恐竜の羽毛?琥珀の中に…進化解明に期待
恐竜や初期の鳥類に生えていた羽毛が、カナダ西部で発掘された白亜紀後期(7000万年前)の琥珀に閉じこめられた状態で見つかった。カナダ・アルバータ大学の研究者が9月16日付の米科学誌サイエンスで発表した。
羽毛はふつう、平らに押しつぶされた化石として残る。多数の羽毛が琥珀の中で、細部の構造まで保存されたまま見つかるのは珍しい。羽毛がどの恐竜や鳥のものなのかは特定されていない。しかし、1本の軸だけしかない原始的な羽毛や、軸が束になって生えている次の段階、さらに複雑に枝分かれした現代的な羽毛などが確認され、羽毛の進化解明に役立ちそうだ。
国立科学博物館の真鍋真研究主幹は、「巻き毛状の羽毛やカギ状の突起など、今回見つかった琥珀の中には羽毛の立体的な微細構造が残っており、進化したそのような羽毛がすでに白亜紀に出現していたことがわかる」と話している。(2011年9月16日 読売新聞)
アルバータ大のチームは、同州にあるロイヤル・ティレル博物館と大学が所蔵する約4千点の琥珀を調べ、11点に羽毛が入っていることを見つけた。羽毛は繊維状の軸だけのものから、枝分かれしたものまで様々あり、進化段階を詳細にたどることができた。
羽毛恐竜とは?
羽毛恐竜とは羽毛の痕跡が化石記録で確認されている恐竜を指す言葉である。とくに1990年代以降、中国の遼寧省から多数の羽毛恐竜の化石が発見され、鳥類の起原や羽毛の発生に関する議論の中で大きな役割を果たした。
古くは1861年に発見された始祖鳥の化石にはっきりとした羽毛の印象が残されていた。しかし、始祖鳥はあくまでも“鳥”であり、系統的に近い獣脚類が羽毛を生やしていた証拠は長年見つかっていなかった。
1960年代の恐竜ルネッサンス以降、恐竜と鳥の系統関係が再びクローズアップされるようになった。その流れの中で、ロバート・バッカーやグレゴリー・ポールなどの恐竜恒温説を唱える一派は羽毛を生やした恐竜復元図をさかんに描くようになった。それでも羽毛の明確な痕跡が残っている恐竜化石の発見は1990年代まで待たなければならなかった。
現在では、羽毛の痕跡が見つかっている恐竜は20属以上にのぼり、そのほとんどが獣脚類である。そして,そのほとんどは中国の遼寧省に分布する熱河層群のYixian層から見つかっている。なかでも、シュヴウイアの化石の羽毛の印象部分からは、免疫学テストでβ角質(鳥類の羽毛の主要タンパク質)が検出された。このように現在では、すくなくとも一部の恐竜が羽毛を生やしていたこと(あるいは羽毛の原型となる体毛をもっていたこと)は化石記録から確実視されている。(Wikipedia)
羽毛恐竜の全身の体色が明らかに
最近では、恐竜の羽毛化石に色素が残っていれば、生前の色まで特定することができるようになっている。2010年5月、およそ1億5500年前の羽毛恐竜アンキオルニス・ハックスレイ(Anchiornis huxleyi)の詳細な体色が明らかになった。ニワトリほどの大きさ、キツツキに似た外見で、その羽は白黒のまだら模様が目立ち、頭部には赤茶色のトサカを持つ。
この研究に携わったイェール大学の鳥類学者リチャード・プラム氏によると、アンキオルニスの翼の配色は、羽毛に独特の模様を持つ観賞用ニワトリの一種、シルバースパングルド・ハンバーグ(Silver-Spangled Hamburg)と酷似しているという。
アンキオルニスが中国で発見されたのは去年のことだが、化石に残された羽の色素が走査型電子顕微鏡でくまなく調べられ、現生鳥類との比較が行われた結果、再現が可能となったという。
この研究を率いたのは、北京自然博物館の古生物学者リー・チュエングオ(Li Quanguo)氏と、イェール大学で分子古生物学を研究する大学院生ジェイコブ・ビンザー氏だ。同氏らの報告によると、アンキオルニスの全身は赤褐色、黒、灰色、白の複雑なパターンから成る。このような配色は、現生鳥類のように異性を引きつけるなど視覚的コミュニケーションに役立っていた可能性があるという。
2010年1月末に「Nature」誌に発表された肉食恐竜シノサウロプテリクス(中華竜鳥)に関する研究では恐竜の体色が初めて特定されたが、この研究はその発見をさらに掘り下げるものとなった。(Chris Sloan for National Geographic News February 5, 2010)
参考HP Wikipedia 羽毛恐竜 National Geographic news 羽毛恐竜、全身の体色が明らかに
ディスカバリーチャンネル 羽毛恐竜の誕生~空を飛ぶ原始の翼~ [DVD] | |
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熱河生物群化石図譜―羽毛恐竜の時代 | |
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