イオンとは何か?

 電荷を帯びた原子、または原子団をイオン(ion)という。電離層などのプラズマ、電解質の水溶液、イオン結晶などのイオン結合性を持つ物質内などに存在する。

 電子を放出して正の電荷を帯びた原子、または原子団を陽イオン(cation) と呼ぶ。金属イオンはすべて陽イオンである。また、電子を受け取って負の電荷を帯びた原子、または原子団を陰イオン(anion) と呼ぶ。ハロゲンはすべて陰イオンとなる。

 イオンの名称は、陽イオンについては「元素名+イオン」(例:水素イオン)、陰イオンについては「元素名 − 「素」 + 化物イオン」(例:硫化物イオン)と表す。ただし、どちらも例外が多い。原子1個のイオンを単原子イオン、複数の原子で構成されるイオンを多原子イオンと呼ぶ。

Michael_Faraday

 表し方は、化学式の右肩に価数を記す。ただし、1価の場合は符号のみ記す。
 水素イオン(1価の陽イオン) - H+ 硫酸イオン(2価の陰イオン) - SO42−

 イオンは、スポーツドリンクなどの成分表示に使われている。イオン交換樹脂は、合成樹脂の一種で、水溶液中の陰イオン・陽イオンをH+やOHに置き換えるはたらきをする。交換するイオンにより、陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂に分かれる。

 イオンエンジン (Ion engine) とは電気推進の一つで、イオンの持つ電荷を利用して加速するロケットエンジン。小惑星探査機「はやぶさ」などの宇宙探査機や人工衛星の軌道制御の飛行に用いられることが多い。

 イオン化傾向

 イオン化傾向とは、溶液中(おもに水溶液中)における元素(主に金属)のイオンへのなりやすさの相対尺度をあらわす。電気化学列あるいはイオン化列とも呼ばれる。

 中学や高校レベルの理科・化学では酸化還元反応や化学平衡を詳しく扱わないため、説明を単純化して「イオン化傾向は、元素のイオン化の容易さの序列である」と説明している。しかし正確には、イオン化の容易さではなく、2つの元素のどちらがより酸化され易い(あるいは還元され易い)か、つまり酸化還元反応における化学平衡がどちらに偏っているかの序列である。

 イオン化傾向が小さいほどイオンは還元され金属として析出しやすくなる。また、イオン化傾向が大きい金属単体でも融解塩電解などで得ることができる。下の元素では左の金属ほどイオンになりやすい。

 K>Ca>Na>Mg>Al>Zn>Fe>Ni>Sn>Pb>H>Cu>Hg>Ag>Pt>Au

 覚え方としては、これを次のように呼んで覚える。「貸そうかな、まああてにするな、ひどすぎる借金」
 貸そう (K) か (Ca) な (Na)、ま (Mg) あ (Al) あ (亜鉛:Zn) て (鉄:Fe) に (Ni) する (Sn) な (鉛:Pb)、ひ (H) ど (銅:Cu) す (水銀:Hg) ぎる (銀:Ag) 借 (白金:Pt) 金 (金:Au)

 イオンの発見者

 1833年、イギリスのファラデーは、電流による物質の分解を発見し、電気分解と名付けた。彼は、水溶液の中は、イオンというものによって電流が運ばれると考えた。 陽極に向かって移動するイオンを陰イオン、陰極に向かって移動するイオンを陽イオンとよ名付けた。また、「電解質」「電極」「陽極」「陰極」などの言葉を一般化させたのも彼である。

 マイケル・ファラデー(Michael Faraday, 1791年~1867年)は、イングランド人の化学者・物理学者で、電磁気学および電気化学の分野での貢献で知られている。

 ファラデーは高等教育を受けておらず、高度な数学もほとんど知らなかったが、史上最も影響を及ぼした科学者の1人とされている。科学史家は彼を科学史上最高の実験主義者と呼んでいる。静電容量のSI単位「ファラッド (F)」はファラデーに因んでいる。また、1モルの電子の電荷に相当するファラデー定数にも名を残している。ファラデーの電磁誘導の法則は、磁束の変化の割合と誘導起電力は比例するという法則である。

 14歳のとき、近所で製本業と書店を営んでいた ジョージ・リーボー のところに年季奉公に入った。7年間の奉公の間に多数の本を読んだ。多数の本を読むうちに科学への興味が強まり、特に電気に興味を持つようになった。 1812年、当時のイギリスで有名だった化学者ハンフリー・デービーの講演を何度も聴講した。

 ファラデーは300ページにもなったデービーの講演の際につけたノートをデービーに送った。それを見て感心したデービーは、すぐさま好意的な返事をした。これをきっかけにして、ファラデーは、デービーの秘書として雇われることになる。王立研究所の助手の1人が解雇されると、ハンフリー・デービーは代わりを捜すよう依頼され、1813年3月1日、ファラデーは王立研究所の化学助手となった。

 ファラデーは王立研究所の初代フラー教授職であり、死去するまでその職を務めた。アルベルト・アインシュタインは壁にファラデー、ニュートン、マクスウェルの絵を貼っていたという。(Wikipedia)


参考HP Wikipedia イオン マイケル・ファラデー

ロウソクの科学 (角川文庫)
クリエーター情報なし
角川書店
ファラデー―実験科学の時代 (講談社学術文庫)
クリエーター情報なし
講談社

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