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目の前は海なのに...
 福島第一原子力発電所では、第1号機に続き、第3号機も水素が爆発。また第2号機についても、原子炉を安全に冷やすために必要な「非常用の発電機」すべてが使えなくなり、冷却を継続して行う能力が十分にないと判断し、原子力災害対策特別措置法に基づいて、「原子力緊急事態」を宣言した。

 今回の事故、巨大地震発生の緊急事態が起こり、地震の揺れを検知して自動停止。制御棒が挿入されて炉心の核反応を抑えた。ここまではうまくいっていた。あとは、原子炉に水をポンプで注入すれば冷却できた。しかし、地震や津波によって、ポンプを動かす発電機が使えなくなることを十分に想定していなかったという。これは準備不足と言わざるを得ない。

 さらに、発電所の3キロ圏内から避難した22人が被ばくした。そして、1号機に続き、3号機,2号機も炉心溶融した可能性がある。今回の場合、制御棒がさしてあるので、チェルノブイリ原発のような、核連鎖反応による爆発は起きないと思われるが、スリーマイル原発程度の事故になるかもしれない。

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原発「炉心溶融」はレベル4  
 福島第一原子力発電所1号機で国内で初めて、原子炉内の核燃料が溶ける「炉心溶融」が起きたことについて、経済産業省の原子力安全・保安院は事態の深刻さを示す国際的な基準に照らして評価をした結果、12年前に、茨城県東海村で起きたJCO臨界事故と同じ「レベル4」にあたると判断した。

 原子力施設で起きた事故については、原子力安全・保安院が国際的な評価基準のINES(国際原子力・放射線事象評価尺度)に基づいて事態の深刻さをレベル0から7までの8段階で評価することになっている。12日、東京電力・福島第一原発の1号機で燃料のウランの核分裂でできるセシウムやヨウ素といった放射性物質が検出され、核燃料が高温となって溶け出す「炉心溶融」が国内で初めて起きたことについて原子力安全・保安院は、8段階のうち1.燃料の損傷や2.放射性物質の相当量の放出があった場合に相当する「レベル4」と判断した。(NHK 3月13日 3時56分)

3号機も「炉心溶融」の可能性
 14日11時すぎ、3号機で水素爆発が起きた。爆発音とともに大量の煙が立ち上り、建屋の上部が吹き飛んだ。東電社員、海水注入を手伝っていた陸上自衛隊員ら計11人がけがをし、うち6人が被曝し、1人は入院した。隣接する同原発2号機も同日午後5時過冷却機能を喪失して原子炉の水位が低下し、燃料棒が露出、1,3号機に続き水素爆発する懸念が高まっている。

 3号機は、爆発後、原子炉と格納容器は機能しているが、1号機同様に、炉心が溶けだす炉心溶融の初期段階である燃料損傷が広がっている可能性は高い。保安院は、半径20キロ圏内にとどまっていた約600人に緊急措置として屋内待機を指示した。同日午後、圏外への避難が始まった。被曝者の有無は不明。

 保安院によると、3号機は、原子炉内の燃料棒の露出が続き、建屋上部に充満した水素ガスの爆発の危険性が高まっていた。東電は、海水を注入して、爆発回避に努めたが、同日午前1時過ぎ、施設内の貯留槽の海水が枯渇したため一時中断。これによって水位が低下し、露出した炉心に触れた水蒸気から大量に水素が発生し、爆発につながったと見られる。

 爆発後も炉内へ海水を注入しているが、燃料棒は依然2.2メートル(同日午後5時現在)露出している。燃料棒の損傷が進んでいると見られるが、ウラン燃料の損傷を示す「セシウム137」などの放射性物質は観測されていない。

 爆発後の発電所正門付近の放射線量は午後1時55分の時点で、1時間あたり約15マイクロ・シーベルトと急激な上昇は見られない。(2011年3月14日19時56分  読売新聞)

2号機も「炉心溶融」の可能性
 3月14日 19時10分、原子炉を冷却させる機能がすべて失われた福島第一原子力発電所2号機で、原子炉の水位が急激に下がり、14日午後5時すぎ、核燃料が水面から露出し始めた。東京電力では、1号機と3号機で起きたとみられる水素爆発につながるおそれがあるとして、原子炉に海水を入れるなど冷却作業を急いでいる。

 福島第一原発の2号機では、蒸気を使って動く装置を用いて水を循環させ、原子炉の冷却を続けてきたが、周囲の温度が高くなり、冷やすことができなくなった。このため東京電力は、すべての冷却機能が失われたとして、午後1時半すぎ、国に対し法律に基づいて「緊急事態」を知らせる、いわゆる「15条通報」を行った。

 東京電力によると、その後、原子炉を冷やす水の高さが急激に下がり、午後5時すぎに燃料棒が水面に露出し始めた。このため東京電力では、海水を入れて原子炉を冷やす作業を急ぐとともに、1号機や3号機で起きたとみられる水素爆発が2号機でも発生するおそれがあるとして、原子炉建屋の壁に穴を開けて水素を外に逃がす対策などを検討している。

 3月14日 20時8分、東京電力によると、福島第一原子力発電所2号機で、14日午後6時20分から海水を入れる作業を始めたが、その後、海水が入っていることが確認できず、原子炉の中にある燃料棒がすべて露出している可能性があることを明らかにした。「炉心が溶けた可能性は否定できない」としている。経済産業省の原子力安全・保安院によると、原子炉に海水を入れるためのポンプがうまく働いていないため、水を入れることができない状態になっているという。

チェルノブイリ事故とは何か?
 1986年4月26日、旧ソ連のウクライナ共和国の最新型原子炉が事故をおこした。核暴走事故である。運転開始後初めての定期検査時に、原子炉を停止する際にちょっとした実験をしようとしていたところ、計画変更やミスのため仕方なく不安定な低出力での実験をせざるを得なかった。設計上の問題も重なり、原子炉の反応が進んで暴走・爆発、砕け散った燃料と水の反応で水蒸気爆発が続きた。この暴走事故では、おかしいと気づいてから放射能が環境に噴出するまでの時間は、せいぜい数十秒程度と短く、かつ当局が事故について的確に公表しなかったので、周辺住民の避難は大幅に遅れた。

 事故の爆発規模は、TNT 火薬換算で500キロ程度の爆発なみと推算されています。この爆発は、原子炉の出力が1秒たらずの間に通常運転時の約500倍にも急増したために、原子炉内で急激に水蒸気が発生しておこったと推定されている。通常、原子炉内は制御棒によって出力急増を抑える仕組みが出来ていること、万一の緊急時には緊急原子炉冷却装置が働き、絶対に安全といわれてきたものだ。しかし、この事故の場合は、反応をとめるために差し込んだ制御棒は、設計ミスのためにかえって反応を増加させてしまった。そのうえ緊急原子炉冷却装置はなぜか切られていた。

チェルノブイリ事故による放射能汚染
 この事故による放射能汚染被害は、広島原爆の約600倍ともいわれています。放射能は北半球全体にばらまかれ、ベラルーシ、ウクライナ、ロシアの三国だけでも900万人以上が被災し、40万人が移住させられた。短期間に大量被ばくした、80万人にも上る若い事故処理作業従業者の多くは放射線障害のために苦しんでおり、この人たちの中からいずれは何万人という死者が出ると予想されている。

 被災三国では、日本の面積の4割に相当する14万5000平方メートルが、セシウム137で1平方キロメートル当たり1キューリー以上汚染された。そこに住む人口は約590万人とわれており、これから恐らく10万人にのぼる癌が出ると考えられる。もし、東海原発でこの規模の事故がおきたら、東京は全滅ゾーンに入ってしまう。

  放射能による食品汚染
 地表や水が放射能で汚染されると植物・農作物が汚染される。汚染された土地に棲み、よごれた水を飲み、汚染された植物を食べる動物はさらに体内に放射能を蓄積することになる。汚染地では、自家栽培の作物や家畜に頼らざるをえない人も多く、人々の体内放射能量は増加傾向が見られ、人々はいつも健康に対する不安を抱きながらの生活を強いられる。放射能による食品汚染は汚染された地域だけに限られた問題ではない。

 チェルノブイリから1500キロ以上も離れたスカンジナビア半島にすむトナカイをはじめとして、イタリア、ギリシャ、フランス、を含むヨーロッパ諸国の野菜、家畜、ハーブ 、キノコ類など多種類の食品が汚染され、それが海外に輸出される。日本では食品汚染の上限を370べクレル/kg と決められているので、これをこえて汚染された輸入品は送り返された。半減期の長い放射能(例えばセシウム137の半減期は30年)により高度に汚染された地域では、未だに農作物を食べることは危険である。

放射性ヨウ素による甲状腺癌の発生
 事故直後、放出された大量の放射性ヨウ素は、甲状腺を集中的に被ばくさせた。ベラルーシの小児甲状腺癌の発生は、事故前は年間約1人だったのが、事故8年目には82人にも達している。


参考HP よくわかる原子力 チェルノブイリ原発事故

原子力ルネサンス ?エネルギー問題の不可避の選択? (知りたい!サイエンス 38)
矢沢 潔
技術評論社
原子炉の暴走―臨界事故で何が起きたか
石川 迪夫
日刊工業新聞社

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