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 冥王星の大気に一酸化炭素を確認               
 冥王星は1930年に発見されて以来、長い間太陽の9番目の惑星であり、外惑星の一つであるとされてきたが、1992年に冥王星以外の外縁天体が初めて発見されて以降、冥王星と似た大きさの外縁天体が続々と発見された。その中でも2003年に撮影された写真の中から発見された、外縁天体エリス(2003 UB313)は冥王星よりわずかに大きかった。このような太陽系研究の進展により、2006年8月の国際天文学連合(IAU)総会で準惑星に格下げされた。

 太陽からの距離は、近日点で44億4220km、遠日点が73億8810kmと非常に細長い楕円軌道になっている。従って、太陽を一周するのに248年もかかる。ちなみに地球と太陽の距離は1億5000万kmであり、文字通り、冥王星のような地の果てのような天体には、生命はおろか、大気も水も存在しないし、月よりも寒く、荒涼とした砂漠が広がっているかに思えた。

 ところが、ハワイにあるジェームズ・クラーク・マクスウェル望遠鏡の観測データに基づく今回の研究では、非常に有害な一酸化炭素を含む大気で覆われていると改めて確認された。10年以上前の観測も、確定的ではないものの冥王星の大気に一酸化炭素が存在する証拠が見つかっていた。さらに今回は、一酸化炭素の存在が確認されただけでなく、2000年の観測時に比べて一酸化炭素の量が倍増していたことが明らかになった。

Comparison_Mars_Mercury_Moon_Pluto_Haumea

 なぜ?大気が30倍も増えた!
 研究を率いたイギリス、セント・アンドリューズ大学の天文学者ジェーン・グリーブス氏は、「地球でそんな(大気成分が何倍にもなる)ことが10年の間に起こるかどうか考えてみて欲しい」と話す。地球でそのような変動が自然に生じるとはとうてい考えられない。

 冥王星の大気はとても薄く、大気圧は地球の100万分の1程度だが、大気層は比較的厚い。冥王星自体の直径は2300キロ程度しかない。そして今回の研究により、冥王星の大気層の厚みが、この10年間で100キロから3000キロに増えたことが分かった。実に最大の衛星カロンまでの距離の4分の1に及ぶ。天文学者らは大気の膨張について、冥王星の過酷な季節変化によるものではないかと考えている。

 冥王星の公転周期は248年で、楕円軌道を描いているため、太陽との距離が大きく変化する。1989年に近日点を通過し、太陽との距離は44億キロ以内にまで近づいた。「おそらく(太陽から受け取った熱量の)多くが、冥王星の大地に吸収された」とグリーブス氏は語る。冥王星の表面は氷に覆われているため、表層物質の一部が昇華(固体から直接気化)して、薄い大気を膨張させたと思われる。
 冥王星の大気に関する今回の研究は、ウェールズで開催中の王立天文学会の会合で4月19日に発表された。(Rachel Kaufman for National Geographic News April 20, 2011)

 どうして冥王星に大気があることがわかったか?
 冥王星ははっきりとした濃い大気は持っていない。太陽に近づくと、主に窒素、メタン、一酸化炭素の希薄な気体が冥王星を包み、表面にある固体の窒素や一酸化炭素の氷との間で平衡状態になる。冥王星が遠日点へと公転していき太陽から離れると、大気の大部分は凝固し、地表へと降下する。冥王星が再び太陽へ近づいていくと、冥王星の固体表面の温度が上昇し、固体窒素が昇華して気体となる。これが反温室効果をもたらす。この昇華する窒素は、人間の皮膚から蒸発する汗と同じように冷却効果を持つ。2006年にはサブミリ波干渉計を用いて、冥王星の表面温度が予想されていたよりも10ケルビン低いことが発見された。

 1985年の恒星の掩蔽(恒星食)の観測から、冥王星は大気を持っているということが分かった。この発見は1988年に起きた別の掩蔽の詳細な観測により確認され、著しく補強された。大気を持たない天体が恒星を掩蔽すると、恒星は瞬間的に消える。冥王星の場合、恒星は徐々に暗くなっていった。暗くなっていく割合から、冥王星の大気圧は、地球のおよそ70万分の1の0.15パスカルと分かった。

 2002年には、冥王星による別の恒星の掩蔽の観測と分析が、パリ天文台のブルーノ・シカルディ、マサチューセッツ工科大学 (MIT) のジム・エリオット、ウィリアムズ大学のジェイ・パサチョフが率いるチームによって行われた。冥王星が1988年よりも太陽から遠ざかっており、従って冥王星はより気温が下がり大気濃度も減少しているはずだったが、驚くべきことに大気圧は従来の2倍の0.3パスカルと推定された。21世紀初頭現在最善の仮説は、冥王星の南極が1987年に120年ぶりに影から出たため、窒素が余分に極冠から昇華したという説である。過剰の窒素が大気から凝縮するには数十年がかかると考えられている。

 MITとウィリアムズ大学のエリオットとパサチョフのチームと、レスリー・ヤング率いるサウスウエスト研究所のチームは、2006年6月12日に起きた冥王星によるさらに別の恒星の掩蔽をオーストラリアから観測した。赤外線スペクトルの周期的な変化などから明白に分かるように、冥王星の表面は異常に不均一である。冥王星の表面のうちカロンに向いた側はメタンの氷が多く、反対側は窒素と一酸化炭素の氷が多いという。(Wikipedia)

参考HP Wikipedia 冥王星 National Geographic news 冥王星の大気に一酸化炭素を確認

34_冥王星が惑星から格下げ
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ALC

ホルスト:惑星(冥王星付き)
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