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風力発電が農業に役立つ?
アメリカのトウモロコシの一大産地“コーンベルト”は、“風のベルト”と重なる。アイオワ州やイリノイ州に広がるこの一帯は風力発電開発も盛んだ。風力タービンによるトウモロコシの成長促進が期待できる可能性があるという。
この10年で風力発電が急激に普及し、耕作地帯の付近に設置される風力タービンの数が増えている。農家や研究者たちにとって気になるのは、タービンのブレード(回転翼)が起こす風がトウモロコシや大豆などの穀物に及ぼす影響である。
さまざまな地域で行われている伝統的な農法では、耕作地帯を囲むように木々を植え付ける。木で囲まれた領域の風の流れを遅くして空気の撹拌を促し、穀物の成長を促進する技術だという。
空気の撹拌効果
風力タービンが農業にもたらす最もわかりやすいメリットは、空気を撹拌し、より多くの二酸化炭素(CO2)を穀物に送り込む点である。「トウモロコシなどの植物は、CO2を吸収して成長するからだ」と、アイオワ州立大学の農業気象学者ユージン・タクル(Eugene Takle)氏は話す。
仕組みは複雑になるが、他にもさまざまなメリットがある。「例えば空気を撹拌すれば、夜間に葉に降りる露が抑えられるので、菌類などによる病害から守ることができる」とタクル氏は言う。
アメリカ随一のトウモロコシ生産量を誇るアイオワ州にとっては、大きなメリットとなるだろう。州政府の主導で2011年にまとめられたレポートによると、この地域では気候変動により湿度が上昇、結露しやすくなっているという(アイオワ州の風力発電の普及率は、テキサス州に次ぐ国内2位)。
また、タービンが空気を撹拌し風の流れを抑えれば、気温の面でもメリットになる。夜は暖かく、昼は涼しくなるのだ。
どちらも気温に与える影響は穀物の成長を促す。夜間は霜が降りるほどの冷え込みが減り、日中に植物の生育を妨げる猛暑も少なくなるためだ。
「さまざまな効果が出ており、予想よりずっと複雑だ。しかし木々が穀物に与える影響の研究をベースに考えると、タービンにもプラス面の方が多いようだ」とタクル氏は述べる。
正確な答えの必要性
ただしプラス面だけではない。例えば夜間気温が上昇すると、植物の呼吸量が増えてしまう。植物は日中の光合成の最中に蓄えたCO2を夜間の呼吸の際に吐き出す(日中も光合成と同時に呼吸はしている)。つまり、日中に吸収したCO2の放出量が増えるかもしれない。
このような可能性を考慮すると、農業従事者のためにも、しっかりとした研究が大切だ。農家の人々は長年、耕作地の一部を風力タービン用に貸し出し、収入源にしてきた。「しかし、穀物に及ぼす影響については不安を抱いている」と、コロラド州ゴールデンにあるエネルギー省傘下の国立再生可能エネルギー研究所(NREL)に所属するジュリー・ランドクイスト(Julie Lundquist)氏は話す。「風力タービンの導入は農家にとって大きな決断だ。できるだけ早く、影響についての答えを聞きたいと思っているはずだ」。
ランドクイスト氏は次のように注意を促す。「タービンの影響や各農家が栽培する植物は一様ではない。アイオワ州のトウモロコシに良い効果が出たからと言って、他の場所の他の穀物にも同様の効果が期待できるとは限らない。風力発電は大きな可能性を秘めた再生可能エネルギーだ。今後とも冷静かつ慎重に進めなければならない」。(National Geographic news 2011.12.20)
風と農業の関係
風力発電というと、日本では冬は北西の強い季節風、夏は台風の強風があり、風力や風向が一定しない。また、大気が不安定になると、よく落雷を受ける。このため、よく故障してきた。また、日本は土地が狭いので、近くに民家があると、ブレードの発する低周波が騒音になり、住民の健康を害するなどの問題があった。
最近は、強度が増してきており、強風の時には羽の角度を変えるなどの工夫が見られる。また。民家のない洋上に設置するなどして、騒音の対策をとっている。しかし、これまで農業に対する影響は知られていなかった。風車と農業にどんな影響があるのだろうか?
日本の農業でこれまで、風を利用することがあったのだろうか?実はある。みなさんは、お茶畑に扇風機があるのをご存じだろうか?今、ほとんどの茶畑には高さ約10メートルの大きな扇風機がいくつも並んでいる。これで一体何をするのだろう?
正解は、お茶の新芽を霜から守るためである。このお茶畑の扇風機、正式名称は防霜(ぼうそう)ファンと言う。多くの人が、お茶畑を見て、一度は疑問を持ったことがあるのではないだろうか?
お茶は以外にも寒さに弱く、霜が降りると茶は赤茶色に変色してしまい、商品価値がなくなってしまう。これを防ぐために利用される。
ただし、霜害には対応できまるが、気温が0℃以下になってしまうと茶葉中の水分が凍ってしまうため、防霜ファンをいくら激しく回そうとも意味がなく、これも茶葉の商品価値をなくす原因になってしまう。
昔は気候が安定していたことや、現在多いやぶきた種のようにあまり早く新芽が出てこない在来種が多かったため、それ程霜の被害は少なかったようだが、21年前の霜の大被害以来、急速に防霜ファンが増えはじめた。
防霜ファンとは何か?
防霜ファンは、農作物に霜の被害が及ぶことを防ぐ目的で設置される送風機。おもに茶園や果樹園で使用される。
この防霜ファンは設定により、何度以下になると自動的に回りだし地上の冷たい空気を振り払い霜が着かないようにする。茶畑の場合、この防霜ファンが活躍するのは新茶の前後のみの稼働となる。(この頃の夜は防霜ファンの音が響く・・・)そして、新茶の摘み取られる5月はじめまで、働き続ける。この防霜ファンの設置によって、遅霜の被害が減り、より美味しいお茶が出来るようになった。
高さ5m程度の金属ポールまたはコンクリート柱の上部に斜め下方に向けて設置した大型の送風機と、これを制御・駆動するコントローラーユニットを組み合わせたものである。羽根の枚数は3枚のものが多く、大きな扇風機が取り付けられているように見える。
その外観から、農作物を冷やすために使われると思われがちであるが、冷え込む地表付近に対して上空数mの比較的温かい空気を送り込むことで地表面の温度を上げ、霜の被害を防ぐために使用される。
特に春先、新芽が芽吹く時期の作物は霜の害を受けやすいため、防霜ファンはよく使用される。コントローラーは、温度センサー、タイマー、強制駆動スイッチの3つを備えているものが多く、気温が設定温度を下回った場合、あらかじめ指定した時刻になった場合、その他任意のタイミングでファンを駆動させることができる。
防霜ファンのみでは対応できないほど冷え込む場合はビニールシートなどを併用する。(Wikipedia)
意外にも風と農業の関係は研究資料が少ない。風はなくてもよい…というものでもない。空気は温度差ができると、すぐに混ざることはなくなる。冬期に暖房をつけると、部屋の上部が暖かくなり、下部が冷えるのはその例だ。省エネのためにも、撹拌が必要になる。毎日の気象現象も、太陽光エネルギーの差によって、全地球にエネルギーの差ができるために起きる自然界の撹拌現象といえる。
参考HP Wikipedia 防霜ファン・牧農園 防霜ファン・お茶の福本園・Making of ryukoku-cha
National Geographic news 風力タービンが穀物の成長を促す?
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