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今年も10月4日、ノーベル賞が発表される。2008年の受賞者を思い出す。この年日本人が4人も受賞した。一昨年、2008年の日本人受賞者は誰だったでしょう?
正解は、ノーベル物理学賞の南部氏、小林氏、益川氏、ノーベル化学賞の下村氏である。受賞研究は南部氏は「自発的対称性の破れ」小林氏益川氏は「CP対称性の破れ」下村氏は「緑色蛍光タンパク質(GFP)」であった。
日本人ノーベル賞候補者
さて昨年、日本人受賞者は残念ながらいなかったが、今年も候補者はたくさんいる。2009年ラスカー賞「iPS細胞」の山中伸弥氏、そして、MRIの発明者小川誠二氏。2008年ラスカー賞、2006年日本国際賞を受賞した遠藤章氏の抗コレステロール薬「スタチンの研究」。2005年日本国際賞受賞の竹下雅俊氏の「細胞の接着分子カドヘリン研究」論文の引用数では世界一の審良静男氏の「免疫受容体の研究」がある。
物理学のベンジャミン・フランクリン・メダル受賞を受賞したのは、1999年受賞の外村彰氏の「ホログラフィー電子顕微鏡の開発」。2002年受賞の飯島澄男氏の「カーボン・ナノチューブの発見」。2002年受賞の中村修二氏の「青色発光ダイオードの開発」。
化学賞では、日本国際賞2004年受賞の本多健一氏と藤嶋昭氏の水の光分解反応の発見がある。飯島澄男氏の「カーボン・ナノチューブの発見」や中村修二氏の「青色発光ダイオードの開発」も新素材ということで化学賞で評価されてもおかしくない。(参考:朝日新聞2008.10.3 「出るか日本人受賞者」)
学術論文の引用数で有力な2人の日本人
米国に本拠を置く学術情報サービス会社トムソン・ロイターは21日、10月上旬に発表される今年のノーベル賞の自然科学系3賞と経済学賞の有力候補として、3人の日本人研究者を含む21人を発表した。
医学・生理学賞(4日発表)の候補としては、iPS細胞(人工多能性幹細胞)を世界で初めて作製した山中伸弥・京都大教授を挙げた。化学賞(6日発表)では、有機物と金属を組みあわせた多孔性材料を研究している北川進・京都大教授を選んだ。
経済学賞(11日発表)には、経済モデルを構築した清滝信宏・米プリンストン大教授を候補に挙げた。
同社は、学術論文の被引用数などをもとに、ノーベル賞の有力候補を選んでいる。(ashicom 2010年9月21日)
北川進・京都大学教授とは?
「iPS細胞」の山中教授は、おなじみだが北川進・京都大学教授については知らない方もいらしゃるかもしれない。
北川 進・京都大学教授は、現在56歳。昭和49年3月に京都大学工学部石油化学科を卒業された。そのまま京都大学で学ばれ、昭和54年3月、京都大学大学院工学研究科石油化学専攻博士課程修了し、工学博士になられた。 昭和54年からは、近畿大学、東京都立大学で研究を続け、平成10年6月には、京都大学にもどられ、現在は京都大学物質-細胞統合システム拠点 副拠点長として活躍されている。
集積型金属錯体
1980年代、配位結合を用いて遷移金属イオンを連結し、多様な集積型金属錯体を合成する分野において、銅イオンを始めとする各種金属元素、酸化状態の集積型金属錯体にいち早く注目し研究を進めた(Inorg. Chem., 1981, 1982, 1984)。
特に、1価銅オレフィン錯体の合成反応を開発し、1、4ーシクロオクタジェンの2成分錯体を始めとする多くの銅オレフィン錯体を単離して、1価銅とオレフィンとの結合の性質を明らかにした研究(Inorg. Chem., 1986)は、植物のエチレン受容体が、1価銅のような低原子価金属である可能性を示す研究として、生物化学者からも高い評価を受けた。エチレンは植物ホルモンの一種で植物自身がつくり出すしくみを解く鍵になる研究である。
多孔性物質のデザイン
多孔性物質というと活性炭や、中空糸膜などには多数の穴があいており、この穴にさまざまな汚れや細菌が吸着されるので、浄水器などではよく使われている。
だが、この穴の大きさはまちまちで、物質であれば何でも吸着してしまう。物質を分けて取り除くというようなことはできなかった。多孔性物質を分子レベルまで、構造をデザインし、特定の物質を目的に、しかも大量に集めることを可能にしたのが、北川教授の研究である。
1990年代、集積型金属錯体固体が持つ多様なナノ細孔空間を、機能空間として利用する立場から、配位子の形、サイズ、官能基を自在に設計し、金属イオンとの配位結合を3次元的に制御したナノ細孔構造を構築する研究を進めた(Dalton Trans, 1991 ; Inorg. Chem., 1992 ; Angew. Chem. Int. Ed. Engl., 1994)。
1997年、世界に先駆けて高温で安定な、さね継ぎ構造、相互貫入構造、ピラードレイヤー構造、3次元グリッド構造を持つチャンネル空間を実現した。これは、「錯体固体はゲスト分子を除くと無機物に比べてもろく、吸着、反応などの機能場として適さない」とみなされていた定説をくつがえすものであった。
多孔性配位高分子(多孔性金属錯体)
こうした知見に基づき、世界で初めて、錯体系による常温、高圧でのメタンの大量吸蔵能をもつことを実証した(Angew. Chem. Int. Ed., 1997)。この成果は、吸着材料や新しい触媒につながる成果として期待されている。
その後、多孔性配位高分子が高い結晶性を有する点に着目し、合成の段階で用いる金属イオンの配位ジオメトリーや置換基に規則的かつ高密度な化学修飾を施す研究を進め先駆的な成果を上げている。
2002年には、多孔性配位高分子の内部空間に酸素分子を1 次元に配列させることに成功し、X 線回折によるin-situ測定によって1 次元酸素分子構造を直接観察した(Science, 2002)。また、細孔表面における塩基性官能基の配置を工夫し、アセチレン分子を2 重の水素結合によって安定した状態でトラップする手法を提案し、細孔内部のアセチレン分子は通常の爆発限界の200 倍以上もの密度で濃縮可能である事を実証した(Nature, 2005)。
さらに、2 種類の細孔を持ち、0.01nm単位で細孔サイズを制御できる多孔性配位高分子の合成(Nature Materials, 2007)に成功するなど、現在、多孔性物質分野で先導的な役割を果たしている。
参考HP JST「北川統合細孔プロジェクト」 ・京都大学「山中グループiPS細胞研究所」
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