NASA、次世代大型ロケットを発表
NASAは9月14日、次世代大型ロケットの開発計画、SLS(Space Launch System)の概要を発表した。SLSは引退したスペースシャトルの後継となる新型ロケットで、開発中の多目的宇宙船「オリオン」を宇宙空間に投入する事を目的としている。
オリオンは、2005年に当時のジョージ・W・ブッシュ大統領が打ち出した月探査計画「コンステレーション計画」の一部だった。コンステレーション計画自体は昨年中止されたが、オリオンは国際宇宙ステーション(ISS)との往還に用途を変更して開発が継続されていた。
SLSは、地球軌道およびさらに遠い目的地へ向け、オリオンだけでなく重要な貨物や機器、実験機器を運べるように設計されている。また、ISSへの物資輸送にも活用される予定だ。
バラク・オバマ大統領は就任当初から、前政権で進めていた月探査計画を打ち切り、火星や小惑星など、より遠方の宇宙空間への有人飛行を目指す新しい方針を示していた。
スペースシャトルの積載量は約25トンだったが、新型ロケットは70トンの物資を搭載でき、将来的にはその2倍近い物資の輸送を可能にする予定だ。SLSのロケットには、これまで実績があるスペースシャトルのメインエンジンや外部燃料タンクなど多くの技術が再利用され、開発・運用コストの削減を実現させる。また、ロケットの燃料にはシャトルと同じ液体水素や液体酸素が使用される予定となっているが、改良型の固体燃料の活用も検討している。
新型ロケットの完成予定は2017年で、まずは無人での試験飛行を実施する。オバマ大統領は、2025年までに小惑星への有人探査を実施し、2030年代には火星へ人類を運ぶことを目標に掲げている。(National Geographic News September 15, 2011)
NASAが二度と地球に帰ってこれない火星植民地プロジェクトを計画中
基本的に、宇宙飛行士が宇宙に行く場合は地球に帰還することを前提として旅立っている。映画『アポロ13』では、宇宙空間でトラブルに巻き込まれながらも奇跡的な地球への帰還を遂げた、実在するアポロ13号が感動的に描かれている。
しかしNASAは、宇宙飛行士が二度と地球へ帰還することがない火星植民地プロジェクトを計画中だという。火星に行ったっきりで、あとはそこで一生を過ごすのだ。このプロジェクトは火星から地球に帰還するための時間と費用を節約できるだけでなく、火星での開発を最速で進めることができる合理的なプロジェクトだという。
イギリスのメディアはこのニュースに対し、「宇宙飛行士は火星に置き去りにされ、二度と地球の土を踏む事はない」と報じている。そう考えると非常に過酷で悲しいプロジェクトに思えるが、人類が火星を植民地化するためには避けて通れないプロジェクトにも思える。
宇宙飛行士たちは、火星で結婚し、火星で子どもを作り、火星で生まれた新しい世代を残していくのだろうか? 火星と地球との交信は無線を使った場合、最速で7~8分かかるといわれている(火星と地球の距離差により40~50分かかる場合もある)。近いようで遠い星である。この火星で生まれた地球人たちは、地球に行く事を夢見るのだろうか?(ロケットニュース 2010年10月29日)
過酷を極める「火星有人飛行シュミレーション」
2010年6月、6人の男たちがロシアにある火星往復飛行用の模擬実験施設に乗り込んだ。彼らの使命は、来るべき有人火星往復飛行で経験される閉鎖状況に、ひたすら耐えること。そんな彼らも、いまや火星の目前にまで到達したこととなっており、そして来月にはいよいよ模擬上陸することとなった。
「Mars500」と名づけられたこの実験は、モスクワ生物医学研究所、欧州宇宙機関、中国宇宙訓練センターが共同で行っている。3人のロシア人と、フランス人、中国人、イタリア系カンボジア人の計6人が、模擬宇宙船に入っている。以前紹介した「NASAが二度と地球に帰ってこれない火星植民地プロジェクトを計画中」は、火星片道旅行であり、それに比べたらずっと人道的とも言えるこのプロジェクトではないだろうか。しかし実験内容は、困難を極めるものである。火星への有人探査は、やはり並大抵のことではないようだ。
現実世界から完全に隔離された、バス程度の大きさの窓のない施設。そこに大人6人が共同で生活している。中には、実験装置と運動器具が設置されており、とても狭い空間なのだ。もちろん個室はなく、プライバシーを保てる環境とは言えない。食事はカンヅメ中心の質素な宇宙食。そしてシャワーは週に1回という。
さらに、外部との通信手段は、電子メールとビデオ通信のみ。それも、地球から遠く離れたところで交信している雰囲気をかもし出すために、通信時のタイムラグを設けているのである。無重力という状況をのぞいて、ほぼ完全な閉鎖環境を作り出しているのだ。
そんな彼らも2月12日には、模擬上陸の段階に入る。実験施設には模擬火星表面が用意されおり、ここで上陸を試みるのである。火星の滞在時間は、2日。いよいよこれで、実験は半分終了となるわけである。
しかし、実験を観察している宇宙飛行士のボリス・モロコフ氏は、「最も困難な段階は、この後の地球への帰還の道のりだ」という。「6人とも高いモチベーションをなんとか維持しているが、相当疲れている。単調な毎日で、とても大変だろう」と、モロコフ氏は語っている。
このシミュレーションが現実と大きく違う点がひとつだけある。それはリタイアしたくなったら、いつでも実験から離脱できる。だが、実際に宇宙空間に出てしまえば、すぐに地球に戻るという訳にはいかない。今のところ、幸い離脱者は出そうになく、6人とも無事に上陸段階に入れそうだ。
今回の実験「Mars500」の成否に関わらず、火星へのミッションが本番を迎えるのは、数十年先の予定である。計画実現には、莫大な資金が必要であり、何より技術的に困難だからだ。特に、コンパクトシールドという宇宙放射線から宇宙飛行士を守る装置が完成していないという。この実験がすぐに火星への有人を可能にするものではないにしても、有人飛行の難しさを理解するひとつのステップにはなるに違いない。人類は一歩一歩、着実に火星に近づいていると言えそうだ。(ロケットニュース 2011年1月26日)
参考HP ロケットニュース 過酷をきわめる「火星有人飛行プロジェクト」
NASA二度と地球にかえってこれない火星植民地プロジェクト
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