科学大好き!アイラブサイエンス!最近気になる科学情報を、くわしく調べやさしく解説!毎日5分!読むだけで、みるみる科学がわかる!
あなたはいくら融資されるか? そば店新規開業、行列店をつくる! ラフィノースオリゴ糖プレゼント

 ビッグバン以前の宇宙の存在に新説
 宇宙の始まりビッグバンの名残とされる、宇宙マイクロ波背景放射(CMB)。CMBを新たに分析した結果、リング状のパターンが発見された。CMBは現在、宇宙の全域に広がっている。リングの多くはまるで波紋のように、入れ子になっている。その内部は、CMBのほかの部分と比べ温度がより一定である。

 目に見えない、このCMBのリングは、ビッグバン以前に宇宙が存在した痕跡だと主張する研究結果が発表され、議論を呼んでいる。もしこの理論が正しければ、宇宙は絶え間なく再生しており、現在の宇宙はその“最新版”にすぎない可能性がある。その証拠が初めて示されたというのが今回の主張だ。

 イギリス、オックスフォード大学のロジャー・ペンローズ氏とアルメニアにあるエレバン物理研究所のバヘ・グルザディアン(Vahe Gurzadyan)氏によると、ビッグバン以前の宇宙でブラックホール同士が衝突し、リングが生まれた可能性があるという。

WMAP_2010

 2つのブラックホールが衝突すると、重力波と呼ぶエネルギーの波動が発生すると考えられている。ブラックホールの質量が大きいほど、波の数は増え、強力になる。重力波は時空の構造をゆがめる。ペンローズ氏とグルザディアン氏によれば、その痕跡としてリング状の模様を残す可能性があるという。

 インフレーションのない宇宙モデル
 天体物理学者の間からは異論も出ている。カナダにあるブリティッシュ・コロンビア大学のジェームズ・ジビン(James Zibin)氏は、「さまざまな変遷を経ても、波紋が残りつづけるというのは奇妙に感じる。ほかにも細部の甘い点がいくつも見られる」と指摘する。

 ペンローズ氏は数年前から、宇宙の循環モデルを温めてきた。その理論によれば、現在の宇宙を生んだビッグバンは前例のない現象ではない。少なくともそれ以前に1度は発生し、現在とは異なる宇宙を生み出した。その前にも数え切れないほどの宇宙が存在した可能性があるという。

 ペンローズ氏は宇宙の1周期を「イーオン(aeon)」と呼んでいる。1イーオンは想像を絶するほど長く、現在の宇宙の年齢137億年をはるかに凌ぐという。イーオンはビッグバンとともに始まる。そして、均質で希薄な粒子の海だった生まれたての宇宙が、銀河や恒星、惑星、生命といった複雑な構造へと進化していく。その間、おそらく謎めいた暗黒エネルギーによって宇宙は加速度的に膨張する。暗黒エネルギーは現在の宇宙でも時空を膨張させている。

 ペンローズ氏の理論によると宇宙のすべての物質は、天の川銀河をはじめとする大銀河の中心に潜む超大質量ブラックホールに吸い込まれる運命にある。超大質量ブラックホールは物質を吸い込むごとに成長し、衝突による合体でさらに巨大化する。理論では、この衝突によって発生する重力波がCMBのリングを生み出すという。

 CMBのリングの存在に関しては、反対する者はない。ペンローズ氏らの研究に反論する論文を書いたブリティッシュ・コロンビア大学のジビン氏も、「リングの存在については支持する」と述べる。「われわれが異議を唱えているのは、リングの意味の解釈だ」。

 ペンローズ氏の循環モデルには、「インフレーション」と呼ぶプロセスが含まれていない。インフレーション理論によれば、初期宇宙は急激な膨張を経て、現在の大きさ、形を手に入れたという。インフレーションは、ビッグバン理論が持つ多くの問題を解決する。その中には、CMBの研究によって浮上した問題も含まれている。

 しかし、ペンローズ氏は、「現在の宇宙が生まれる前に別の宇宙が存在し、やはり加速度的に膨張したのだとしたら、インフレーションは必要ない」と主張する。「前のイーオンで宇宙は加速度的に膨張し、その結果、均質になった。これがインフレーションの代わりになると考えているようだ」とジビン氏は説明した。

 今回の研究成果は、コーネル大学図書館が運営するWebサイト「arXiv.org」で2010年12月に公開された。(National Geographic News
December 28, 2010)

 宇宙マイクロ波背景放射(CMB)とは?
 宇宙マイクロ波背景放射(cosmic microwave background; CMB)とは、天球上の全方向からほぼ等方的に観測されるマイクロ波である。そのスペクトルは2.725Kの黒体放射に極めてよく一致している。

 CMBの放射は、ビッグバン理論について現在得られる最も良い証拠であると考えられている。1960年代中頃に CMBが発見されると、定常宇宙論など、ビッグバン理論に対立する説への興味は失われていった。標準的な宇宙論によると、CMBは宇宙の温度が下がって電子と陽子が結合して水素原子を生成し、宇宙が放射に対して透明になった時代のスナップショットであると考えられる。これはビッグバンの約40万年後で、この時期を「宇宙の晴れ上がり」あるいは「再結合期」などと呼ぶ。この頃の宇宙の温度は約3,000Kであった。この時以来、輻射の温度は宇宙膨張によって約1/1,100にまで下がったことになる。宇宙が膨張するに従って CMBの光子は赤方偏移を受け、宇宙のスケール長に比例して波長が延び、結果的に輻射は冷える。

 CMBが生まれた後、いくつかの重要な事件が起こった。CMBが放射された時期に中性水素原子が作られたが、銀河の観測から、銀河間物質の大部分は電離していることが明らかになっている(すなわち、遠くの銀河のスペクトルに中性水素原子による吸収線がほとんど見られない)。このことは、宇宙の物質が再び水素イオンに電離した再電離の時代があったことを示唆している。

 宇宙のインフレーションとは?
 宇宙のインフレーション (cosmic inflation) とは、ビッグバン理論を補完する初期宇宙の進化モデルである。インフレーション理論・インフレーション宇宙論などとも呼ばれる。この理論は、1980年にアラン・グース、そして1981年に佐藤勝彦によって提唱された。論文発表はグースの方が後である。この理論の名前は、提唱者の1人であるアラン・グースが1970年代終わりにアメリカで起きた経済のインフレーションをユーモア交じりに引用して名付けたものである。

 インフレーション理論では、宇宙は誕生直後の10-36秒後から10-34秒後までの間にエネルギーの高い真空(偽の真空, en)から低い真空(真の真空)に相転移し、この過程で負の圧力を持つ偽の真空のエネルギー密度によって引き起こされた指数関数的な膨張(インフレーション)の時期を経たとする。

 この急激な膨張の直接の結果として、現在我々から観測可能な宇宙全体は因果関係で結び付いた (causally-connected) 小さな領域から始まったこととなる。この微小な領域の中に存在した量子ゆらぎが宇宙サイズにまで引き伸ばされ、現在の宇宙に存在する構造が成長する種となった。このインフレーションに関与する粒子は一般にインフラトンと呼ばれる。

 インフレーションによって、1970年代に指摘されていたビッグバン宇宙論のいくつかの問題点が解決される。これらの問題の中には、観測される宇宙が極めて平坦であること(平坦性問題)、因果律的に結び付きを持たないほど大きなスケールにわたって宇宙が極めて一様であること(地平線問題)、多くの大統一理論 (GUT) のモデルで存在が予言されている空間の位相欠陥が全く観測されないこと(モノポール問題)などが含まれている。

 インフレーション理論の標準的モデルでは、宇宙が幾何学的に平坦であることや初期宇宙の原始密度ゆらぎがスケール不変であることを予言している。これらの予言は(WMAP などによる)宇宙マイクロ波背景放射の高精度の観測結果や(スローン・デジタル・スカイサーベイなどの)銀河サーベイ観測で得られた銀河分布のデータによって非常に良い精度で確かめられている。


参考HP Wikipedia 宇宙マイクロ波背景放射(CMB)宇宙のインフレーション
National Geographic news
ビッグバン以前の宇宙の存在に新説

インフレーション宇宙論 (ブルーバックス)
クリエーター情報なし
講談社
無の空間の謎に迫る真空とインフレーション宇宙論 (NEWTONムック)
クリエーター情報なし
ニュートンプレス

 ブログランキング・にほんブログ村へ 人気ブログランキングへ   ←One Click please