光速を超える粒子の発見
欧州原子核研究機構(CERN)が約1万6000個のニュートリノをイタリアに飛ばしたら、光速より速く到着してしまったという。
これが本当なら「宇宙には光速より速く移動できるものは存在しない」とアルベルト・アインシュタインが1905年に提唱した特殊相対性理論が打ち破られ、物理を塗り替える革命となる。
実験では約1万6000個のニュートリノをジェノバにあるCERNの研究所から地下経由で732km先の伊グラン・サッソ国立研究所に発射した。すると2.43ミリ秒後に到着。このヒットした時間の記録は国際研究実験OPERA(Oscillation Project with Emulsion-tRacking Apparatus)の粒子検出器に残っていた。
タイムマシンも可能に?
アインシュタインの特殊相対性理論によると、質量のある物体の速度が光の速度に近づくと、その物体の時間の進み方は遅くなり、光速に達すると時間は止まってしまう。
光速で動く物体が時間が止まった状態だとすると、それよりも速いニュートリノは時間をさかのぼっているのかもしれない。すると、過去へのタイムトラベルも現実味を帯び、時間の概念すら変更を余儀なくされる可能性もある。
これまでの理論では、未来への旅行未来への時間旅行は現代へ帰還しない、すなわち相対的過去への時間旅行を伴わない片道旅行であるならば、運動している物体の時間の遅れを利用した相対性理論における観測系ごとの相対的時間進行差により理論的には実現が可能とされている。
具体的には光速に近い速度で飛行するロケット内部では外部より時間の進みが極めて遅くなるため、内部では1時間の飛行も外部では数年に相当するようなウラシマ効果が発生するが、これを利用することで搭乗者にとっては見かけ上1時間で数年先の未来へ時間旅行が実現するものである。また、ブラックホール近傍のような強い重力下でも時間の遅れが発生するが、これを利用する方法でも同様の効果が得られる。どちらの現象も検証実験がなされており、微少ではあるが理論値どおりの効果が確認されている。
しかし、光速以上で飛行するロケットが存在すれば、過去への旅行も可能になる。これまで、アインシュタインの特殊相対性理論では光速度不変の原理により、光より速いものは存在しないとしてしまったので、過去への旅行は難しいものであった。今回の実験結果は、ニュートリノから見ると、到着した時間は、出発した時間より速くなり、未来へ行ってしまったことになる。
現代科学の概念が変わる?
「現代の理論物理がよって立つアインシュタインの理論を覆す大変な結果だ。本当ならタイムマシンも可能になる」と東大の村山斉・数物連携宇宙研究機構長は驚きを隠さない。
アインシュタインの特殊相対性理論によると、質量のある物体の速度が光の速度に近づくと、その物体の時間の進み方は遅くなり、光速に達すると時間は止まってしまう。
光速で動く物体が時間が止まった状態だとすると、それよりも速いニュートリノは時間をさかのぼっているのかもしれない。すると、過去へのタイムトラベルも現実味を帯び、時間の概念すら変更を余儀なくされる可能性もある。
それだけに、村山氏は「結果が正しいかどうか、別の検証実験が不可欠だ。実験は遠く離れた2地点の間でニュートリノを飛ばし、所要時間を計るというシンプルなアイデア。正確さを確保するには双方の時計をきちんと合わせる必要があるが、これはそれほど簡単ではない」と語る。
スーパーカミオカンデ実験を率いる東大の鈴木洋一郎教授も「別の機関による検証実験で、結果の正しさを確かめることが大事だ」と慎重な姿勢だ。
鈴木氏は、昭和62年に小柴昌俊氏がニュートリノを検出した実験で、超新星爆発で出た光とニュートリノがほぼ同時に観測されたことを指摘。「両者の速度に今回のような違いがあるとすると、ニュートリノは光よりも1年は早く地球に到達していなければおかしいことになる」と語る。
実験に参加した名古屋大の小松雅宏准教授は「実験に間違いがないかと検証を繰り返したが、否定できない結果になった。公表することで他の研究者による検証や追試が進み、物理学の新たな一歩につながれば」と話している。(msn 2011.9.24)
特殊相対性理論
1905年にアインシュタインは特殊相対性理論を発表。20世紀に於ける物理学史上の2大革命として量子力学及び相対性理論が挙げられるが、以前から論理的に展開されていた相対性原理(アンリ・ポアンカレ、ジョゼフ・ラーモア、ヘンドリック・ローレンツなど)をもとに、ニュートン力学とマクスウェルの方程式を基礎とする物理学の体系を根本から再構成した。特殊相対性理論では、質量、長さ、同時性といった概念は、観測者のいる慣性系によって異なる相対的なものであり、唯一不変なものは光速度cのみであるとした。
アインシュタインは、次の二つの仮定(公理)のみをもとに思考実験をするとどのような結論が得られるかをまとめた。
1.力学法則はどの慣性系においても同じ形で成立する(相対性原理)。
2.真空中の光の速さは光源の運動状態に無関係に一定である(光速不変の原理)。
これらの仮定を満たすためには、それまで暗黙のうちに一様で変化しないとみなされていた空間と時間を変えるという方法を用いる。
「光の速度に近い、加速していない宇宙船から、光の速度が c に見えるようにするためには、どうすればよいか。」
アインシュタインの答えは、「宇宙船の時間が真空の星の上と同じように進むとすると、宇宙船からは光の速度が遅く見えてしまい、不自然である。宇宙船の中の時間の進み方が遅くなるとすれば、宇宙船の中から見ても光速度(距離÷時間)は変わらないだろう。」 というものだった(静止していない慣性系での光速度不変についてはアルバート・マイケルソンとエドワード・モーリーの厳密な光速度測定において考えられていた)。
一般相対性理論
特殊相対性理論は重力場のない状態での慣性系を取り扱った理論であるが、アインシュタインは1915年-1916年に、加速度運動と重力を取り込んだ一般相対性理論を発表した。一般相対性理論では重力場による時空の歪みをリーマン幾何学を用いて記述している。
一般相対性理論は慣性力と重力を結び付ける等価原理のアイデアに基づいている。等価原理とは、簡単に言えば、外部を観測できない箱の中の観測者は、自らにかかる力が、箱が一様に加速されるために生じている慣性力なのか、箱の外部にある質量により生じている重力なのか、を区別することができないという主張である。
重力の大きさと空間の歪みの関係を、アインシュタイン方程式で表した。相対論によれば空間は時空連続体であり、一般相対性理論では、その時空連続体が均質でなく歪んだものになる。つまり、質量が時空間を歪ませることによって、重力が生じると考える。そうだとすれば、大質量の周囲の時空間は歪んでいるために、光は直進せず、また時間の流れも影響を受ける。これが重力レンズや時間の遅れといった現象となって観測されることになる。
また質量が移動する場合、その移動にそって時空間の歪みが移動・伝播していくために重力波が生じることも予測されている。しかし、2011年1月現在、重力波はまだ直接観測されてはいない。(Wikipedia)
参考HP Wikipedia アルベルト・アインシュタイン・タイムマシン
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ディスカヴァー・トゥエンティワン |
タイムマシンと時空の科学 (図解雑学) | |
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