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 地球サイズ 三つの巨大な黒点
 このところ太陽の活動が活発化してきた。2010年8月には黒点「0」の日が1ヶ月続いて、地球が寒冷化するのではないかという意見も出ていたが、ひとまず2013年のピークを目指して増加するようだ。

 2月19日、太陽に巨大黒点群が久しぶりに確認された。黒点群は2カ所にあり、その中の特に大きな3つの黒点はいずれも地球サイズ。太陽活動は再来年ごろのピークに向け、徐々に活発化しており、黒点群はその表れだ。ただ、活動は全体的には低迷期に入りつつあり、ピークは控えめで、その後、地球がミニ氷河期に入るとの指摘もある。

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 また、太陽活動を監視している情報通信研究機構によると、2月14日には太陽表面で4年ぶりとなる大規模な爆発(フレア)があり、通常の約100倍のX線が放出された。

 今回の黒点は目のいい人なら見える可能性があるが、観測は専用のメガネを使わないと危険だ。国立天文台の渡部潤一教授によると、実際に見えたという報告が複数寄せられているという。(asahi.com 2011年2月19日)

 4年ぶりに最大規模の太陽フレア発生               
 NASAは、2月14日午後9時頃(日本時間15日午前11時頃)に、約4年ぶりとなる最大規模の太陽フレアを確認したと発表した。太陽フレアは磁場の不安定化により発生する。同時に噴き出す大量の荷電粒子が16日夜(日本では17日昼頃)に地球の大気圏と衝突、通常よりはるかに低緯度の地方でもオーロラが夜空を舞う可能性がある。

 太陽フレアは、太陽表面の磁力線が交差して打ち消し合い、つなぎ替わる現象(磁気リコネクション)が引き金になって発生する。

 「大規模なリコネクションが起きてループを生成、磁力線のエネルギーが大量の熱として放出される。今回のケースでは摂氏約1900万度に達する超高温のブラストが観測された」と、NASAの太陽観測衛星ソーラー・ダイナミクス・オブザーバトリー(SDO)プロジェクトに携わる物理学者ディーン・ペスネル氏は説明する。

 可視光では太陽表面に1158個の小さな黒いスポットが見えるだけだが、実際にはこの黒点群で太陽フレアが起きていた。「SDOがなければ、黒点の上空で何が起きているのか、まったくわからなかっただろう」と同氏は言う。

 14日発生したほんの一瞬の磁場の崩壊で、磁力線がバネの役割を果たし、磁場に閉じ込められていた荷電ガスの高速流が解き放たれた。それと同時に、コロナからは大量の物質が宇宙空間に放出された。

 この現象をコロナ質量放出(CME)と呼び、船外活動中の宇宙飛行士に深刻な放射線被曝をもたらす危険がある。地球磁気圏に衝突すると、通信衛星や送電網が多くのダメージを受ける。

 だが、今回地球へ向かう太陽風には特に危険性はないと予想されている。「直撃するわけではないからだ」とペスネル氏は理由を述べる。

 低緯度でもオーロラが見られる
 ただ、大きな地磁気変動が16日夜(日本では17日昼頃)に発生し、北極光や南極光とも呼ぶオーロラが観測されるだろう。オーロラは、大気中の原子が太陽から放出された荷電粒子との衝突によってエネルギーを獲得し、そのエネルギーを一部放出すると発光する。

 米国海洋大気庁(NOAA)宇宙天気予報センターによれば、北半球ではワシントンD.C.の緯度でも約30%の確率でオーロラを観測できるという。ただし、アメリカ北部以南のオーロラは、ぼんやりと赤く光る拡散オーロラで、北極圏のようなネオン色のカーテンは期待できない。さらに、満月に近い月も邪魔をする。

 今回発生した太陽フレアは、2006年12月以来となる最大の「Xクラス」を記録した。X線の強度で5つにクラス分けされ、「X」が最も強い。

 だが、X2.2クラス(地球静止軌道上で1平方メートルあたり0.00022ワット)の規模は、まったくの想定外というわけではない。「太陽が活動期に突入すると予想されていた時期とまったく一致していた」。

 ペスネル氏によると、2000年代初めの巨大な太陽フレアには遠く及ばないという。2003年11月の観測史上最も激しいフレアは10倍の威力があった。「当時のスケールに比べれば平凡だ。SDOの素晴らしい画像は収穫だけどね」とペスネル氏はコメントしている。(National Geographic News February 17, 2011) 


 巨大フレアの直撃でインターネット破壊?
 ひとまず太陽活動が回復してホッとしたところだが、活発になればなったで、また心配になることもある。例えば、1989年に発生した太陽フレアが地球を直撃して、カナダからアメリカ西海岸までの広大な電力網を破壊したことがあった。復興にカナダでは数ヶ月かかっている。ただ、この時にはインターネット以前の時代で、特に個人は今ほど生活上の様々をインターネットに依存していなかったので、影響は限定的だった。

 2003年には観測史上最大の太陽フレアが発生している。幸いにも、このフレアは地球に向かわなかったので、大きな影響はなかった。このフレアが地球を直撃していたら、今のIT社会の繁栄はなかったか、少し遅れていたかもしれないと言われている。

 そして、現在サイクル24の最大の太陽活動期には、これを上回るフレアが起こるとされている。米国の NASA はすでにこの場合の被害想定を試算していて、1989年や2003年の時と同等のフレアの地球への直撃が米国で2012年に起きた場合の想定では、被害額は「最初の1年間で100兆~200兆円」にのぼり、「完全復旧には4年~10年」を要すると予測している。これは、他の自然災害とは比較にならない甚大な被害である。

 また、「太陽黒点数が増えると、戦争や社会動乱が増える」という論文も発表されていて、1979年にはイラン革命、1991年にはソ連崩壊、2001年には同時多発テロなどが起きている。そういえばこのところ、エジプトやチュニジア、リビアなどで民主化を求める運動が起きているが、黒点数の増加と何か関係があるのだろうか? 


 参考HP 地球の記録 人類と太陽サイクル24の活動期を迎えて National Geographic 4年ぶりに最大規模の太陽フレア発生

“不機嫌な”太陽―気候変動のもうひとつのシナリオ
H スベンスマルク,N コールター
恒星社厚生閣
太陽黒点と歴史の脈動 太陽黒点数約50年周期と気候・経済変動
住田 紘
文芸社

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