
台風12号、記録的な雨量
台風12号の影響で西日本では、雨のため大変な被害が出ている。9月3日、鉄砲水で多くの行方不明者を出した、奈良県の十津川村では、地域気象観測システム(アメダス)で、72時間雨量が観測史上最多の1070ミリに達した。同県上北山村で1400ミリ、和歌山県田辺市の本宮でも1070ミリを超え、これらも過去最多となった。(産経news 2011.9.3 )
3日午後6時ごろには、岡山県南部に再上陸した。台風による大雨の影響で、河川が氾濫するおそれがあるとして、岡山市はおよそ24万人に、兵庫・姫路市はおよそ10万人に避難勧告を出している。岡山市では、降り始めからの雨量が212mmと、9月の平均値を上回る大雨となっている。(09/03 岡山放送)
今回の台風は、南の湿った空気が流れ込み、大量の雨を降らせる雨台風になった。もう一つの特徴は、自転車並みの遅さである。まるで、台風発生地域に近い沖縄にいるのかと錯覚するほどだ。なぜ、これほど遅い台風になったのだろう?
台風12号、なぜノロノロ?
西日本に居座るかのように極めて緩慢な動きで北上した大型の台風12号。愛媛、奈良県で計2人が死亡、和歌山県などで5人が行方不明になった。降り続く雨、やまぬ風に被害はいっそう広がった。
毎日新聞の集計では、愛媛、奈良県で2人が死亡、徳島、広島、和歌山、鹿児島県で計5人が行方不明。滋賀、兵庫、香川、奈良各県などで計30人が重軽傷を負った。また、避難地域も拡大し、岡山県玉野市全域の約6万5000人など少なくとも12万人以上に避難勧告が出された。(毎日新聞 2011年9月3日)
今回の台風は速度が遅く、暴風雨に長時間、見舞われた地域の被害が大きくなった。台風12号は自転車くらいの速度でゆっくりと進んでおり、3日にかけても加速しなかった。
台風がノロノロしている主な原因は、日本の東の海上から張り出している高気圧だ。高気圧からは風が周囲に吹き出すため、台風はその中を進めない。今回は西の端が日本海まで突き出す「気圧の尾根」もできており、台風の進行を阻んでいる。
また、台風を押し流す「偏西風」という強い上空の西風が、日本から離れた北を吹いているのも一因だ。秋には偏西風は日本付近を吹くのが普通で、秋台風は速足で駆け抜けることが多いが、今回はこの風に乗れず、夏台風のように遅い。(2011年9月2日 読売新聞)
夏台風は迷走台風
今回の台風のスピードと進路を見て、7月中旬の台風6号を思い出した人も多いだろう。それもそのはず、あのときの台風も同じ説明がされていた。
日本気象協会の気象予報士、河島みれいさんは、2011年7月21日の天気予報で、台風6号について次のように述べている。
「台風6号は複雑な動きをしているように思いませんか?あまり前例のない動きをしているように思います。夏台風の定義として、気象庁HPに“夏に発生する台風、秋台風に比べて動きが遅く、複雑な動きをするものが多い”と書いてあります。まさに台風6号は夏台風で、迷走する台風となっています。
これは太平洋高気圧とオホーツク海高気圧の間に入って、台風を移動させる上空の偏西風が弱いため、動きがゆっくりとなり、方向が定まらなくなってしまったためです。」
今回の台風12号も、太平洋高気圧が強いことや上空の偏西風が弱いことなどは、全く同じ説明がされている。しかし、季節は処暑(8月23日)を過ぎ、もうすぐ白露(9月8日)を迎える。暦の上では秋に入っている。まだまだ夏が続くというのだろうか?この状況は、地球温暖化による異常気象の1つなのだろうか?
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