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 肝炎の原因はウイルス
 肝炎というと、肝臓が炎症を起こす病気で、ウイルスを病原体とする。ウイルスの種類によってA型、B型、C型の3種類の肝炎を引き起こす。B型は予防接種の注射器を消毒せずに使い回したことで、感染が広がったB型肝炎訴訟、C型は未消毒の血液製剤にウイルスが含まれていて、それを使うことによって広がったC型肝炎訴訟が有名である。

 今回、B型肝炎で、いったん完治したと考えられていたものが、リウマチや血液がんなどの治療薬で体の免疫が低下したことをきっかけに再発し、劇症肝炎を起こして死亡する例もあることが厚生労働省研究班(研究代表者・持田智埼玉医大教授)などの調査でわかった。

 近年、強い免疫抑制作用のある新薬や治療法が相次いで登場し、治療効果を上げているが、想定外の肝炎の再発の危険が明らかになり、ウイルス検査体制の整備が緊急の課題となっている。B型でどうして、このようなことが起きたのだろうか?また、A型、C型との違いは何だろうか?

Hepatitis_A,B,C_virus

 治癒B型肝炎、新薬治療で劇症化 
 B型肝炎ウイルスの感染歴のある人は50歳以上では約2割、全国で1000万人以上とみられる。うち100万~130万人が血中にウイルス抗原が検出される持続感染者(キャリアー)とされる。問題なのは感染しても自然に治り、自分でも感染したことを知らない人も多いことだ。

 だが、治ってもウイルスの遺伝子は体内に潜み続ける。近年、免疫抑制効果の高い薬が相次いで登場し、治療をきっかけに再発する例が出てきた。

 研究班が2010年度から、全国約100施設で感染歴のある患者235人を調べたところ、リウマチや血液がんなどの治療中に14人(6%)でウイルスが再活性化していた。

 厚労省研究班の劇症肝炎の全国調査では、2004年から2009年にB型肝炎ウイルスの感染歴がある17人が、悪性リンパ腫や白血病、乳がんなどの治療をきっかけに劇症肝炎を発症していた。これとは別に2009年、兵庫県内で感染歴のある70歳代の女性がリウマチの治療後に劇症肝炎を起こしたという報告がある。いずれも通常の劇症肝炎より治療が難しく、全員が死亡した。再活性化の実態調査は、これを受け、急きょ実施された。(2011年9月8日 読売新聞)

 A型肝炎
 A型肝炎(Hepatitis A, HA)とは、A型肝炎ウイルス(HAV)が原因のウイルス性肝炎の一種である。多くは一過性の急性肝炎症状で終わり、治癒後は強い免疫を獲得する。 A型肝炎ウイルス(HAV)は全世界に分布する。感染力は比較的強く、患者の発生数と居住環境の衛生状態には関連性がある。上下水道が整備されている先進国での発生は少ないが、衛生環境の劣悪な地域では蔓延している。衛生環境が劣悪な地域の感染は、乳幼児期に感染する事が多いが流行はない。

 A型肝炎ウイルスはピコルナウイルス科ヘパトウイルス属に属するRNAウイルスである。発見当初、ピコルナウイルス科のエンテロウイルス属に分類されていたが、後にヘパトウイルス属として分類された。形状は、直径約27nmの裸の正20面体で、遺伝子型は7種類に分類されているが、血清型は1種類。 界面活性剤、エーテル、pH3 程度の酸、温度、乾燥に対して抵抗性が強いが、高圧滅菌、UV照射、 ホルマリン処理、塩素剤処理などで失活する。

 糞便を介した経口感染で、糞便に汚染された器具、手指等を経て感染する。また、ウイルスに汚染された水や野菜、魚介類などを生や加熱不十分なまま食べることによっても感染する。食物を介さずに、性行為による感染も報告されている。 日本での主な感染源は、カキ二枚貝と考えられているが、輸入野菜が感染源になった例も報告されている。

 症状は、一般に小児では不顕性か発症しても軽い症状で終わることが多い。一方、成人では明瞭な黄疸症状を呈する事が多く灰白色便、発熱、下痢、腹痛、吐き気・嘔吐、全身倦怠感などの症状があり、初期には風邪と類似の症状がみられる場合がある。高齢者ほど症状が重くなりやすい。4〜8週間で回復し慢性症状に移行することはないとされている。

 肝機能の回復には、1~2ヶ月が必要とされ、肝機能が完全に回復するまでは禁酒が必要。黄疸が消えれば、肝機能検査の結果が完全に正常で無くとも、安全に職場復帰が可能。 合併症として、急性腎不全、貧血、心筋障害

 B型肝炎
 B型肝炎(Hepatitis B)とは、B型肝炎ウイルス (HBV) に感染することで発症するウイルス性肝炎の一つ。 B型肝炎ウイルス(Hepatitis B Virus)はヘパドナウイルス科オルソヘパドナウイルス属に属するDNAウイルスである。B型肝炎の原因ウイルスである。略してHBVと呼ばれる。

 日本においてB型肝炎ウイルス保有者(キャリア)は、150万人程度といわれている。そのうち10%が肝炎発症となり、慢性肝炎、肝硬変、肝細胞癌に進行する。しかし、95%は自然治癒する。したがって、キャリアのうち5%が慢性肝疾患になる。 近年、日本ではあまり見られなかったジェノタイプA(北米、欧州、中央アフリカに多く分布する)のB型肝炎ウイルス感染が広がりつつある。

 B型肝炎ウイルスは血液を介して感染する。感染経路は主に以下がある。成人以降での水平感染 の多くは一過性であることが多い。 垂直感染:母子感染 水平感染:性行為感染・輸血・臓器移植・刺青・針刺し事故等 かつては幼児期(7歳まで)の輸血による感染が多かったが、現在では先進国では検査体制が確立した為ほとんど見られない。

 針刺し事故や覚醒剤注射の回し打ち・刺青での針の再使用などもある。 日本では、戦後から昭和63年頃まで行われた幼児期の集団予防接種における注射針や注射筒の使い回しにより、HBVウイルスが蔓延した。国は昭和23年には注射針・注射筒の連続使用の危険性を認識していたが、40年にわたり使い回しの現状を放任していた。現在、推定150万人の持続感染者(キャリア)の内、集団予防接種による感染者は30%前後と言われており、この集団感染は2011年現在、裁判で係争中である。

 C型肝炎
 C型肝炎(Hepatitis C)とは、C型肝炎ウイルス (HCV) に感染することで発症するウイルス性肝炎の一つ。現在の日本のHCV感染者数は約200万、世界では1億7千万(世界人口の3%近く)がキャリアであると見られている。 C型肝炎ウイルス(hepatitis C virus、HCV)はフラビウイルス科へパシウイルス属に属するRNAウイルス。 日本ではインターフェロン治療が効きにくい1b型が70〜85%を占め、以降2a型が10〜15%、2b型が約5%で、他はまれである。ただし、血友病患者では1a型が多い。これは血友病患者がC型肝炎に罹患する原因となった血液製剤の輸入元であるアメリカでは1a型が最も多いことに由来する。

 HCVは血液が主な感染経路で、かつては輸血による感染が多かった。ディスポーザブル注射器の普及により現在においては先進国では検査体制が確立したためほとんど見られない。現在は針刺し事故や刺青、覚醒剤注射の回し打ちなどが主である。 性行為や母子感染率は少ない。

 症状は、一般に自覚症状が乏しい場合もあるが、発熱・全身倦怠感・食欲不振・悪心・嘔吐が出現し、血液検査にて肝障害(AST・ALT高値)、黄疸(T-Bil高値)を認めるといった急性肝炎症状を呈する場合が多い。多くは症状が強いほど自己の免疫応答によってC型肝炎ウイルスの排除が行われるが、70%程度は感染が遷延化し持続感染へと移行する。なお、B型肝炎やA型肝炎に比較して劇症肝炎を呈する例は稀である。

 初期感染後に、血液検査にてALTが正常化しHCV-RNAも陰性となってC型肝炎ウイルスが排除され治癒する場合もあるが、70%程度はC型肝炎ウイルスが排除されず、血液検査にてHCV-RNA陽性状態が続き、持続感染状態となる。ウイルスの伝播は血液を介して行われる。性行為等での感染は極まれと言われている。(Wikipedia)

参考HP Wikipedia  A型肝炎 B型肝炎 C型肝炎 

新版 C型肝炎 B型肝炎 (よくわかる最新医学)
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主婦の友社
C型・B型肝炎の治療とケアQ&A
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