、観光客や市民らでにぎわった。

 サンマ漁は全国的に不振が続く中、根室・花咲港の水揚げは3日連続で千トンを超えるまでに回復。このため炭火焼きサンマの無料配布は例年通り4.8トン(約3万匹)を用意できた。来場者がこんがり焼き上げ、大根おろしとともに味わった。 (2010年9月17日  読売新聞)

 イワシ20年ぶり漁獲量復活
 一方、イワシは今年豊漁で、売り上げも伸ばしている。この夏、多くの港が豊漁にわいた。宮城県の石巻漁港のマイワシの水揚げは、1月から8月末までで昨年の10倍。千葉県の銚子漁港の水揚げも同5割増の2万9000トンだ。イワシは1980年代から漁獲量が激減していたが、復活の道を歩み始めたのか。

 「今年の夏は昨年の倍近くのイワシが出ました」。東京・築地市場の卸売会社、中央魚類のイワシ担当、柏忍さんは語る。価格も手ごろだ。食品スーパーチェーンの「マルエツ」(東京都豊島区)ではこの夏、イワシが「昨年より2割ほど多く売れた」という。

 マイワシは5匹程度の1パックで200〜230円に対し、例年1匹100円前後のサンマは8月初旬ごろにはその5倍程度に上ていたからだ。今年のイワシは大型で肉質もいい。「ふっくら丸いグラマー。皮の下も脂がびっしりとついて白いほど」と柏さん。

 原因はレジーム・シフト?
 マイワシは1980年代、全国でおおむね300万〜400万トン台の水揚げがあった。だが1990年代に激減、2005年には2万7000トンとピークの0.6%に。以後も10万トン割れだったが、昨年は6万1000トンと前年より約3万トン増えた。

 水産庁漁場資源課は豊漁の理由を「はっきりは分からないが、水温やえさになるプランクトンが成長に適していたり、漁船が漁をしやすい沿岸から比較的近くに、群れがいた可能性もある」と話す。

 過去の急激な増減については、地球規模での気候変動による水温の変化などで、数十年サイクルで特定の魚種が増え、交代するように別の魚種が減少する「レジーム・シフト」が起きたとする説が有力になっている。ただ、現況が次の山へ向かう流れに入ったのかは「不明」(同課)という。9月に入り水揚げは落ちてきている。(毎日新聞 2010年9月14日)

 レジーム・シフトのレジームとは地球環境の「基本的な構造」、シフトとは「転換する」という意味。一言でいうと、レジーム・シフトとは気候が、ある状態から別の状態へと地球規模で急速に変化し、その影響を受けて海の環境や生態系が大きく変化する自然現象のこと。この現象の大きな特徴は、その急速な変化にもかかわらず、ひとたび発生すればその状態が10年以上持続する。

 栄養たっぷりイワシ・サンマ
 
大衆魚としてのイワシは、人気の面でサンマと差がついた。総務省の家計調査では、2009年の1世帯当たりの購入額はイワシはサンマの4割。回転ずしの「くらコーポレーション」(堺市)も、「イワシは若い層はあまり食べない。ネタの人気としては20番目にも入らない」と話す。

 しかし、梶原苗美・神戸女子大教授(栄養生理学)は「イワシ、サンマとも血栓ができるのを防ぐ脂肪酸、EPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)を豊富に含みます。特にイワシはサンマと違い、骨や身が軟らかく、煮つければ頭ごと食べられる。つみれにして汁も飲めば、溶けだした油脂分も無駄にせず取れます」と話す。

 築地市場で仲卸を長く務めた魚料理店「魚河岸三代目 千秋」(東京都中央区)の店主、小川貢一さんは「イワシは昔からの庶民の魚だから愛着があり、店では塩焼きやつみれなどにしています。新鮮なイワシはくさみがなく、独特な脂のうまみと甘みが楽しめます」と魅力を語っている。(毎日新聞 2010年9月14日)

 今回の漁獲量の変化には、大きな気候変動「レジーム・シフト」が起きた可能性がある。だが、栄養の豊富な、イワシの豊漁はうれしい。サンマの値段も落ち着いてきて庶民に手が届くようになった。とりあえず秋の味覚を楽しみたい。 

 

参考HP Wikipedia「サンマ」「イワシ」「レジーム・シフト」・イワシ料理専門店「浜清丸 

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