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 地球中心部「外核」は2層か?
 地球中心部の「外核」という部分では、結晶構造が異なる液状の鉄が2層構造で対流している可能性が高いことを、東京工業大などの研究チームが突き止め、11月11日の米科学誌サイエンスで発表した。

 地球は外側から地殻、マントル、外核、内核にわかれ、外核は深さ約2900~5100キロで、溶けた鉄などでできている。東工大の広瀬敬教授らは、外核の温度や気圧を再現し、液状の鉄がどう変化するか調べた。地下4000キロ付近と同じ条件(240万気圧、絶対温度4000度)になると、鉄の結晶の形が変化することがわかった。

 この結果を基に、外核内の動きをコンピューターで再現すると、従来考えられていた1層ではなく、外核の中央付近を境にして、鉄が2層構造で対流している可能性が高いと判明した。

FeO

 この対流で起きる地磁気は、数万~数十万年周期で反転しており、研究は、こうした磁場変動の原因解明に役立つかもしれない。広瀬教授は「2層構造の対流が温度や気圧の差で不安定になり、周期的にその構造が崩れて地磁気の反転が起きるのではないか」と話している。(2011年11月11日  読売新聞)

 酸化鉄(FeO)の構造変化
 地球の中心には半径3500kmの金属鉄を主成分とする核があり、金属核は深さ5150kmを境に液体核(外核)と固体核(内核)に分かれている。外核の液体金属が対流することにより、地球磁場が発生している。外核の成分は溶融した状態の鉄で、30%程度の酸化第一鉄(FeO)が含まれており、地震波観測に基づいて外核の対流は一層だと従来考えられてきたが、温度圧力条件の変化に伴う成分の結晶構造の変化の影響等考慮されておらず、正確には分かっていなかった。そこで、本研究では、FeOの外核中での結晶構造の変化を調べ、その変化により外核がどのように対流しているのかを調べた。

 本研究では、大型放射光施設SPring-8の高圧構造物性ビームライン(BL10XU)において、地球外核の物理条件の範囲(227万気圧、3770K~324万気圧、4180K)で、地球外核の成分であるFeOの結晶構造がどのように変化するのかを調べた。その結果、外核中部に相当する温度圧力条件下(240万気圧、4000K)で塩化ナトリウム型構造から塩化セシウム型構造へと結晶構造が変化することを見出した。FeOが塩化セシウム型構造をとることは従来知られておらず、本研究により初めて発見された。

 この結晶構造の変化は対流の障害になり、外核の対流を変える可能性があるため、今回の結果を数値シミュレーションに取り入れ、外核の対流状況を調べた。その結果、外核の対流は、FeOが塩化セシウム型構造に変化する深度で遮断され、従来考えられていたような一層ではなく、二層対流となることが明らかになった。

 地磁気逆転の原因
 いままで外核の対流は一層だと考えられていたが、本研究により発見した構成成分の相転移を考慮すると、二層対流である可能性を示した。外核の対流運動により地球磁場は生成されている。地球の歴史を通して、地磁気の南北は平均して70万年に1度入れ替わって来た。二層対流が不安定になることにより、地磁気の逆転を引き起こしている可能性がある。

 地磁気逆転とは、地球の地磁気の向きが、かつては現在と南北逆であったとすること。1600年に、ウィリアム・ギルバートが地球は一つの大きな磁石であると主張した。1828年には、ガウスが地磁気の研究を開始した。さらに1906年には、現在の地磁気の向きとは逆向きに磁化された岩石が発見された。

 1926年、京都帝国大学(現在の京都大学)教授の松山基範が、兵庫県の玄武洞の岩石が、逆向きに磁化されていることを発見した。松山はその後、国内外36か所で火成岩の時期の調査を行い、他にも逆向きに磁化された岩石を発見した。松山は1929年、地磁気逆転の可能性を示す論文を発表した。

 当時の常識に反する考え方だったため、当時の評判はよくなかった。 その後、古地磁気学が盛んになり、年代測定の技術も進歩した。その結果、地磁気が逆転を繰り返していることがはっきりしてきた。 1964年には、アメリカの研究グループが地磁気極性の年代表を発表した。このとき、アラン・コックスは2つの「逆磁極期」(反対は「正磁極期」)のうちの1つに、松山の名前を選んだ。  

 現在、2つの逆磁極期があったことが判明している。約500万年前から約400万年前の逆転期は、「ギルバート」と名づけられ、258万年前から78万年前の逆転期は「松山」と名づけられている。

 地球の内部構造
 地球の内部はどうなっているのだろうか?大きく分けると、地殻、マントル、核に分けられる。

 地殻とは地球の固体表面を指し、マントルと同じく珪酸塩成分から成る。地殻は熱伝導でしか地球内部の熱を伝えないため、マントルの対流と比べると効率が悪く、結果的に核やマントルの冷却を遅延させている。

 組成差や構造から大陸地殻と海洋地殻に分類される。表面の55%を占める海洋地殻は玄武岩質で、厚さは平均6km、平均密度は 3.0g/cm3である。固化形成は2億年以内となる。対して大陸地殻は花崗岩質で、厚さ20-70km(平均35km)、平均密度2.8g/cm3以下と厚く軽い。

 地殻表面の構造は、プレート運動による造山運動や火山活動、大気と水による風化や浸食、堆積などによって決まる。

 マントルは珪酸塩鉱物でできており、深さ約2,900kmまで存在し、地球の体積の83%を占めている。マントル全体の化学組成は、必ずしもわかっているわけではない。上部マントルは、かんらん岩または仮想的な岩石であるパイロライトから成るとする考えが主流であるが、下部マントルについては輝石に近い組成であるとする説もあり、定まっていない。

 マントルは核によって暖められ、また自らの内部にも熱源を持つ。そのため固相のマントルはゆっくりと対流(プルームテクトニクス)をしながら熱を地殻に運んでいる。地殻に近い位置ではこのマントル対流は起こらず、地殻と一体化するようなふるまいをしておりプレートテクトニクスという水平運動を起こす。マントルの動きは不明瞭な点が多い。深発地震が700kmより深いところでは起こらない点から、対流運動が二層で独立している説も提唱されているが、一方で岩石圏の沈み込みが核付近まで起こっているとの報告もあり、地震学的トモグラフィー法などにて構造推定が行われている。

 地殻との境には地震波速度が不連続に変化する層があり、モホロビチッチ不連続面(モホ面)という。

 核は地球の中心部であり、コアとも言う。外核と内核に分かれ、液相の外核の半径は3,480km、固相の内核の半径は1,220kmである。外核は鉄とニッケルが主成分であると推定されているが、水素や炭素などの軽元素を10%以上含んでいるとしなければ、地震波速度と密度の説明ができない。

 内核は、地球内部の冷却に伴い、外核の鉄とニッケルが析出・沈降してできたとされており、現在でも成長が続いていると考えられている。ただし、内核の環境である320万気圧では金属鉄はその性質上固相を取るためともされる。地球中心部の圧力は約400万気圧、温度は物質組成とエネルギー輸送過程に依存するため正確にはわからないが、約5,000K - 8,000Kと推定されている。

 対流や地球自転などに起因する外核の金属流体の動きによって電流が生じ、この電流により磁場が生じると考えられている。これが地球磁場である。このように地球の力学的な運動と結びついた磁場発生・維持機構を、ダイナモ機構という。

参考HP Wikipedia 地球 ・Spring8 地球液体核に二層対流、地球磁場変動に影響 

地殻・マントル構成物質
クリエーター情報なし
共立出版
プルームテクトニクスと全地球史解読
クリエーター情報なし
岩波書店

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