電池とは何だろう?

 電池とは、エネルギー(主として化学反応)を直接に直流電力に変換する電力機器である。名称は日本語では「電池」すなわち「電子」の「池」であるが、必ずしも電気を蓄えなくても「電池」という名称が使われている。

 よく使われる、乾電池にはマンガン電池、アルカリ電池などがある。電気自動車にはリチウムイオン電池などが使われている。使い切りの電池を1次電池、何回も充電して使う電池を2次電池という。

 これらの電池は化学反応によって生じる、化学エネルギーを、電気エネルギーに変換するもので、化学電池と呼ばれている。エネルギーの形態にはこれ以外にも、光、熱、原子力などがあり、それぞれのエネルギーを電気エネルギーに変換する電池も研究されている。

Battery

 例えば、太陽電池では、光エネルギーを電気エネルギーに変換している。熱電池では、熱エネルギーを電気エネルギーに変換している。

 ゼーベック効果は熱エネルギーを電気エネルギーに変換する効果であり、2種類の異種金属(または半導体)の両端を接続し、その両端に温度差を設けると起電力が発生する現象である。特にこの効果を利用した素子のことをゼーベック素子と呼ぶ。この起電力の大きさは、両端の金属(または半導体)の種類と温度差によって決まり、温度測定用の熱電対などに応用されている。

 原子力電池はパイオニア10号・11号とボイジャー1号・2号の他、木星探査機ガリレオや土星探査機カッシーニなどに使われた。打ち上げ失敗や墜落で放射性物質をまき散らすリスクがあり、現在は十分な太陽放射の得られる地球軌道周辺では太陽電池が一般的である。

 その仕組みは、放射性核種の原子核崩壊の際に発生するエネルギーを熱として利用し、熱電変換素子により電力に変換する。実用される原子力電池にはアルファ崩壊を起こす核種であるプルトニウム238やポロニウム210が用いられ、放射されたアルファ線が物質に吸収されて生じた熱を利用している。

 最古の電池「バクダット電池」?

 電池はいつごろつくられたのだろう?有史以前で、最も古い電池は、紀元前250年頃のイラクで、 世界最古の電池であるバグダッド電池である。

 1932年(1936年説も有)にバグダッド近郊のテルであるホイヤットランプファで発掘された。出土したのは民家遺構の中で、呪文が書かれた3つの鉢と共に置かれていた。1938年に、「これはガルバニ電池の一種ではないか」とする論文がイラク国立博物館のドイツ人研究者ヴィルヘルム・ケーニヒ (Wilhelm König) の手によって発表された。

 大きさは高さ約10cm、直径約3cm程度。粘土を焼いて作った素焼きの土器の中にアスファルトで固定された銅の筒が入っており、その中にアスファルトで塞がれたシリンダーの中に鉄製の棒が差し込まれている。また、底に何らかの液体が入っていた痕跡が残っていた。発掘当時は用途が不明の出土物であったとされているが、電池メーカーのボッシュによる復元実験で電解液として酢やワインを用いた結果、電圧0.9~2ボルト程度で発電された。

 パルティア時代にも使用可能な電解液とされる液体が次々に試され、作製されたレプリカにおいて、微弱ながらもそれらが実際に電流を発生させることが示された。ただしこの実験は発見された状態と違い開放状態で、それも原理だけを復元した(壷やシリンダーを復元したわけではない)状態で行われており、発見時と同じくアスファルトで口を閉鎖した場合はすぐに電流が止まってしまう。

 ただ、当時は電気製品もないので、金メッキ加工に使われたとする説もあり、電池として使われたかどうかは不明である。

 ガルバニ電池・ボルタ電池

 記録に残る電池としては、1791年 ルイージ・ガルヴァーニ(イタリア)が考えた、ガルバニ電池がある。イタリアの医師だったルイージ・ガルバニは、カエルの筋肉が電気を通じることで活動することを発見した。当時、生きているカエルの足に電気を通じた場合に痙攣が起きることは知られていた。

 一連の実験をくり返すうちにうちに、1780年、電気を通じない場合にも、カエルの筋肉が収縮する場合があることを見いだす。絶縁体であるガラスを用いた実験などを工夫し、さまざまな説を検討した結果、電気の源を筋肉自体にあるとした。

 一方、ガルヴァーニの実験を追試したアレッサンドロ・ボルタは、電気が筋肉や神経ではなく、実験に用いた2種類の金属の接触に由来すると考えた。ガルヴァーニとボルタは同時代人であり、互いの説のどちらが正しいのか、科学者の間で当時から論争となった。結局、ボルタの説が正しいことが分かり、1800年、ボルタによる最初のガルバニ電池であるボルタ電池の発明にいたっている。

 現在では、ガルヴァーニの功績をたたえ、化学電池のことをガルバニ電池と呼ぶ。ガルバニ電池やボルタ電池が現代の電池の基本形となり、その後、さまざまな電池が開発されている。

 電池略歴

 紀元前250年頃 イラクで、 世界最古の電池であるバグダッド電池が作られる(実際には電池ではないという説があり、実際に電池として使用された明確な証拠は未発見である)。
1791年 ルイージ・ガルヴァーニ(イタリア)、ガルバニ電池を発見。
1800年 アレッサンドロ・ボルタ(イタリア)、ボルタ電池を発明。
1802年 物理学者ヨハン・ウィルヘルム・リッター(ドイツ)、小型一次電池を発明。
1866年 ジョルジュ・ルクランシェ(フランス)、ルクランシェ電池(マンガン乾電池の原型)を発明。今までの電池で使われていた電解液をゲル状にしたもので、これが現行使われる乾電池の原型となる。
1881年 ティーボウ (J.A.Thiebaut) が亜鉛の容器に負極と多孔質の容器の両方の役割を持たせた最初の電池で特許を取る。1885年 屋井先蔵(日本)、乾電池を発明。
1887年 カール・ガスナー (Carl Gassner)(ドイツ)、乾電池の特許を取得。
1899年 ユングナー(スウェーデン)、ニッケル・カドミウム蓄電池を発明。
1900年 トーマス・エジソン(米国)、ニッケル・鉄蓄電池を発明。
1959年 エバレディ (Eveready)(米国)、アルカリ乾電池を開発。
2004年 パナソニック(旧松下)(日本)、オキシライド乾電池を発売。
2008年 パナソニック(旧松下)(日本)、エボルタ乾電池(アルカリエネルギー(主として化学反応)を直接に直流電力に変換する電力機器である。(Wikipedia)


参考HP Wikipedia 電池

実験・観察 ボルタ電池

大人の科学シリーズ3ボルタ式&備長炭電池実験セット
クリエーター情報なし
学研

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