太陽の第24活動周期始まる

 このところ太陽活動が活発化してきた。2月19日、太陽に巨大黒点群が久しぶりに確認された。また、2月14日には太陽表面で4年ぶりとなる大規模な爆発(フレア)があり、通常の約100倍のX線が放出された。

 太陽の活動周期は通常およそ11年だが、第23活動周期が終わって活動が底を打ったはずの2008年をすぎても太陽はなかなか活発化に向かわず、それから2年にわたって黒点はほぼ消え、磁場も弱まっていた。今回、ようやく第24活動周期が確認された。第23期が長くなった理由はなぜだろう?

 2008~2009年に太陽の黒点がほとんど現れなかったのは「1990年代後半に太陽のループ状プラズマ流のスピードが速まった時期があったせいでは…」とする研究結果が発表された。


 太陽には表面付近と内部を行き来するループ状コンベアベルトのプラズマ流が存在する。表面に現れて時間が経過し勢いの衰えた磁場がコンベアベルトにのって極付近で内部にもぐりこみ、表面下30万kmで磁気ダイナモにより再び勢いを得て赤道付近の表面に現れる。これが太陽の活動1サイクルとなる。


 1990年代後半プラズマ流が高速化

 インド科学教育研究機関カルカッタ(IISER-Kolkata)のDibyendu Nandi氏らのシミュレーションによれば、第23活動周期の上昇期にあたる1990年代の終わりごろにプラズマ流の流れが速まっており、そのため磁場が内部でじゅうぶん「充電」する時間がなかったと見られる。さらに、「充電不足」の磁場が表面に現れる2000年代になって高速化していたプラズマ流が元通りスローダウンしたことで、黒点のない磁場が表面にとどまる時間が長くなり、第24周期の開始が遅れた、という。

 シミュレーション結果は、黒点の減少だけではなく磁場の衰えともつじつまが合うもので、シミュレーションモデルの妥当性はじゅうぶんという確証も得られた。今後、観測で得られるプラズマ流の動きをこのモデルに組み込んでさらにシミュレーションを行うことで、極小期の予測や解明が進むと期待される。

 長らく低迷していた太陽活動だが、今年2月14日には数年ぶりの大規模フレアが起き、大きな黒点も見られるようになっている。新しい極大期に向けいよいよ本格的に活発化してきたのかも知れない。


 プラズマ・コンベアベルトとは何か?

 プラズマとは、原子が電離して自由に飛び回っているものをいう。太陽から飛び出してくるプラズマのことを「太陽風」という。太陽放射の大部分は可視光線を中心とした光だ。しかし、その他に量的には百万分の1以下に過ぎないが、磁気嵐やオーロラの原因となるX線やプラズマ、太陽宇宙線、太陽電波も放射されている。

 特徴的なのは、太陽光は「太陽定数」と呼ばれるようにほとんど変化しないのに対して、磁気嵐やオーロラの原因となるX線やプラズマなど他の放射は太陽活動によって大きく変化することである。

 光の源は中心核の核融合反応だが、X線やプラズマの源は光球の外にある。光球の外側が彩層で、彩層の外側を非常に高温のコロナガスが覆っている。高温コロナガスの一部は太陽重力を振り切って太陽から定常的に噴出しており、あたかも風が吹き出しているように見えることから「太陽風」と呼ばれている。

 最近では太陽の内部から表面に、プラズマのループ状の流れがあり、11年周期で循環していることがわっかいる。これをプラズマ・コンベアベルトという。


 参考HP Wikipedia「太陽風」「プラズマ」 ・ Astoro Arts  太陽の黒点が消えた2年間の理由

太陽の謎とフォトンベルト (ムー・スーパー・ミステリー・ブックス)
クリエーター情報なし
学習研究社
太陽地球系物理学 -変動するジオスペース-
クリエーター情報なし
名古屋大学出版会

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