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 始祖鳥とは何か?
 始祖鳥は、ジュラ紀に生息した現在発見されている中で最古の鳥類である。始祖鳥の最初の化石は1860年、ドイツのバイエルン州ゾルンホーフェン(Solnhofen)地域のジュラ紀後期(キンメリッジアン、1億4600万年~1億4100万年前)の地層から発見された。カール・ヘーベルラインという医師が地元の石工から譲り受けたものだった。

 この地は古生物の化石の名産地として有名であり、始祖鳥以外にも、この地でしか発見されていない多数の化石種がある。始祖鳥の大きさや概形はカササギに近く、前足に羽根が並んで幅広で曲線的な翼を形成し、後足は基部には羽根を密生するが半ば以上はそれを欠く。
 また全身に羽根が生えており、体長は長い尾も含めて大きな標本で50cm程度であり、胴体部はその半分程度である。標本によってはさらに小さい。これらの特徴は現生の鳥類に似ているが、鋭い歯を備えた顎を持つ点、鉤爪のある3本の指を持つ点、そして長い尾部に骨を持つ点などが明らかに異なる。

 始祖鳥の化石の注目すべき点は、よく発達した風切羽にある。驚いたことに、この古代生物の羽の微細構造は、現生鳥類の羽毛の構造とまったく同じだった。
 ロードアイランド州プロビデンスにあるブラウン大学の進化生物学者で、この研究を率いたライアン・カーニー(Ryan Carney)氏は、「現代の羽と完全に同じものが1億5000万年も前のジュラ紀にすでに進化していたということだ」と話す。

 始祖鳥の翼は黒かった
 今回、初めて空へと飛び立った恐竜の一種、始祖鳥の翼には少なくとも1枚、黒い羽が生えていたことが最新の研究で確認された。

始祖鳥の翼の色を確定するため、研究チームは化石の羽を走査型電子顕微鏡で分析した。この化石は1861年にドイツの石灰岩の層から見つかったもので、体全体はカラスほどの大きさだ。

 カーニー氏の研究チームは特殊な顕微鏡を使い、羽に含まれるメラノソームという細胞小器官を探し出した。

 メラニン色素を含むメラノソームは、動物の体内でさまざまな機能を果たしている。毛髪や羽の色を決めるのもメラノソームの働きだ。メラノソームには球形のものや棒状のものがあるが、その形や細胞内の配置が羽の色に関係する。

 始祖鳥の羽の本来の色を確認するため、研究チームは始祖鳥のメラノソームと現生鳥類87種の羽115枚のメラノソームとを比較し、始祖鳥の翼に生えた少なくとも1枚の羽は95%の確率で黒かったと結論づけた。

 黒い羽が有利な理由
 ワシントンD.C.の国立自然史博物館に所属する古生物学者ハンス・ディーター・スーズ氏は、「間違いなく示唆に富む」発見だと評価する。「黒は鳥の羽毛によくある色だ。始祖鳥の羽が黒かったとしても不思議ではない」。スーズ氏は今回の研究に関係していない。

 鳥にとって黒い羽には飛行上の利点がある。黒い羽は、色素の詰まったメラノソームが多く含まれ、メラノソームがケラチンというタンパク質と結合するため、ほかの色の羽よりも厚く、丈夫で、耐久性を持つのだ。

カーニー氏は、「これまでの研究から、翼の羽は黒くなるケースが最も多いことがわかっている。白い鳥でも翼の先端だけ黒いことがよくあるのも、同じ理由だ」と話す。カーニー氏はナショナル ジオグラフィック協会/ウェイト助成金を受けている。

 黒く、したがって丈夫な羽は、始祖鳥が木々の間を羽ばたいたり滑空したりするのに有利だったと考えられる。

 飛び方の議論は未決着
 始祖鳥が主に飛翔していたのか滑空していたのかについては議論があるが、カーニー氏は、今回の発見は問題の決着の助けになりそうにないと話す。「始祖鳥が翼で飛翔していたにせよ滑空していたにせよ、羽はやはり、メラノソームで丈夫になっていただろう」。

 オハイオ大学の古生物学者ローレンス・ウィットマー氏も同じ考えだ。「始祖鳥の飛行能力を巡っては、これからもずっと議論が続くだろう。実際、この新発見は論争に大きな影響を与えるものではない」。ウィットマー氏は今回の研究に関係していない。

 しかし、羽の色の発見が影響する分野もある。これまで多くの画家が極彩色で描いてきた始祖鳥が、実はごく地味な色だった可能性が出てきたことだ。

 「私が始祖鳥の復元像を作るとしたら、個人的には、真っ黒にすると思う」とカーニー氏は言う。「しかし、それは科学的な確信を持ってのことではない。この証拠だけから言えば、翼が黒くて胴体が白ということもあり得るのだ」。

 始祖鳥の羽の色についての発見は、「Nature Communications」サイトに1月24日付けで掲載された。(Ker Than for National Geographic News January 25, 2012)

 鳥類が先か恐竜が先か?
 鳥類は恐竜から進化したとする説には、現在確認されている中で最古の鳥類である始祖鳥の化石(ジュラ紀後期の約1億5000万年前年前)が、最古の羽毛を持つ恐竜の化石(白亜紀前後の1億2500万年前頃を中心に発見されていた)よりも古いという問題が残されていた。

それを解決する化石が2009年に発見された。中国東北部のジュラ紀後期(1億6100万年~1億5100万年前)の地層から、全長約50センチの、鋭いかぎつめを持つトロオドンと呼ばれる肉食恐竜の仲間である、羽毛を持った恐竜が発見された。
 前後の脚に風切り羽があるが、鳥類や白亜紀の羽毛恐竜の羽の、先端に向かって細くて左右非対称である羽とは異なり、それは団扇のような左右対称系である。そのため、恐竜は最初に前後の脚に原始的な羽を持ち、やがて前脚の翼が発達して飛翔能力を身につけ、鳥類に進化したと考えられる。

 始祖鳥は現生の鳥類の祖先に近い生物であるものの、直接の祖先では無いと考えられている。始祖鳥が栄えた当時の鳥類にどれほどの多様性があったのかについては、今なお議論の余地がある。

参考HP Wikipedia 始祖鳥 National Geographic 始祖鳥の羽は黒かった

UMAの謎と全地球水没―巨大水棲獣シーサーペントの存在が羽毛恐竜の正体と絶滅の真相を暴く!! (ムー・スーパーミステリー・ブックス)
飛鳥 昭雄,三神 たける
学習研究社
始祖鳥とジュラ紀のなぞ (マンガでわかる恐竜の世界)
クリエーター情報なし
武田ランダムハウスジャパン

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