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 パンダが竹を食べる謎を解明
 パンダはなぜ竹を食べるのだろう?消化器官や歯の構造はクマやアザラシ等、他の肉食動物と大変似ている。犬歯は大きく、奥歯も大きく平らな臼歯で人間のおよそ7倍の大きさである。腸や盲腸は草食性としては短い構造がデメリットとなり、セルロースを多く含む竹などの食物を食べた場合、栄養摂取の効率が低い。

 それでも、ジャイアントパンダが99%竹を主食とするのは長年の謎であった。今回、糞の分析からついに解明された。

 草食動物は、繊維質の消化を助けるため比較的長い腸を持つ傾向があるが、ジャイアントパンダにはそのような特徴はない。しかも、2009年にジャイアントパンダのゲノムが解析された際に、竹や草などに含まれる植物繊維であるセルロースの分解に働く既知の酵素に対応する遺伝子がないことが明らかになった。

Panda

 この結果から、研究者たちは、パンダの腸の中にはセルロースを食べて消化を助ける細菌がいるに違いないと推測した。しかしこれまで、パンダの腸内でそのような細菌を探す努力は成果を上げてこなかった。

 そこで今回発表された研究では、野生のパンダ7頭と飼育されているパンダ8頭の糞に含まれる遺伝子を調査対象にしたと、研究を率いた北京にある中国科学院動物研究所の魏輔文(Wei Fuwen)氏は話す。サンプルは、従来のパンダの糞の研究で用いられたものに比べてはるかに多かったという。

 魏氏らは、パンダの消化管内に、草食動物の腸内で見つかるものに似た細菌が実際に存在することを確認した。研究チームが確認した細菌のうち、13種は既に知られているセルロース分解細菌の仲間だったが、7種はパンダに特有の細菌だった。

 パンダは生物の系統樹の上で大半の草食動物とは異なる枝の上に位置するため、このような細菌の存在は、「食事の違い、腸内の独特の生息環境、あるいはこの宿主が系統発生学上持つ特殊な立場によるものと考えられる」と魏氏は推測する。

 パンダを竹食にしたのは人間?
 腸内微生物の助けを借りているとはいえ、パンダは竹や笹からたいして栄養分を摂っているわけではない。パンダは1日に乾燥食料を9~14キロ食べるが、消化しているのはそのうちの17%にすぎない。このことは、パンダが緩慢な動きでエネルギーを無駄にしない生活スタイルに進化した理由も説明する。

 では、そもそもパンダはなぜ、どのようにして草食に転じたのだろう。

 一説によると、古代の人類の人口が増えるにつれ、パンダが高緯度地域に追いやられたためだという。新たに棲みついたその土地で、ツキノワグマなどほかの肉食動物と獲物を争わなくてすむよう竹食に適応したのだと、ワシントンD.C.にあるスミソニアン国立動物園のパンダ飼育係、ニコル・マコークル(Nicole MacCorkle)氏は説明する。

 パンダは、与えられれば肉も食べるけれども積極的に追い求めはしないとマコークル氏は付け加えた。(Rachel Kaufman for National Geographic News October 18, 2011)

 ジャイアントパンダ
 ジャイアントパンダ(学名:Ailuropoda melanoleuca、英語名:Giant Panda、中国語名:大熊猫)は、中国大陸で進化し、現在では中華人民共和国のごく限られた地域(四川省・陝西省など)にわずかな頭数が残存する、竹食などの草食傾向が比較的高い雑食性の大型哺乳類。ネコ目(食肉目)- イヌ亜目- クマ下目 (en) 中のクマ科- ジャイアントパンダ亜科に分類される、ジャイアントパンダ属の、唯一現生する1種。四川と秦嶺の2亜種が知られる。白と黒にはっきりと分かれた体毛が際立った特徴である。

 現在は竹林に棲み、竹食のほか、小型哺乳類・魚・昆虫等の小動物、果物を食べることもあり、他のクマ類と同様に肉食を含む雑食性の特徴も微少であるが残っている。昔は動物園でも肉を与えていたケースもある。氷期の到来による気候変動がもたらす食糧不足から偏食を余儀なくされ、常に入手しやすい竹ばかり食べるようになったと考えられている。しかしながら現在は、中国の飼育環境では、竹以外にも肉や野菜などを中心とした餌が与えられ、竹食中心とは言いがたい。

 群れや家族を形成せず、基本的に単独で行動している。他のクマ科動物と異なり、冬眠はしない。繁殖期は年に一度、3月から5月の間であり、マーキング(territorial marking)が行われることもある。メスの受胎が可能な期間は数日ほど。妊娠期間は3か月から6か月で、通常1頭または2頭の子供を出産する。繁殖力は低い部類に入り、乱獲と並んでパンダの絶滅危機の原因でもある。近年の研究によって、発情期以外でも声と匂い付けによって他のパンダと頻繁にコミュニケーションをとり、しばしば交流することが判明している。

 外見や動作の特徴は人間にとって「愛らしさ」と映り、そのような面が注目を集めるが、クマ科動物として気性の荒い一面も併せ持っている。動物園の飼育員や見学客などが襲われる事件が過去には何件か発生している。

 絶滅危惧種、生息数1600頭
 2004年に発表された調査では、現在、中華人民共和国四川省北部の岷山山地、陝西省南部の秦嶺山脈、甘粛省南部などに約1,600頭が生息している。中国では40か所のパンダ保護区を設けてジャイアントパンダを保護しており、最大のものは四川省北部の阿堰州(阿坝州、アーベイ州。アバ・チベット族チャン族自治州)にある臥龍自然保護区(en. 約2,000km²)である。また、国家一級重点保護野生動物にも指定されている。

 臥龍自然保護区内には1983年に臥龍パンダ保護研究センターが建設され、ジャイアントパンダの飼育・研究が行われ、また、大いに観光客を呼び込んでいたが、2008年の四川大地震によって壊滅し、飼育されていたジャイアントパンダはちりぢりに各地の動物園に移された。廃墟となった臥龍のセンターは放棄され、近隣の耿達郷にセンターを再建する計画がある。臥龍自然保護区の野生パンダの生息環境も破壊が激しく、多くの野生パンダが死滅するという予測がある。そのため、野生パンダを広州のサファリパークに移送する案も出ているが実現に至っていない。

 経済発展が続く中華人民共和国では生息地域だった土地の開発が進むにつれて、ジャイアントパンダが孤立する傾向にあり、繁殖期になっても交尾の相手が見つからないといった事態が起きている。また、本種の主食である竹は約60年から120年に1度、一斉に開花して枯れてしまうため、一種類しか竹が生えていない地域の場合、この時期に食料にありつけず餓死してしまうことがある。

 以前であれば竹枯死の発生していない他の地域に、ジャイアントパンダ自身が移動することによってその事態を回避することもできたが、20世紀後半以降は道路建設や森林伐採、住宅や農地の開発などによって人間が生息地を分断したことによって移動できなくなった地域もあり、竹枯死の影響が大きくなるとみられる。そのような問題点を改善するために、生息地域付近の開発制限、保護区の拡大、他地域のジャイアントパンダ同士が相互に交流できるように「緑の回廊(ワイルドライフコリドー、グリーンコリドー、en)」を造る計画を進めている。

 ワシントン条約の附属書I(絶滅のおそれのある種で取引による影響を受けており、または受けることがあるもの)に掲載され、取引が厳しく制限されている。

 2006年、生育センターなどで飼育中のジャイアントパンダは計217頭、野生では約1,590頭が生育している。この数は1980年代末より約40%増えている。

参考HP Wikipedia ジャイアントパンダ National Geographic news パンダが竹を食べる謎

ジャイアント・パンダ 中国 [DVD]
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東宝東和
パンダ育児日記
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二見書房

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