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今回は生命を探す旅
米航空宇宙局(NASA)は米東部時間11月26日午前10時2分(日本時間27日午前0時2分)、火星無人探査車「キュリオシティ」をアトラス5ロケットでフロリダ州ケープカナベラル空軍基地から打ち上げた。
探査車は2012年8月に、地形の変化に富んだ「ゲール・クレーター」に到着、ドリルを取りつけたロボットアームや、車体に内蔵した分析機器を使って、生命の痕跡を探す。
探査車は自動車ほどの大きさで、重さは899キロ・グラムと2004年に着陸した探査車(170キロ・グラム)の5倍以上もある。このため、エアバッグに包んで地面に落とす方法は適さず、ジェット噴射で空中に浮かぶ降下装置からケーブルでつりさげ地面に下ろす方法を初めて採用した。(2011年11月27日 読売新聞)
キュリオシティは全長3メートル、重さ約900キロで、小型自動車ほどの大きさがある。NASAの火星探査機として過去最大で、25億ドル(約1930億円)をかけて開発した。
ロボットアームやドリルを持ち、採取した岩石や砂の成分や組成を内部で分析できる。六つの車輪があり、1日200メートルの移動が可能。太陽電池では十分な電力が得られないため、プルトニウムを使った原子力電池を備えている。(ワシントン=行方史郎)(asahi.com 2011年11月27日)
マーズ・サイエンス・ラボラトリーとは?
マーズ・サイエンス・ラボラトリー(Mars Science Laboratory:MSL) は、アメリカ航空宇宙局 (NASA) が火星探査ミッションで用いる宇宙船の名称で、探査機ローバー、愛称キュリオシティ (Curiosity) を装備している。MSLは、2011年11月26日15時02分 (UTC) に打ち上げられた。
このローバーは、2004年に火星に降り立った、マーズ・エクスプロレーション・ローバー (MER)(スピリットとオポチュニティ)の5倍の質量を持ち、科学探査機器は10倍の重量を搭載している。MSLは、アトラスVロケットで打ち上げられ、2012年8月6日から8月20日までの間にGaleクレータに着陸する予定である。着陸後、MSLは、火星表面の土と岩石をすくい取り、内部を解析する。MSLは最低でも、1火星年(2.2地球年)は活動する予定で、これまでのローバーよりも広い範囲を探索し、過去と現在の火星における、生命を保持できる可能性について調査する。
愛称は「キュリオシティ」に決定!
MSLは当初、2009年に打ち上げられ、2010年10月に、火星に着陸する予定であった。ただし、NASAでは2機か3機の全く同じローバーを同時に送ることが議論されており、そのためには打ち上げを2011年まで遅らせる必要があった。
MSLの目的の一部は、将来のサンプルリターン・ミッションのために適当な着陸場所を見つけることだが、この案の推進者は、複数のローバーを使って一度に複数の地域を探索したほうがよいと言っている。ジェット推進研究所のエンジニアたちは、非公式にではあるが、MSLのデザインは、将来のローバーにも利用されるだろうと語った。
2008年に開発費用の超過が問題となり、試験に十分な時間がとれないとして、2008年12月4日、NASAは打ち上げを2011年に延期することを発表した。打ち上げ延期による追加支出は4億ドルで、最終的な予算総額は23億ドルになるという。複数のローバーを打ち上げる可能性については言及されなかった。
2008年11月から2009年1月にかけて、NASAは全米の学生・児童からMSLの愛称を募集した。5月27日、9,000件以上の案の中からカンザス州の12歳の少女が提案した「キュリオシティ(Curiosity、好奇心)」が選ばれたことが発表された。
MSLのスペック
ローバーの構成MSLは長さ3m、総重量は900 kgあり、そのうち80 kgが科学機器の重量である。これに比べて、MERは長さ1.5m、重量は174 kgであり、そのうち6.8 kgが科学機器の重量である。MSLは、75 cmくらいまでの障害物を乗り越えて進むことができる。走行速度は、自律航法の場合、最大90 m/h程度であるが、数々の状況(電力レベル、視界、地表の荒さ、スリップなど)を考慮に入れると、平均では30 m/h程度となると思われる。MSLは、2年間の活動期間の間に、最低でも19 kmの距離を移動する予定である。
電力源としては、プルトニウム238の崩壊熱を利用する原子力電池(RTG)を使用する。火星探査機でのRTGは、バイキング1号とバイキング2号着陸機でも使用実績がある。昼夜や季節に関係なく一定の電力が得られるうえ、余熱はパイプを通じて探査機のシステムの保温に使用できる。MSLで使われるRTGはボーイング社が開発した最新の(Multi-Mission Radioisotope Thermoelectric Generator)と呼ばれるタイプである。
重量は約50kgで4.8kgのプルトニウム238を搭載しており、打上げ時の事故で衝突、爆発、再突入による落下が起きてもプルトニウムが守られるように保護層で覆われている。ミッション初期には約2000Wの発熱から125Wの電力を得られ、14年後でも100Wの電力が得られる。MSLは1日に2.5kWhの電力が得られる。太陽電池を使用していたMERでは1日に約0.6kWhの電力しか供給出来なかった。
MSLが活動を予定している地域の火星の気温は、+30 to −127°Cの間で変動すると予想されている。このため、Heat rejection system (HRS)を使って機器の温度を維持する設計となっている。長さ60mのパイプ内にポンプで流体を流し、MMRTGからの熱で保温する。温度が上昇しすぎる場合は冷却にも使える。
突入・着陸システム
火星は大気が薄いため、重量物を着陸させるのは非常に難しい。パラシュートやエアロブレーキだけでは減速が不十分であり、過去に使用されたエアバッグを使って衝撃を抑える着陸方式もMSLほどの重量がある場合は使えない。このため、MSLでは幾つかの方式を組み合わせると共に、新たな着陸方式が採用された。
エアロブレーキ
MSLローバーはエアロシェルに格納されて火星大気へ突入し、エアロブレーキで減速する。このエアロシェルは耐熱シールドは直径4.5mという宇宙用としては過去最大であり、Phenolic Impregnated Carbon Ablator (PICA) という耐熱シールド材で高熱から保護される(MSL用に開発されたPICAは、スペースX社がPICA-Xとしてドラゴンの耐熱シールドに採用した)。これにより、突入時の速度 5.3から 6 km/sをパラシュートが開ける速度であるマッハ2にまで減速する。
パラシュート降下
重心調整用のダミーウエイトを投棄した後、高度約7kmでエアロシェルを分離し、超音速パラシュートを開傘する。パラシュートは直径16m、長さ50mという巨大なものとなる。パラシュート降下中にローバーの下側に装備したカメラで毎分5枚の写真撮影を開始する。これにより、どこに着陸したか精密な地点を素早く確認できるようになる。
ロケット噴射による降下
高度約1.8km、速度約100m/sの時点で、推力調節が可能なヒドラジンスラスタ8基(推力各3.1 kN)を噴射して減速する(このシステムはバイキング着陸機の技術を流用)。
スカイクレーン
MSLはスカイクレーンを使ってローバーを軟着陸させる。降下ステージとローバーとの間は牽引ケーブルと電気信号を送るケーブルで繋がれた状態で約7.5m吊り下げる。軟着陸を確認すると約2秒後に火工品でケーブルカッターを作動させてケーブルを切断し、降下ステージはスラスタをフル噴射して退避しながら離れた場所に落下する。このようなシステムは今回初めて使用される。(Wikipedia)
参考HP Wikipedia キュリオシティ NASA Mars Science Laboratory
図解 火星探検―火星人から生命探査まで | |
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PHP研究所 |
ローバー、火星を駆ける―僕らがスピリットとオポチュニティに託した夢 | |
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早川書房 |
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