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 COP17南アフリカで開幕
 地球温暖化対策の新たな枠組みを話し合う国連の会議、COP17が日本時間の11月28日午後、南アフリカで始まった。先進国だけに温室効果ガスの削減を義務づけた京都議定書の期限が来年末に迫るなか、再来年以降の枠組み作りに向けた議論がどこまで進むかが焦点。

 地球温暖化対策を話し合う国連の会議、COP17は、南アフリカの都市、ダーバンでおよそ190の国と地域が参加し、2週間の日程で開かれる。会議は日本時間の午後5時半すぎに開催国、南アフリカのズマ大統領が全体会合に出席し開幕した。会議の最大の焦点は、先進国だけに温室効果ガスの削減を義務づけた京都議定書の期限が来年末に切れるなか、再来年以降、各国がどのような枠組みで取り組みを進めるかだ。

 事前の交渉では、京都議定書の継続を求める途上国と、中国など主要な排出国も参加する新たな枠組みを求める先進国の対立が解けず、交渉は難航している。全体会合で国連のフィゲレス事務局長は「温暖化の被害を受けている人たちのために具体的な行動を起こさなければならない」と各国の協力を呼びかけた。京都議定書の期限が目前に迫り、温暖化対策が後退することへの懸念が高まるなか、新たな枠組み作りに向けて各国が歩み寄ることができるのか交渉の行方が注目される。(NHK news 11月28日)

Durban

 先進国と途上国の溝深く
 COP17とは、国連気候変動枠組み条約第17回締約国会議のこと。今年は11月28日~12月9日、南アフリカ・ダーバンで開かれる。途上国は、先進国だけに排出削減を義務づけた京都議定書を延長し、温暖化対策の「空白期間」の回避を訴えるが、先進国は途上国を含むすべての国が参加する新しい枠組みに向け交渉を始めるよう主張し、対立が続く。ポスト京都に向けた合意ができるのか正念場の会議となる。

 京都議定書の削減期間(第1約束期間)は2008~2012年で、日本は二酸化炭素を含む温室効果ガス排出量の1990年比6%減を課せられている。排出量が急増している中国やインドなどの新興国、離脱した米国に削減義務はなく、削減義務がある日本や欧州連合(EU)の排出量は世界全体の約27%にとどまる。

 このため、日本は「温暖化防止にはすべての主要排出国が参加する新たな枠組みが必要だが、京都議定書の枠組みを延長することはその実現を妨げる」と主張。ロシア、カナダとともに現行枠組みのまま、2013年以降(第2約束期間)に削減目標を設定することに反対している。

 また、2001年に議定書から離脱した米国も、「中国やインドなどが同等の義務を負わない限り、法的枠組みに反対する」としている。

 議定書延長を望む途上国
 一方、開催国・南アのモレワ水資源・環境相は11月22日、「アフリカやその他の途上国は議定書延長を熱望している」との声明を発表した。新興国を含む途上国は、温暖化対策の枠組みに空白期間をつくらないよう延長論を訴えてきた。多くは「温暖化を招いた先進国が先に削減すべきで、途上国は資金や技術の援助がなければ、温暖化対策に取り組めない」というのが理由だ。

 こうした中、EUは10月の環境相理事会で、条件付きで京都議定書の延長を容認する方針を打ち出した。条件とは、「すべての主要排出国が参加する法的な枠組みを一定期限内に策定する」というものだ。

 EUは途上国と水面下の交渉を活発化。京都議定書は締約国会議で投票の4分の3の賛成があれば改正できるため、延長が決まる可能性がある。ただし、各国の削減義務の設定にはその国の同意が必要で、日本が無理に削減を課される恐れはない。

 とはいえ、可能性が高いのが「進展なし」だ。温暖化対策はこれまで主要国首脳会議でも取り上げられる国際社会の最重要課題だったが、2008年の米リーマン・ショックやその後の欧州の債務危機で交渉が急速に停滞。おまけに、来年は米中露仏などで指導者の交代や大統領選が予定されている。玉虫色の合意で議論を先延ばしせざるを得ない、との見方も強い。

 CO2排出量、過去最高更新
 ポスト京都の交渉が足踏みする中、世界の二酸化炭素の排出量は増え続けている。

 国際エネルギー機関(TEA)などによると、世界の10年の排出量は330億トン超で過去最高だった。2009年と比べて、日本の年間排出量を上回る18億トンも増えた。増加分もこれまでで最も大きい。

 昨年のCOP16で採択された「カンクン合意」には、産業革命前からの温度上昇を2度未満に抑える目標が盛り込まれたが、IEAは適切な対策がなければ気温が6度以上も上昇すると分析し、「対策を先送りする余裕はない」と警告する。

 一方、日本の2010年度の排出量(速報値)は、前年度比4.4%増の11億2000万トン。京都議定書で1990年比6%削減を求めているが、逆に6%増えた。

 東京電力福島第1原発事故を受け、来春には全54基の原発が停止する可能性があり、それを火力発電で代替すると1990年比で約15%増まで跳ね上がると政府は試算する。2020年までに1990年比25%削減する中期目標も揺らいでいる。(毎日新聞 2011年11月27日)

 事前交渉決裂、COP17採択絶望的
 2012年末に先進国の温室効果ガス削減義務の期限が切れる京都議定書後の枠組みを協議してきた国連気候変動枠組み条約の特別作業部会が10月7日午後(日本時間8日)、パナマ市で閉幕した。主要議題で各国の主張は対立し目立った進展はないまま1週間の協議を終えた。今回は11月末から南アフリカで開かれる同条約第17回締約国会議(COP17)に向けた最後の事前交渉で、COP17でポスト京都の新たな枠組みを採択することは絶望的になった。

 閉会後会見したクリスティアナ・フィゲレス条約事務局長は「政治レベルで解決が必要だ」と述べ、交渉が行き詰まっていることを認めた。作業部会では終始、途上国にも対策を求める先進国と、先進国が率先して取り組むべきだとする途上国が対立した。途上国の取り組みを支援する資金援助の議論でも難航を極めた。このため、COP17では、新たな枠組みを採択する期限を定めた文書の採択も視野に交渉する予定だ。

 また、締約国は交渉の途中から議定書を暫定的に延長することで調整に入った。延長案は、温暖化対策の法的枠組みが国際的に途切れることを回避する「つなぎ」の狙いがある。欧州連合(EU)や豪州、ノルウェー、ニュージーランドなどは近い将来、ポスト京都の確実な実現を条件に暫定延長に賛成する可能性が高い。ただし、暫定延長を反映した改正議定書を12年末までに各国が批准する時間がないため、「締約国決定(COP決定)」という形で運用上、2013年以降も削減義務期間を設けるという方法も検討している。

 一方、日本は2大排出国の中国と米国に削減義務がないのは問題として反対。カナダとロシアも同様の立場で、日本を含めた3カ国は2013年以降、削減義務がない「空白期間」に突入することが確実になった。削減義務のある国の排出量は世界全体の10%台になり、国際的な温暖化対策が一層形骸化しそうだ。

 EU代表団は「日本、カナダ、ロシア、米国が第2約束期間(2013年以降)に排出削減義務を課せられることを受けると予想していない。しかし、(日本の25%削減など)各国が掲げた目標は実行すべきではないか」と訴えた。(毎日新聞 2011年10月8日)

 もし気温が2℃上昇すれば?
 もし気温が2度上昇すれば、どんなことが起きるだろう?IPCCの第4次報告書によると、まず海面水位の上昇が起きる。地球が暖まることにより、海水が熱膨張し、また、氷河や極地の氷が融けだし、海面の水位は年々上昇していく。地表面の平均気温が2℃上昇すれば、海面は約50cm(最低約15cm、最大約95cm)上昇すると予想されている。

 そうなると海面下の地域や高潮津波の危険地域が広範囲に拡大してしまいます。もし海面水位が1m上昇すると、マーシャル諸島の一部では80%、バンクラデシュでは18%の国土が海に沈む。海に沈む地域の占める割合は国によって異なるが、低地に住む人々は、家を失ない、難民となってしまう。

 水資源への影響と自然災害が生じる。地球上には約14億km3の水が存在しますが、淡水はその3%しかない。しかもその大部分は極地の氷だから、人間が利用できる量はごくわずか。地球が温暖化すると、降雨と蒸発という水のサイクルが活発化し、水需給のバランスが崩れ、水資源の格差が世界的に拡大する恐れがある。例えば洪水が多発する地域がある一方、渇水や干ばつにみまわれる地域が出てくる。すでに今日でも水供給の面で問題を抱えている地域では、より深刻な渇水となり、さらに、新たに多くの地域で渇水が発生するという水不足問題の拡大も予想されている。また、砂漠は、ほとんど例外なくより暑くなる。気温の上昇は、ほとんど耐熱限界で生存している生物にとっては脅威となる。気候変動と人間活動等の種々の要因の結果生じた乾燥、半乾燥半湿潤地帯での土壌の劣化は、もし環境がさらに乾燥化し土壌が浸食と固化で劣化すれば復元が一層困難となる。

 温暖化は農業にも大きな変化をもたらす。品種によっては、高温による障害、雑草や害虫の増加による悪影響も出る。地球規模での食糧危機説もささやかれている。名古屋大学と国立環境研究所の分析では、米の生産量は若干増加する国があるものの、小麦やトウモロコシは、重要な生産地である中国やインドなどで、大幅な生産量の低下が予想されている。例えば、冬小麦の生産量は、2100年にはインドで55%、中国で15%減少すると予測されている。海外に食糧の多くを依存する日本では、影響が大きいと考えられる。

 健康への影響 気候変化は、人間の健康に対し広範な影響を及ぼす。そしてそのほとんどは悪影響で、多くの人命が失われると予測される。直接の影響としては、熱波による死亡や病気の増加が上げられる。間接的な影響としては伝染病を媒介する生物の地理的範囲や活動期間の拡大により、マラリア、デング熱、黄熱病などの伝染病の増加が挙げられる。また、気温の上昇や洪水の増加によるサルモネラ症、コレラなども増加すると考えられている。

参考HP COP17

正しく知る地球温暖化―誤った地球温暖化論に惑わされないために
クリエーター情報なし
誠文堂新光社
この真実を知るために地球温暖化 改訂版―何が起きるのか?どう克服するのか? (ニュートンムック Newton別冊サイエンステキストシリーズ)
クリエーター情報なし
ニュートンプレス

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