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水素イオン濃度指数(pH)とは何か?
 水溶液の酸性、アルカリ性の度合いを表す指標。一般に「水素イオン濃度」といわれることもあるが、正確には、水素イオン濃度の逆数の常用対数を示す値。pH試験紙やpH計などで簡易に測定できる。pHが7のときに中性、7を超えるとアルカリ性、7未満では酸性を示す。

 pHの値の範囲が特に存在するわけではない。一方で日本の高等学校の教科書などではpHが0~14の範囲で図表が掲げられ、水溶液のpHは、ほぼ0~14の範囲で変わると記述されている。

 しかし、濃厚な強酸、強塩基水溶液あるいは超酸、超塩基ではpHの値がマイナスの値となる場合や、14を超える場合が存在する。この場合、pHやpOHではあまり意味をなさないため酸度関数によって表現するのが一般的である。

pH

 水素イオン濃度指数は、pH(potential Hydrogen, power of Hydrogenの略)という記号で表される。pHの読みはピーエイチ(英語読み)、またはペーハー(ドイツ語読み)。日本では1957年にpHのJISを制定する際に読みがピーエイチと定められ、現在の法令および、JISではピーエッチと定められているが、ペーハーの読みも依然用いられる事が多い。

 環境とpH
 河川水は通常pH6.5~8.5を示すが、河口での海水の混入や、石灰岩地帯や田畑など流域の地質、生活排水、工場排水などの人為汚染、夏期における植物プランクトンの光合成等の要因により酸性にもアルカリ性にもシフトする。河川におけるpHの環境基準は類型別に定められており、「6.5(あるいは6.0)~8.5」を地域の状況によりあてはめる(類型あてはめ)。ただし、pH値は厳密には温度によって変化するので、調査にあたっては測定時の水温も付記する必要がある。

 一方、雨水中の溶存物質等により、雨水が強い酸性を示すことがあり、pH5.6以下の雨を酸性雨と定義づけている。これは、大気中に存在する炭酸ガスが雨水に溶け込み平衡状態になったときの値が5.6のため。

 ただし、人間活動がない場合でも火山からの二酸化硫黄(SO2)の放出や、海洋からのジメチルサルファイドの放出による硫酸イオンの生成など、自然活動によっても雨水が酸性化することがあり、特に海洋近傍ではpH5.0前後がバックグラウンド値となる。

 生物が生きる環境にも、もちろんpHがあります。現在の海は、pH8.0~8.5。川にも、土にもpHがある。この値によって、魚が住めない川や、樹が育たない土地があったりする。

 植物が育つ土のpHは、りんご・イネ(pH5.0~6.5)モモ・ナシ(pH6.0~7.5)で、りんご・イネの方が酸性の土地が適していることがわかる。農家は、この土のpHを肥料などで調節して作物を育てています。また、日本の山では、むかしたくさん採れていたマツタケがだんだん採れなくなっている。その大きな理由の一つは「酸性雨」によって土壌(土の性質)が変化したから。

 また、須川(群馬県)は、pH2.5。この川は上流に草津温泉をひかえ、昔は硫黄鉱山があったなど火山地帯にある。この川の途中のダムでは、石灰を川の水に混ぜ水を中和している。つまりpHを7に近づけ下流に影響を及ぼさないようにしている。この須川の下流は利根川に流れ込み太平洋に出る。利根川のpHは、7.1で、太平洋、海は8.0くらいだからおもしろい。このようにして、人間の世界とpHの世界は重要なつながりがある。

 強酸とは?
 強酸(Strong acid)とは、水溶液中で平衡に達したとき、プロトンを近似的に完全に電離する電解質のことである。酸 HA(aq) はプロトン H3O+(aq) (陽イオン)と A-(aq) (陰イオン)に電離する物質のことである。

 強酸の酸解離定数 pKa は存在する。強酸の場合、pKa < 0 すなわち、Ka > 1 であり、たいていの強酸は Ka >> 1 である。

 強酸は腐食性が大きいと想定されるが、常にそういうわけではない。超酸のカルボラン酸(H(CHB11Cl11)は、硫酸の100万倍の強さであるがガラスに対しては全くの非腐食性である。一方、希薄水溶液中で弱酸であるフッ化水素酸(HF)は腐食性が非常に強く、イリジウムを除く全ての金属とガラスを腐食する。

 主な強酸、ヨウ化水素(HI)、過塩素酸(HClO4)、臭化水素(HBr)、塩化水素(HCl)、硫酸(H2SO4)、硝酸(HNO3)など。

 超強酸とは?
 超酸(superacid)は、100% 硫酸よりも酸性が強い酸を表す呼び名である。超強酸(superstrong acid)とも呼ばれる。例えば、トリフルオロメタンスルホン酸 (CF3SO3H、triflic acid とも) やフルオロスルホン酸 (FSO3H) は、いずれも硫酸の1000倍以上の酸性度を持ち、超酸と呼ばれる。多くの場合では、超酸は 2種類以上の化合物の組み合わせにより高い酸性を実現している。

 「超酸」という用語は、ジェームス・B・コナントが過塩素酸系の酸性を研究する中で 1927年に用いた造語である。元々は従来の鉱酸よりも強い酸を指す用語であった。硫酸よりも強い酸としての定義は、R. K. Gillespie による。

 ジョージ・オラーは、超酸を用いて、それまで不安定な化学種とされてきたさまざまなカルボカチオン種を直接観測する手法を確立させ、それらの性質を明らかにした。その業績などから、オラーは 1994年のノーベル化学賞を受賞した。

 現在までに最も強い超酸として知られる系は、フッ化水素 (HF) と五フッ化アンチモンとの混合物で、フルオロアンチモン(V) 酸と呼ばれる。この系では、まずフッ化水素がプロトン (H+) とフッ化物イオン (F−) に分かれ、そのフッ化物イオンが五フッ化アンチモンと強く結合して八面体型アニオン (SbF6-) を作る。このアニオンは塩基性、求核性が非常に弱いため、遊離したプロトンは非常に反応性の高い "free proton" の状態に近づいている。

 そのような理由で、このフルオロアンチモン(V)酸の系は際だって高い酸性を示すのである。その酸性は、100% 硫酸と比較して約 1016 倍の強さに達する。この系に、さらに三酸化硫黄 (SO3) を加えれば、アンチモン上の配位子の組成を変えることができる。

 強塩基(強アルカリ)
 強塩基(strong base)とは、塩基解離定数の大きい塩基を指し、狭義には水溶液中において電離度が1に近く水酸化物イオンを定量的に生成し、塩基解離定数がpKb < 0 (Kb > 1 ) 程度のものをいう。水溶性でかつ水溶液中において強塩基であるものは特に強アルカリ(strong alkali)とも呼ばれる。このようなものはタンパク質を加水分解する性質が強く、皮膚などを強く腐食し、目に入ると失明する恐れもある。

 水溶液中において最も著しい強塩基は、アルカリ金属およびテトラアルキルアンモニウムの水酸化物である。

 粒状の水酸化ナトリウム水酸化リチウム (LiOH)、水酸化ナトリウム (NaOH)、水酸化カリウム (KOH)、水酸化ルビジウム (RbOH)、水酸化セシウム (CsOH)、水酸化テトラメチルアンモニウム (N(CH3)4OH)、水酸化テトラエチルアンモニウム (N(C2H5)4OH) 、これらに次ぐ強塩基としてはアルカリ土類金属などの水酸化物、および分子性のものとしてプロトン化された陽イオンが共鳴安定化されるグアニジンなどがある。

 水酸化カルシウム (Ca(OH)2) 、水酸化ストロンチウム (Sr(OH)2)、水酸化バリウム (Ba(OH)2)、水酸化ユウロピウム(II) (Eu(OH)2)、水酸化タリウム(I) (TlOH)、グアニジン (HN=C(NH2)2)

 超塩基
 希薄水溶液中における塩基性は水平化効果により水酸化物イオンの塩基強度に制限されるが、非水溶媒中ではさらにプロトンを引き抜く力の強い強塩基性媒体が実現可能である。このような強塩基性媒体を超塩基(superbase)もしくは超強塩基と呼ぶ。ただし現在のところ超塩基の明確な定義はない。一方、酸度関数H_>26のものを超塩基とする提案もあり、これは超酸の定義がほぼH0<−12と中性H0=7の1019倍、酸性が強いことに対応し、1019倍以上、塩基性が強いものを超塩基と呼ぶというものである。

 超塩基の塩基性強度は、媒体中に指示薬として微量添加された弱酸HAのプロトン解離の程度によるハメットの酸度関数H_により表される。ここでは水素イオンの活量、およびは指示薬の活量係数を表す。このH_の数値が大きいほど媒体の塩基性は強く、この中ではより弱い酸でもプロトン解離を引き起こすことになる。

 固体の超塩基としては酸化カルシウムCaOなどがあり、これはH_>26.5であり酸化物イオンO2−が塩基点としてはたらく。また、酸化マグネシウムMgOに金属ナトリウムを添加した固体はさらに強い塩基性を発揮し、H_>35にも及ぶ。

参考HP Wikipedia 水素イオン濃度指数 Gaiapress 環境のpH

酸・塩基とは何か (化学One Point 25)
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共立出版
化学実験セット:指示薬と酸・塩基
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