科学大好き!アイラブサイエンス!最近気になる科学情報を、くわしく調べやさしく解説!毎日5分!読むだけで、みるみる科学がわかる!

全国どこでも無料出張・無料査定可! 月額6,825円からの専用サーバ スイーツ 企業再生

 オゾンホールとは何か?
 北極圏のオゾン層が40%減っているという。オゾンホールというと南極で発生することで有名。あまり北極のオゾンホールというと聞いたことがない。いったいなぜ、南極で発生するのか?また今回、北極でオゾンホールが発生したのはなぜなのだろう?

 オゾン層は15~30キロ上空に自然形成されるオゾン(O3)の層で、太陽光に含まれる短波紫外線のほとんどを吸収し、地表への到達量を抑制する働きを持つ。紫外線は皮膚ガンや白内障の原因となるなど人体に悪影響を及ぼす。また、他の生物の生殖にも問題を引き起こす可能性がある。

 オゾンは自然に生まれる分子だ。太陽光によって上層大気中の酸素分子(O2)が2つの自由な酸素原子(O)に分解され、その酸素原子が未分解のO2と結合するとオゾン(O3)になる。しかしオゾンは不安定な分子であり、空気中の微量な物質により容易に分解されてしまう。

 オゾンホールは、フロンやハロンという化学物質が紫外線によって分解(破壊)され、生成した塩素ラジカルが触媒としてオゾンを破壊するために引き起こされると言われている。

Ozone Hole

 南極にオゾンホールができるわけ
 この作用は、極成層圏雲と呼ばれる氷の雲の存在によって早められる。極成層圏雲を反応の媒体として、気相-固相の不均一反応が起こり、オゾンが急速に破壊されることが知られている。 極成層圏雲の存在は、冬の間に急激にエアロゾルが増加することによって判明してきた。極成層圏雲は、低温であるほど発生しやすい。

 南極の場合、極渦と呼ばれる強い偏西風帯が南北方向の熱輸送を阻害することにより、放射冷却で気温が低下しやすく、極成層圏雲が生成しやすい。

 北極でもオゾンホールの存在は確認されているが、南極ほど大きくない。南半球は陸地が少なく、起伏の大きな地形も少ないが、北半球の場合、チベット高原、ロッキー山脈のような大規模山塊があり、陸地と海洋のコントラストも大きい。このため、北半球では大規模山塊や海陸のコントラストで励起されたロスビー波が成層圏に伝播して極渦を弱め、南極に比べて気温が低下せず、極成層圏雲が生成されにくい。

 これが、オゾンホールが南極で大きく発達する理由である。ようするに南極のほうが寒いからである。

 北極圏のオゾンの4割以上が破壊
 ところが、今冬は違った。北極圏上空で異常低温に加え温室効果ガスの増加も影響し、観測史上最大規模のオゾン破壊が進んでいることが、国立環境研究所など15カ国の研究機関の合同研究で判明し、4月5日発表された。オゾンの少ない空気の塊が東へ移動し、今月後半に中国や日本列島を含む中緯度地域に到達する見込み。オゾン濃度が低いと、普段より強い紫外線量が観測される可能性があるという。

 研究の結果、今冬初めから今月にかけてオゾンの破壊が進行、破壊はスカンディナビア半島を含む直径約3000キロの範囲におよび、北極圏のオゾン総量の40%以上が破壊されたという。南極では1984〜1985年にオゾンホールが発見され、北極でも1996年以降断続的に小規模なオゾン破壊が観測されていたが、今回は最大規模。

 北極上空では冬季に強い西風で低気圧の渦(極渦)が発生、内部は氷点下70度程度の低温となる。今冬は異常低温と、温室効果ガスによる放射平衡と呼ばれる気象現象が相まってさらに気温が下がった。

 同研究所の中島英彰・地球環境データベース推進室長は「氷点下80度以下になると成層圏に特殊な雲が発生し、オゾンを破壊する化学反応が速まる」と説明。極渦は今月半ばに崩壊し、ちぎれた低オゾンの空気塊が中緯度地域に流れ、紫外線は最大10%程度強くなる可能性があるという。中島室長は「白内障の人は気を付けた方がいいかもしれないが、一般の人はそれほど心配する強さではない」と話している。(2011年4月5日 毎日新聞社)

 2010年南極域上空のオゾンホール
 2010年の南極域上空のオゾンホールの面積は、1990年以降で3番目に小さい規模だった。衛星観測によると、2010年の南極域上空のオゾンホールは、8月に現れましたが、その拡大は遅く、9月中旬まで過去(2000~2009年)の同時期と比べると小さく推移し、9月25日に2010年の最大面積である2,190万km2となった。

 その後、11月上旬から過去の同時期と比べ大きく推移し、 12月上旬からは急速に面積が縮小し、12月22日に消滅した。2010年のオゾンホールの規模が、1990年以降では小規模となった理由は、オゾン層破壊が促進される南極域上空の低温域(-78℃以下)の面積が6~8月に小さかったことが原因と考えられる。

  南極オゾンホールの大きさの変化を長期的にみると、1980年代から1990年代半ばにかけて急激に規模が大きくなったが、その後、拡大傾向はみられなくなった。オゾンホールの規模は、南極上空の成層圏の気象状況によって年々変動するが、長期的には、成層圏のオゾン層破壊物質の濃度に伴って変化する。オゾン層破壊物質の濃度は、1990年代以降ピークを過ぎ緩やかに減少しているものの、依然として高い状態にあり大規模な破壊が続いている。(気象庁)

 モントリオール議定書
 有名なモントリオール議定書は、この憂慮すべき発見を受けて1987年に採択された。CFCの段階的な廃止によるオゾン層の回復を目的としたこの条約は、2009年9月に最後の東ティモールが批准し、国連の全加盟国が賛同する初の環境条約となった。それだけに効果も大きく、2080年には1950年代の水準までオゾン層が回復するとの予測も出ている。

 見通しの立たない環境問題として地球温暖化がある。その元凶、温室効果ガスの排出規制が叫ばれているが、オゾンホール対策の成功は参考になるのだろうか。「多分」という専門家もいるが、2つの問題には大きな相違点がある。

 1980年代、オゾンの減少に端を発する健康被害に世界中が直面し、CFC使用禁止の機運が高まった。「皮膚ガンや白内障への恐怖心も手伝って、オゾンホールの危険性はたちどころに浸透した。しかし急速な温暖化の進展がもたらすと言われる実害は、すぐには理解が広まらない」と、BASのジョナサン・シャンクリン(Jonathan Shanklin)氏は語る。

 CFCの代替品製造を迫られた化学薬品メーカーもわずかなコスト負担で済んだため、各国政府は経済や国民の暮らしを混乱させずに有効な対策を打ち出せた。しかし地球温暖化は、各国の意見が食い違う政治的な問題へと発展してしまった。シャンクリン氏も、「解決策には代替エネルギーや省エネなどさまざまあるが、どれも経済的・地政学的な混乱を招く恐れがある」と指摘している。

 成功を収めつつあるオゾン層の回復策だが、その副作用を指摘する科学者もいる。温室効果ガスでもあるオゾンが増加すれば、少なくとも南極地方の温暖化が加速するのではないかと危惧しているのだ。「地球規模では何とも言えないが、南極地方が影響を受ける可能性は高い。大部分で気温上昇が観測されるのではないか」とシャンクリン氏は推測する。

 イギリスにあるリーズ大学のケン・カースロー(Ken Carslaw)氏は、オゾン層回復に起因する南極温暖化を示唆した研究の共著者である。しかし同氏は、オゾンの増大による温暖化進展は単なる1副作用にすぎないと考えており、「人為的にオゾン層に穴を空けても何も解決しない」とコメントしている。(National Geographic News May 6, 2010)


参考HP Wikipedia オゾンホール National Geographic News オゾンホール縮小のきざし

オゾンホール―南極から眺めた地球の大気環境 (ポピュラー・サイエンス)
クリエーター情報なし
裳華房
壊れゆくオゾン層 (地球環境ファミリーシリーズ「地球は今…」)
クリエーター情報なし
栄光教育文化研究所

ブログランキング・にほんブログ村へ 人気ブログランキングへ   ←One Click please