黄金の国ジパングの現状
現在、金の価格が上昇している。イタリアのマルコ・ポーロが「東方見聞録」の中で「ジパングは、中国の東の海上に浮かぶ独立した島国である。莫大な金を産出し、宮殿や民家は黄金でできているなど、財宝に溢れている。」と記された日本。
現在、金は産出されるのだろうか?かつての日本では、比較的多く金が産出した。しかし、江戸時代前期、すなわち寛永年間以降は国産の金山は徐々に衰え始めた。たとえば有名な佐渡金山もすでに採掘をやめ、現在は観光地化している。
大正・昭和初期の頃には東洋一の金山と言われた北海道の鴻之舞金山は採算ベースに乗る金を全て掘り尽くし1973年(昭和48年)に閉山。現在では、辛うじて1985年(昭和60年)から菱刈鉱山が採掘されるなどのみである。一方、現在海底の熱水鉱床からの産出が将来的に期待されている。
マグマの塊に溶け込んだ初期の金
地球のマントルと地殻に貴金属が存在する事実を科学的に説明することは、実はそれほど容易ではない。貴金属は地球の核を構成する鉄と結び付きやすい性質を持っているからだ。
およそ45億年前、誕生した直後の地球はマグマの塊であった。冷えるにつれて、密度の高い物質が中心に向かって沈み込んで行き、最終的には鉄を主成分とする核が形成された。この過程で、原始地球のマグマに含まれていた親鉄元素(鉄との親和性が高い元素)も核へと移動したはずである。
実際、初期の地球とほぼ同一組成と考えられる隕石を分析した結果、現在の地球の核には相当量の金が含まれていると推定されている。仮に地球表面を覆うと、厚さは4メートルにも達するという。
研究に参加したイギリス、ブリストル大学のマシアス・ウィルボールド(Matthias Willbold)氏は、「親鉄元素はすべて核に取り込まれたはずだ。しかし、現在の地球表面付近には金などの貴金属が存在する」と話す。
その由来として今回指摘されたのが、地球形成から約6億5000万年後に襲来した大量の隕石群である。
古い岩石から化学的な手掛かり
この仮説を実証するため、ウィルボールド氏の研究チームは、グリーンランドのイスア緑色岩帯で採取された岩石試料の分析を行った。同地域の岩石は38億年前の海底に噴出した溶岩と堆積岩からなり、隕石群の襲来時期に近い。ただし、同氏によると、元になったマントルは約45億年前の地球形成時まで遡るという。
したがって、隕石の影響を受ける前の化学的な特徴が残っているはずだ。研究チームは、イスア緑色岩帯の岩石と比較的年代が新しい岩石とを比較し、タングステンの同位体比に違いがあることを突き止めた。
一般に形成年代が比較的新しい岩石にはタングステン184が多く含まれる。一方、イスアの試料ではタングステン182の含有率が高かった。182は、太陽系誕生から約5000万年後までのわずかな期間に生成されている。「タングステンの同位体比が変則的なのはイスアの岩石だけだ。隕石群によって地球表面の組成が変化した証拠と考えている」。
隕石の襲来が地球にもたらした物質の量は、現在のマントル内物質の約0.5%に相当すると推測されている。質量にすると約2000京トン(2000兆トンの1万倍)に達し、無視できる数字ではない。今回の研究結果は「Nature」誌9月8日号に掲載されている。(National Geographic news 2011年9月8日)
金とは?
金(gold)は原子番号79の元素。元素記号は Au。第11族元素に属する金属元素貴金属の一種であり、単体の金属として古くから知られてきた。元素記号は Au であり、これはラテン語で金を意味する aurum に由来する。 柔らかく、可鍛性があり、重く、光沢のある黄色(金色)をしており、展性と延性に富み、非常に薄くのばすことができる。
展性・延性に優れ、最も薄くのばすことができる金属であり、1 gあれば数平方メートルまでのばすことができ、長さでは3000 mまで伸ばすことができる。平面状に伸ばしたものを「金箔」(きんぱく)、糸状に伸ばしたものを「金糸」と呼ぶ。豪華な衣装を作るために、金糸は綿や絹など一般的な繊維素材と併用される。
他の金属と溶け合いやすいため、混ぜて合金とすることが容易である。これにより他の金属の伸長性が増し、変化に富んだ色の金属を作ることができる。銅との合金は赤く、鉄は緑、アルミニウムは紫、白金やパラジウムやニッケルは白、ビスマスと銀が混ざった物では黒味を帯びた色調になる。自然に存在する金には通常10 %程度の銀が含まれており、20 %を超える物は、エレクトラム、青金または琥珀金と呼ばれる。さらに銀の量を増やして行くと色は次第に銀白色になり、比重はそれにつれて下がる。
金鉱床
銅や亜鉛などは、酸化物および硫化物といった形で化合物として産出されることが多いが、金は主に自然金(native gold、金の単体)として得られることがほとんどである。また金は、火成岩中にも極微量に含まれる。ただし、採算が取れるほど固まって産出されるのはまれであるため、銅や鉛などの精製過程における副産物として通常は得られる。
金鉱山として金を産出する場合は、金の鉱脈、あるいは鉱染を受けた岩体に沿って掘っていく。そのほかに、金を含む鉱石が風化した、砂状のものをパンニング皿(側面に一定間隔で凹凸の刻みが入れてある皿)などの道具によってより分ける砂金掘りの方法もある。
金鉱石金は地球全体の地殻内に広く分布して存在しており、存在比は0.003 g/1000 kg程度 (0.003 ppm) である。熱水鉱床は変成岩と火成岩のなかに生成する。
金鉱床は銀、銅や水銀、硫化鉄、テルルなどのレアメタル、砒素を同時に産出することが多い。銀やレアメタルは鉱山の収益を補えるが、現在殆ど使用用途のない水銀や砒素は公害の原因になり、逆に収益に影響を及ぼすことがある。
鉱床は風化や浸食されていることもあり、その場合、金は砂金として小河などに流されるが比重が大きいために沈殿しやすく、重い鉱物の漂砂鉱床や砂鉱床に集まっている。もう一つ重要な鉱床は堆積頁岩または石灰岩の鉱脈で、これはまばらに単体の金がプラチナなどの金属とともに散在する形で存在する。
また、海水中にも金は含まれており、その割合は1000 kgあたり0.1 - 2 µg (1×10−4 - 2×10−3 ppb) 程度である。
参考HP Wikipedia 金 東方見聞録 土肥金山
National Geographic news 地球の金は隕石が運んだ?
マルコ・ポーロ東方見聞録―全訳 | |
クリエーター情報なし | |
校倉書房 |
日本の金 | |
クリエーター情報なし | |
東海大学出版会 |
��潟�<�潟��