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次の巨大地震はどこ?
地震国日本。次はいつどこで巨大地震が起きるのだろう?東日本の次は、東海・南海・東南海といった地震が有名だが、東日本大震災とはプレートが違うのですぐに連動するとは思えない。
しかし、東日本大震災により、いくつかの大地震の発生時期が、早まったと考えなければならない。まず、3・11大震災の震源域の北と南、岩盤が割れ残ったと思われる、青森沖と房総沖。これらの場所で地震が起きれば、M8級を覚悟する必要がある。
よく知られているように、巨大地震が発生した場合、数ヵ月から数年以内に、その隣接域で、同規模の大地震が発生することが多い。2004年のスマトラ沖地震の例が有名だが、最初の地震によって周囲の地殻の〝歪み〟が拡大し、連鎖的に大地震が発生している。
しかし、東京にとってもっと恐ろしいのは、阪神・淡路大震災と同規模になると予想される、首都圏直下型地震だ。「1855年の安政江戸地震」以来、首都圏では直下型の大地震が起きていない。関東平野の下には活断層が存在する可能性が高い。
首都圏では他に、小田原付近において、およそ70年周期で地震が起きていることも、古文書などで確認されているという。この震源域では、1923年の関東大震災を起こした。それからすでに90年近くが経過している。そういう意味でも、首都圏及び関東近郊での直下型地震の可能性は、非常に高いといわざるを得ない。
東海地震はどうなったか?
ところで、つい最近まで連呼されていた「東海地震」はどうなったのだろうか?
東海地震を警告した一人であるのが、石橋克彦神戸大教授。東大助手時代に「発生が切迫しているかもしれない」とした東海(駿河湾)地震説の発表から、すでに35年を経過した。
35年起きなかったから今後も大丈夫だということは、絶対ない。測量データを見れば、ひずみは蓄積している。大局的には限界に近い。
1976年に発表した東海地震説とは、将来の東海地震は当時、遠州灘(静岡県南方沖)で起こるとされていたが、その考えでは明治以来の測量で駿河湾西岸(静岡県)が沈降していた事実や、1854年の安政東海地震の揺れの分布について説明がつかない矛盾があった。
地震が駿河湾西岸を含む領域で起こると考えれば、これらの矛盾が解消できることに思い至った。安政地震で駿河湾の奥深くまで隆起したという資料にも気付き、駿河湾奥から遠州灘東半部に広がる断層モデルをまとめ上げた。
切迫性を指摘した根拠は、過去の地震は100~150年間隔で、東海、東南海地震の震源域で同時発生を繰り返してきたが、1944年の昭和東南海地震では、東海地震の震源域が割れ残った。当時、安政地震から122年たっており、「2,30年持ち越すかもしれないが、2,3年以内に起こっても不思議ではない」と指摘した。
多くの地震研究者が賛同したことも大きかった。まず東海地震の観測網が一気に強化され、地下の微小地震の震源分布などのデータが蓄積できるようになった。地震の直前予知を目指した気象庁のデータ一元収集監視体制と、東海地域判定会設置も大きなステップアップだった。
ただし、東海地震被害の軽減のために制定された大規模地震対策特別措置法と地震財特法には、静岡県など法の対象地域で防災体制が進んだが、それ以外の地域が置き去りにされたという功罪両面があったと思う。
東海地震は単独で起きるか?
単独では起きないという考え方は35年前からあったが、なぜそう言えるのかが説明できていない。今も単独での発生は否定できない。
ただ、今後さらに10年くらい持ち越せば、安政地震のように東海、東南海地震が同時に起きる可能性は高まる。これに南海地震が起きた場合も合わせ、連動した際の震度、被害予測を詳細に詰めなければならない。揺れの性質が変わり、単純に3つの地震の被害を足し込んだ結果にはならないはずだ。
これまでの地震の歴史をひも解くと、東海地震は単独で起こったことはなく、東南海地震、南海地震と、3連動して起きることが多かった。前回の1944年東南海、1946年の南海地震の時には起きなかった。過去にも、東南海、南海2連動で起き、東海地震だけ起きない場合もあった。
この地域の地震はこれまで、100年~150年の間隔で起きている。次回は、東海地震も起き、3連動になるかもしれない。ただ、今回の東日本大震災の影響で多少早まる可能性もある。
最近の研究では、大分県佐伯(さいき)市で巨大津波の痕跡が見つかっていることなどから、南海地震の震源域を九州側に拡大して考える必要が出てきた。
このため、関西大と京都大、人と防災未来センター(神戸市)が、3つの地震の震源域を九州側に延伸し、新たな震源域を加えた4連動地震を想定した津波モデルで対策を検討することが1月26日発表された。
東日本大震災の発生メカニズムを参考にしたためで、もし、4連動地震発生の場合、20メートル級の大津波が予想されるといい、西日本では抜本的な対策の見直しが求められる。
連動型巨大地震の大断層発見
さて、最近、この東海・東南海・南海の連動地震の断層が最近発見された。場所は、和歌山・紀伊半島沖の南海トラフ沿いで、東京大大気海洋研究所の朴進午・准教授(海洋地質学)らの研究チームが1月27日発表した。
この断層は、東南海地震の震源域で見つかっている断層の西側に延び、総延長は200キロ以上に及ぶ。チームは東海・東南海・南海の3地震が同時発生したとされる1707年の宝永地震(マグニチュード:M8.6)でこの断層が大きく動き、大津波を引き起こしたと推定している。
南海トラフでは、古文書に記された被害の状況から連動型巨大地震が起きたと推測されてきたが、連動を裏付ける断層が見つかったのは初めて。
チームは1997~2005年、紀伊半島沖で探査船から音波を出して海底下の地質構造を調査した。これまでに、潮岬東側で1944年の東南海地震(M7.9)を起こした断層と、断層が押し合って盛り上がった海底隆起を見つけた。集めたデータを再解析した結果、この海底隆起が潮岬西側の南海地震の震源域まで続いていると分かった。
今後、この断層が大きくずれれば、海底隆起が形成される際に海面が押し上げられ、巨大津波が発生する恐れがある。隆起の地下の断層構造を詳しく分析することで、同トラフ沿いの地震や津波の被害をより具体的に想定でき、防災への活用が期待される。朴准教授は「南海トラフの地震の規模は最大でM9.0を想定しているが、発生のメカニズムは分かっていなかった。今回の発見は、津波想定の見直しなどに役立つだろう」と話す。(毎日新聞 2012年1月28日)
参考HP Wikipedia 東海・東南海・南海連動型地震 現代ビジネス 首都圏直下型M8・東海地震M9は覚悟せよ
リアルな現実にほえろ 東海地震から30年石橋克彦神戸大教授に聞く
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