ミドリムシの大量培養に成功
微生物にはさまざまな力がある。ミドリムシはわずか体長約0.1ミリ、水田などどこにでもすむ。緑色の動物という、その姿が話題になるが、注目すべきはその光合成能力である。CO2の吸収能力は、熱帯雨林の数十倍にも達する。
バイオベンチャー企業「ユーグレナ社」は、ミドリムシを素材にした健康補助食品やクッキーを製造、販売している会社だ。2009年1月には、火力発電所の多量の二酸化炭素(CO2)を含む排ガスを使って、ミドリムシを培養することに成功している。
この排ガスはCO2濃度が大気の400倍近い約15%に達する。ガスを入れた培養液は酸性になり、大半の生物は生きられないが、ミドリムシは順調に成長する。増殖速度は空気を通した場合の最大20倍に達した。排ガス中の豊富なCO2で光合成をし、増殖した。
ユーグレナ(ミドリムシ)は、食べても豊富なビタミンやミネラル、アミノ酸、そしてDHA、EPAなど、人間が生活するのに必要なカロリー以外の栄養が全てがそろう成分を持つ。さらに、ミドリムシなどの藻類は、細胞内に脂質が多く、細胞を壊して化学処理すれば良質なバイオディーゼル燃料にもなるという。
さらに、バイオ燃料の原料となる油脂分を抽出した後の残渣を利用した飼料も高い栄養価を備えており、養殖魚への飼料としても、長年研究されており、不飽和脂肪酸であるDHAを含有していて、マダイやヒラメの稚魚、仔魚に与えることで、生存能力、活力を向上させるというデータが論文から得られている。
ミドリムシは食糧危機の救世主?
東大OBや大学院生らでつくる新興企業が、世界的な食糧危機とエネルギー危機を解決する“救世主”になると売り出し中の、藻類「ユーグレナ」が注目を集めている。
和名は「ミドリムシ」とあまりありがたくない名前が付けられているため、世間受けは今ひとつだが、栄養満点な上、バイオ燃料にも利用できることから、企業側では「先入観を抱かず、まずは食べてみてほしい」と訴えている。
ミドリムシは、体長わずか0.05ミリ。植物と同じように光合成で成長する一方、自由に動き回ることもできるなど植物と動物の両方の性質を兼ね備えている。必須アミノ酸やビタミン類など59種類を含有しており食品としては栄養満点。ミドリムシを搾った油は、車や航空機などに使用可能なバイオ燃料の有望な原料としても注目されている。
ミドリムシの商品開発を続けているのが、東大OBらが2005年に設立し、東京都文京区の東大本郷キャンパス内に本店を置くベンチャー企業だ。社名はそのままミドリムシの学名「ユーグレナ」を冠した。沖縄・石垣島でミドリムシの大量培養に世界で初めて成功し、健康食品や化粧品の開発など商品化に向けて試行錯誤を続けてきた。
バイオ燃料は現在、トウモロコシなどの穀物から作られるのが一般的。同社ではミドリムシの方が二酸化炭素(CO2)を吸収する能力が高いとしており、食糧価格の高騰を招く穀物よりも燃料の原料に適していると主張。同社の出雲充社長は、「環境問題解決の大きな可能性を秘めている」としている。
どうすれば「ミドリムシ」を食べられるか?
乾燥させた粉末そのものはクロレラや青のりのような味でちょっと癖がある。この数か月、癖を抑える工夫をして、ハンバーガー、ラーメン、お菓子が次々と商品化された。
8月から「みどりむしハンバーガー」(セットで1500円)を売り出し中の、レストラン「アゲマキ」(世田谷区三軒茶屋1)では、岩のりを生地に練り込んだイタリアのパンを参考に、パン1個当たりミドリムシ約1グラムを使用。メニューを編み出した池田太郎シェフ(32)は「怖いもの見たさで注文して、『意外とおいしい』『普通に食べられる』と好評です」と話す。
東大本郷キャンパス前の「山手らーめん 安庵」(文京区本郷5)は7月から「みどりラーメン」(700円)を販売。オリーブオイルにミドリムシ、バジル、抹茶を混ぜ、豚骨スープと合わせた。うぐいす色のスープに、具は赤と黄のピーマン、キャベツをあしらったカラフルな一品で、安東正憲店長(34)は、「ほのかな磯の風味が人気」と語る。
今月13日から、コンビニ店チェーン「ナチュラルローソン」が「ユーグレナきなこねじり」(250円)を首都圏90店で限定販売。発売元の札幌第一製菓(札幌市)は「豊富な栄養素が自慢です」と話している。(2011年9月16日 読売新聞)
ミドリムシとは?
ミドリムシとは、ミドリムシ植物門 ミドリムシ綱 ミドリムシ目 に属する鞭毛虫の一種である。属名は euglena(eu 美しい + glena 眼点)。名称としてミドリムシの代わりに「ユーグレナ」を用いる場合も多く、ユーグレナ植物と呼ぶ事もある。古くはユーグレムシの名称が使われたこともある。
淡水ではごく普通に見られる生物である。止水、特に浅いたまり水に多く、春から夏にかけて水田ではごく頻繁に発生する。水温が上がるなどして生育に適さない環境条件になると、細胞が丸くなってシスト様の状態となり、水面が緑色の粉を吹いたように見える。
ミドリムシは0.1mm以下の単細胞生物で、おおよそ紡錘形である。二本の鞭毛を持つが、一本は非常に短く細胞前端の陥入部の中に収まっている為、しばしば単鞭毛であると誤記述される。もう一方の長鞭毛を進行方向へ伸ばし、その先端をくねらせるように動かしてゆっくりと進む。細胞自体は全体に伸び縮みしたり、くねったりという独特のユーグレナ運動(すじりもじり運動)を行う。この運動は、細胞外皮であるペリクルの構造により実現されている。ペリクルは螺旋状に走る多数の帯状部で構成されており、一般的な光学顕微鏡観察においても各々の接着部分が線条として観察される。細胞の遊泳速度もさほど速くないので、初歩的な顕微鏡観察の題材に向く。
鞭毛の付け根には、ユーグレナという名の由来でもある真っ赤な眼点があるが、これは感光点ではない。感光点は眼点に近接した鞭毛基部の膨らみに局在する光活性化アデニル酸シクラーゼ(PAC)の準結晶様構造体である。真っ赤な眼点の役目は、特定方向からの光線の進入を遮り、感光点の光認識に方向性を持たせる事である。
細胞内には楕円形の葉緑体がある。葉緑体は三重膜構造となっており、二次共生した緑藻に由来する(→細胞内共生説参照)。従って緑藻同様、光合成色素としてクロロフィルa、bを持つ。ミドリムシでありながらオレンジ色や赤色を呈する種もあるが、これは細胞内に蓄積されたカロテノイドやキサントフィルによるものである。細胞内には貯蔵物質としてパラミロンというβ-1,3-グルカンの顆粒も見られる。(Wikipedia)
参考HP Wikipedia ミドリムシ 株式会社ユーグレナ社
微生物―その驚異と脅威 | |
杉山 政則,重中 義信 | |
三共出版 |
免疫力を上げて、ウィルスを撃破!!東京大学産みどりむし バイオザイム(増量版) パラミロン ユーグレナ グルカン | |
クリエーター情報なし | |
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