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 米国:南部で竜巻、297人死亡
 米南部で4月27日から28日未明にかけて竜巻や鉄砲水を伴う暴風雨が発生し、アラバマなど6州で少なくとも297人が死亡した。同州の原子力発電所の原子炉3基は停電のため自動停止した。CNNなどが伝えた。AP通信によると、竜巻の被害としては、13州で329人が犠牲となった1974年4月以来の規模である。

 米国立測候所によると同地方では4月27日に164件の竜巻の発生報告を受けた。うち50~60件は同じ竜巻とみられ、その場合、竜巻の進行距離としては1925年に記録された219マイル(約350キロ)に匹敵する可能性がある。

 原発は発電所にもかかわらず、外部電源を失い停電になると、冷却装置が働かず、いきなりメルトダウンの危機に陥る。福島第1原発がそうであった。今回のアラバマ州の原発はどうなったのだろうか?

AlabamaTornado

 この災害で、4月28日午後6時(米東部時間)時点でアラバマ州で210人、ミシシッピ州33人、テネシー州33人、ジョージア州15人、バージニア州5人、ケンタッキー州で1人死亡。アラバマ、ミシシッピ、ジョージア各州は非常事態を宣言した。

 オバマ大統領は28日、会見でクレイグ連邦緊急事態管理局長官を現地に派遣すると述べた。大統領自身も29日、アラバマ州の被災地を視察した。(毎日新聞 2011年4月30日)

 原発の停電対策強化を!
 米原子力規制委員会(NRC)のヤツコ委員長は4月28日、福島第1原発事故や、米アラバマ州の原発が竜巻被害により自動停止した事例を受け、米国の原発が外部電源を失った際の対策の強化が必要だとの考えを示した。ロイター通信などが報じた。

 同州のブラウンズフェリー原発は4月27日、竜巻により外部からの送電線が切断され、外部電源を失い自動停止。だが非常用ディーゼル発電機7台が作動し、炉心の燃料棒や使用済み燃料棒の冷却機能を保持、事なきを得た。同原発は沸騰水型で、福島第1原発と構造が似ているという。

 ヤツコ氏は4月28日のNPOの会合で、ブラウンズフェリー原発では「全ての安全機能が想定通り作動した」と述べる一方、「われわれが自然災害の影響から逃れられないということを明確に示した」と指摘した。(2011.4.29 共同)

 短くも過激な竜巻の一生
 竜巻は、高速に回転する空気の渦で、じょうごを垂直に立てたような形状(上部が広い円錐形で下端は細長い形状)をしている。竜巻の中心部では、最高時速400キロという速さで風が吹いている。竜巻によって、幅1.6キロ、長さ80キロにもわたる広い地域が壊滅することもある。
 竜巻は雷雨の中で発生し、あられを伴うこともある。最も破壊力があるのは、「スーパーセル」と呼ばれる長時間持続して発生する巨大な積乱雲によって起こる竜巻だ。

 竜巻は世界中で発生するが、特にアメリカにおける竜巻の発生回数は年間1000回にも上る。サウスダコタ州東部、ネブラスカ州、カンザス州、オクラホマ州、テキサス州北部とコロラド州東部を含む地域は「竜巻多発地帯」と呼ばれ、最も強力かつ破壊的な竜巻が頻発する。アメリカでは、竜巻によって毎年80人もの人が死亡し、負傷者の数も1500人を上回る。

 積乱雲の中で風の速度と方向が変化し、空気の渦が水平方向に回転を始めると、竜巻が発生する。渦の回転は次第に垂直方向に伸び、空気の渦が雷雲に達するまで上昇していく。

 竜巻は、春または夏の夕方に激しい雷雨と共に起こりやすいと言われているが、その気象学的要因は解明されていない。事実、竜巻は季節や時刻を選ばず、いつでも発生する可能性がある。

 未だに予測不可能
 竜巻といえば、じょうご状の雲が特徴的だが、あの雲は実は透明である。積乱雲内の湿った空気からできた水滴が凝縮したり、ちりやほこり、破壊物の破片などが巻き上げられると、雲が肉眼で確認できるようになる。じょうご状の雲は通常、幅約200メートルにまで発達する。

 竜巻は時速約16〜32キロの速さで移動する。現在までに記録されている竜巻の瞬間最高速度は113キロだ。しかし、移動距離はそれほど長くはない。一般的には、竜巻が10キロ以上移動することは稀であり、その一生は極めて短い。

 竜巻は、小型のものから大型のものまで分類されており、最も大きなものでは壊滅的被害を及ぼすものまである。壊滅的被害を及ぼす竜巻は全体のわずか2%にすぎない。しかし、このレベルの竜巻は1時間以上持続する可能性があり、竜巻による死亡数の70%占めている。

 人間や自動車だけでなく、建物でさえも、竜巻の風力によって上空へと巻き上げられ、吹き飛ばされてしまうことがある。負傷者や死亡者の多くは、飛ばされた破壊物の破片の犠牲者である。

 ハリケーンの発生に対して出される警報のように、竜巻の発生を事前に予測し、警報を出すことは不可能である。しかし、竜巻予報により救われる命もある。現在、竜巻に対する警報は、平均的して竜巻発生の13分前に出されている。また竜巻の兆候としては、暗く緑がかった空の色や、大粒のあられ、電車が通り過ぎるときのような轟音などが挙げられる。

 竜巻対策 
 竜巻は、最も強力で、破壊力のある気象現象の1つである。竜巻に対してどのような防災対策が必要か、そして万が一、竜巻の進路に居合わせた場合はどうしたらよいか、竜巻に対する安全対策をいくつか紹介しよう。

•竜巻に備えて、緊急避難用品をそろえておく。例えば、食料や飲料水、薬品、電池、懐中電灯、重要書類、地図、ガソリンなどが挙げられる。
•竜巻が接近してきたら、竜巻の進路にあたる地域の住人は屋内に避難する。避難場所としては、地下室、1階の部屋、もしくは玄関が望ましい。
•避難する場合、窓付近は避ける。頑丈で大きな家具の下に身を隠すのも防衛手段として有効だ。
•自動車やトレーラーハウスは竜巻に対してほとんど意味をなさないため、避難場所としては効果的ではない。
•屋外にいるときに竜巻が発生した場合、窪地や低地に横たわり、竜巻が過ぎ去るのを待つ。


参考HP National Geographic news
壊滅的な被害、アラバマで大規模竜巻竜巻の基礎知識

ディスカバリーチャンネル 災害警報 竜巻 [DVD]
クリエーター情報なし
角川書店

地球温暖化 自然災害の恐怖〈第4巻〉ハリケーン・竜巻・雷
クリエーター情報なし
ゆまに書房

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