昆虫の神経系とはたらき

 「えっ、昆虫にも脳があるの?」と思われる方がいるかもしれない。脳というと学校の理科室に展示してあった人間の脳が連想され、あの白くブヨブヨしたような皺のよった脳が頭に浮かぶからである。昆虫の小さな頭の中にはあんな脳はあり得るはずがないと感ずるのももっともである。また、“虫けらどもに万物の霊長たる人間様と同じような脳があってたまるか”と言われるかもしれない。

 確かに人間は極度に発達した脳を持ち、それによって、わがもの顔に地球を支配するまでに至っている。それに比べれば昆虫などはとるに足らないものと思うかもしれない。しかし,数の上では地球上の動物種の3分の2を占め、地球は昆虫の王国とも言われる程である昆虫にも小さいながられっきとした脳が存在している。

 昆虫の脳は人間の脳と違ってやや堅い感じの殻を被っており、“脳神経節(または球)”とも呼ばれている。もちろん、頭の中にあるが、それから胸部や腹部の方へ“はしご状神経系(または神経索)”と呼ばれる神経節のつながり(胸部や腹部の神経節間のつながり部分は2列にはしご状に並行して走る神経繊維の束)が伸びており、人間の脊髄にも似ている。ただし、人間と違って、脳以外の神経索は体の背側でなく、腹側を通っている。


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