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 セキツイ動物はわずか0.5%
 先日、「生物の種類は870万種ほどあり、その85%はまだ未発見である」という研究内容を紹介した。しかし、動物の中でも身近な、セキツイ動物については、すでに多くのなかまが発見されてきた。

 セキツイ動物は何種類ぐらいあるのだろう?鳥類は9000種、魚類は2万3000種、ほ乳類が5000種、両生類が2000種、は虫類は5000種ほどある。これらを全部合わせてもわずか4万4000種だ。全生物が870万種あるとしたら、セキツイ動物は0.5%しかない。99.5%はその他の生物である。もはや、セキツイ動物については新種は発見されにくいだろうと思われた。

 ところが発見された。しかも、新種であることを知らずに、市場で売られ食べられているという。1つはサメのなかま、1つはトカゲのなかま、1つはエイのなかまである。しかも、このエイのなかまは、昔から九州有明海で食べられていたというから驚きだ。ひょっとしたら、今日、食べている食材の中にも新種が発見されるかもしれない。

New-species

 台湾の市場で深海ザメの新種を発見
 絶滅したはずのサルやトカゲ、鳥が流通過程で発見されたケースは珍しくない。今回は、新種のサメが台湾の市場で発見された。レストランのお皿に載っている「新種の食材」に、誰も気付かないだけなのかもしれない。

 調査に携わったオーストラリア、タスマニア州の州都ホバートにあるオーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)のウィリアム・ホワイト氏は電子メールでの取材に対し、「それほど驚くことでもない。サメは、この地域の魚市場のほとんどでごく普通に売買されている」と述べる。

 研究チームがタシィ(Tashi)魚市場を訪れた目的は、「研究材料の収集と、売られているサメに数十年間で著しい変化があったかどうかの確認」だった。

 「多くのサメが並ぶ中からツノザメを大量に入手し、今回の新種を発見した」。ツマリツノザメの仲間で、全長はおよそ1メートル。直立した第1背ビレ、強力なトゲ、短く丸い頭部が、ほかのツノザメとは異なる特徴だという。

 学名は、台湾のかつての呼称「Formosa(フォルモサ)」にちなみ、「Squalus formosus」とされた。多くの深海ザメ同様、ほかの魚と混獲されたと見られる。

 「魚市場の人々にとっては、味などの点で特に違いはないだろう」とホワイト氏は語る。同氏自身はまだ食べたことがなく、調理方法も知らないという。「インドネシアにも似たようなサメが生息しており、塩漬けした干物として食べる。ヒレはフカヒレスープに混ぜて使われている。台湾でも同じかは不明だが」。 (John Roach for National Geographic News September 2, 2011)

 新種のトカゲ、ベトナムの料理店で発見 
 ベトナム料理で人気のトカゲが実は新種(学名:Leiolepis ngovantrii)だったと判明した。しかもすべての個体がメスで、オスとの交尾を必要とせず単為生殖するという。

 ただしそれほど珍しい存在ではなく、トカゲ全種のうち約1%は単為生殖により繁殖できる。メスが自発的に排卵し、遺伝情報がまったく同じ子を産むという。

 カリフォルニア州リバーサイドにあるラ・シエラ大学の爬虫両生類学者で調査活動にも参加したL・リー・グリスマー氏は、「ベトナムではごく普通の食材だ。南部のメコン・デルタ地帯のレストランでメニューに載っている。われわれも店内で出会った」と話す。

 ベトナム科学技術アカデミーのゴー・ヴァン・トリ(Ngo Van Tri)氏はある日、バリア・ブンタウ省のレストランで売られている生きたトカゲを目にした。みんな奇妙なほどよく似ているので気になり、知人だったグリスマー氏と、その息子でアメリカ、カンザス大学の爬虫両生類学博士課程に在籍するジェシー・グリスマー氏に画像を送ってみたという。

 グリスマー父子は、メスのみの単性種ではないかと考えた。一見して雌雄で体色がまったく異なるバタフライアガマ属のようだったが、画像ではオスがどこにもいなかったからだ。

 そこで親子はホー・チ・ミン市(旧サイゴン)へ飛び、生きたトカゲを“電話予約”してレストランへ向かったが、待っていたのは失望だったという。「オートバイで8時間もかかったのに、酒に酔った店主が予約を忘れてすべて調理してしまい、1匹も残っていなかった」とリー・グリスマー氏は振り返る。同氏は他のプロジェクトでナショナル ジオグラフィック協会研究・探検委員会(CRE)から資金提供を受けたこともある。

 運良く同じトカゲを提供するレストランが見つかり、地元の小学生も捕獲を手伝ってくれたため、最終的に約70匹が集まった。グリスマー親子が調査したところ、すべてがメスと判明したという。 (Brian Handwerk for National Geographic News
November 10, 2010)
 
 おいしい煮付け…実は新種のエイ 九州沿岸に生息確認
 佐賀県から鹿児島県にかけての九州西部で、地元では普通種のアカエイとともに漁獲され、煮付けなどにしておいしく召し上がっていたエイが、実は新種であることが判明したそうだ。

 外見がよく似ており、長年混同され続けていたが、長崎大学の古満啓介研究員、山口敦子教授らの研究チームの調査でわかったそうだ。

 新種と認定されたこのエイの大きさは全長1メートルを越す大型サイズ。有明海で捕獲されたことにちなみ「アリアケアカエイ」と命名されたという。

 研究チームは10年間にわたり、500匹近くを集めて体の構造などを調べた。その結果、腹の中央部にわずかにへこんだ部分があることや、ムチのような尾の一部が白く縁取られているなどの特徴があり、遺伝子の解析でもアカエイとは大きく異なり、独立した新種だと判明した。

 新種のエイは大きなものは体重10キロ近くになり、甲殻類や小魚などをエサにすることや、親魚は初夏に平均で6匹の赤ちゃんを産むこともわかった。チームは「これほど大きな魚が、新種と知らずに流通し続けていたことは驚き」としている。

 ということで、海産物がよく食卓にあがるおともだちの場合には、さばく前に一度図鑑でよく調べてみると、もしかしてひょっとするかもしれない。(2010年12月9日 asahi.com)

参考HP National Geographic news 新種のトカゲ、ベトナムの料理店で発見 台湾の市場で深海ザメの新種発見

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