宇宙ステーションの無人実験機「天宮1号」
中国初の国産有人宇宙ステーションの無人実験機「天宮(てんきゅう)1号」が9月29日午後9時16分(日本時間午後10時16分)、内モンゴル自治区と甘粛省にまたがる酒泉衛星発射センターから打ち上げられた。その後予定の軌道に乗り、中国政府は「打ち上げ成功」を発表した。
中国は2020年までに長期滞在可能な有人宇宙ステーションを完成させ、将来的には有人宇宙船の月面着陸も目指している。中国の計画が成功すれば米露に次ぐものとなり「天宮1号」の打ち上げ成功は、その第一歩となる。
中国メディアによると、天宮1号が打ち上げられた後、11月までに無人宇宙船「神舟しん(しゅう)8号」が発射され、宇宙空間で「天宮1号」とのドッキング実験を行う予定。その後、さらに2年以内に中国初の女性宇宙飛行士の搭乗を想定した「神舟9号」、「神舟10号」も打ち上げ、ドッキングの実験を繰り返す。
宇宙ステーションの建設・運用には巨額の費用がかかるため、単独で成功したのは旧ソ連(1971年)と米国(1973年)だけ。日米露など15カ国は協力して国際宇宙ステーション(ISS)計画を進めてきたが、中国の軍事利用を警戒する米国の反対もあり、中国は参加せず独自開発してきた。中国の打ち上げ成功にはインドなども強い関心を示しているとみられ、日米露などによる既存のISS計画に対抗し、中国を軸とする新たな協力関係が築かれる可能性もある。(毎日新聞 2011年9月29日)
中国の宇宙ステーション
「核兵器保有」「貧富の格差」「環境破壊」「尖閣諸島問題」「人権問題」など、イメージの悪い中国であるが、日本よりもあきらかに進んでいるのが宇宙計画である。
中国は最終的に60トンにもなるステーションを2020年までに建設する予定で、1か月後には無人ロケットによるドッキングの実験も控えている。この打ち上げ成功は急速に拡大する中国の宇宙開発の大きな一歩となりそうだ。
これまでの宇宙ステーションというと、日本、アメリカ、ロシア、ヨーロッパなどが参加して現在運用されている「国際宇宙ステーション(ISS)」と、既に運用を終了し廃棄されたロシアのステーション「ミール」などが挙げられる。ここに、実験機ではあるが中国が独自に開発したステーション「天宮」が加わった。
2011年9月29日21時16分(現地時間)長征2号FT1で酒泉衛星発射センターから打ち上げられた「天宮1号」は、重さ8.5トンとステーションとしては小型のモジュールで、中国では初めて宇宙空間でのランデブーやドッキングができるような仕様になっている。これらの技術は、2020年までに60トンのステーションを作ろうとしている中国にとって必須のものである。
当初は8月中旬に打ち上げ予定となっていたが、長征2号Cの打ち上げ失敗により延期されていた。天宮1号には、あまり長時間滞在することはできないが最大3名のクルーを収容でき、少なくとも2年間は地球軌道を周回することができる。
天宮1号は、搭載のカメラで中国の農耕地の重金属汚染の状況を把握したり、微小重力環境を利用した実験を行ったりする。(2011年9月30日 Universe Today/新華社)
中国の初期宇宙計画
調べてみると中国の宇宙計画は1960年代から。当初中国は米ソの宇宙開発時代初期にソ連の援助で独自の宇宙開発計画を推進しようとしたが、両国の関係が悪化したため(中ソ対立)、ソ連からの技術供与が中断した。
このため自力でロケットなどの開発を進めた結果、1970年4月24日、ロシア(旧ソ連)・アメリカ・フランス・日本に次いで世界で5番目に長征ロケットで人工衛星「東方紅」の打ち上げに成功した。また、1975年11月26日には帰還式人工衛星の再突入に成功。
1986年から宇宙計画の大綱といえる「863計画」の中では有人宇宙飛行に初めて触れ、宇宙船の検討を行ってきた。アメリカ航空宇宙局(NASA)が未来の宇宙機関として宣伝してきたスペースシャトルの様に、再利用型の有翼宇宙往還機を推す声がほとんどであった中、技術者たちは使い捨てのソユーズ方式を選んだ。
921計画とは?
1992年4月に「神舟」計画(プロジェクト921)を発表する。この命名は、江沢民国家主席(当時)によるものであるといわれる。神舟計画は4機の無人試験飛行と2機の有人計画からなる。最初の神舟1号は1999年11月20日、神舟2号は2001年1月9日にそれぞれ試験動物を乗せて打ち上げられた。2001年には神舟3号と神舟4号がダミー人形を乗せて打ち上げられた。これらの成功の後、2003年10月15日、楊利偉をのせた神舟5号が打ち上げられ、軌道上に21時間滞在した。この成功により中国は独自の有人宇宙飛行を世界で三番目に達成した国となった。その二年後の神舟6号によって921計画の第一段階は終了する。この6機は全て酒泉衛星発射センターから長征2号Fによって打ち上げられた。
921計画の第二段階は中国初の宇宙遊泳計画、神舟7号によって始まる。そして初の中国宇宙実験室の有人計画が実行に移される。中国は当初、神舟宇宙船をロシアからのドッキング技術を元に設計していたので、国際宇宙ステーションとの互換性がある。無人宇宙実験モジュール神舟8号、有人の神舟9号、神舟10号は小型宇宙ステーション天宮1号とのドッキングを果たす予定である。
この計画で中国は次の恒久的宇宙ステーションへの主要技術を獲得する。神舟11号で921計画の第二段階は終了する。
大型宇宙ステーション(基本型空间站)が921計画の第三段階であり、最後の段階でもある。総質量は100トン以下で、船員の居住区である20トンを超える中核モジュール(核心舱)を具える。これには神舟貨物船(货运飞船)と有人の神舟、二機の実験モジュール(实验舱)が含まれる。この規模はソ連のミール宇宙ステーションを超えるものではない。
さらに、神舟7号の打ち上げ後初めて公的に明らかにされたことだが、これは中国の有人国際協力の始まりでもあるかもしれない。イランやパキスタン、北朝鮮などの友好国の参加が期待されており、神舟5号と北朝鮮の衛星光明星1号が両国の首脳の後ろに描かれた記念スタンプがそのことを窺わせる。(Wikipedia)
月・火星探査計画
2004年2月、中国は公式に月探査計画の実施段階に入る。中国国家航天局の局長孫来燕によると、中国の月探査計画には月周回、軟着陸、サンプルリターンの三段階存在するという。それによると、第一段階には14億元が支出される予定で、2007年までに月周回軌道に探査機を送り込む。第二段階は2010年までに着陸機を送り込み、第三段階は2020年までに月の土壌サンプルを地球に持ち帰る予定である。
2005年11月27日、有人宇宙飛行計画の代理責任者が2020年までに中国は宇宙ステーションと月有人探査を完遂する計画であると公表した。それに先立ち、2012年までに宇宙遊泳とドッキングを完璧に果たす予定である。
2006年7月20日、中国国家航天局局長の孫来燕は中国は今後5年間に火星に向けた深宇宙探査計画を始めると語った。
蛍火1号が2009年10月にロシアのフォボス・グルントと共に打ち上げ予定であったが、ロシア側の打ち上げ延期の決定により、蛍火1号の打ち上げも2011年に延期されることとなった。
2010年3月10日、嫦娥1号の総設計者である叶培建は2013年に独自の火星探査計画を実施の可能性を示唆した。
火星への有人探査は2040年から2060年の間に行われるとされる。さらに、火星へ向けた安全な有人航行にも利用可能な宇宙天気予報システムの完成を2012年までに夸父衛星をラグランジュ点L1におくことによって実現させる予定である。(Wkipedia)
参考HP Wikipedia 中国の宇宙開発
日中宇宙戦争 (文春新書) | |
クリエーター情報なし | |
文藝春秋 |
中国が月着陸に成功すると何が起こるか The Day Chinese Reach to the Moon (光文社ペーパーバックス) | |
クリエーター情報なし | |
光文社 |
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