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 敵艦を撃沈、南北戦争の潜水艦
 アメリカ南北戦争末期の1864年2月17日夜、サウスカロライナ州チャールストン沖合で敵を襲撃する南軍の人力潜水艦「H・L・ハンリー」。船首から突き出た鉄棒の先端に外装水雷を装着し、目標に引っ掛けた後にすかさず後退を始める。しばらくの後、水雷が爆発し、北軍の木造蒸気帆船フーサトニックは沈没。ハンリーは敵を撃沈した史上初の潜水艦となった。

 攻撃の直前、フーサトニックの見張りは、展望塔だけを海面から出して航行する奇妙な船を目撃している。見張りは危険を知らせたが、フーサトニックの搭載砲は海面下の潜水艦を狙うまでの俯角を取れず、乗組員のライフル銃や拳銃もまったく歯が立たなかった。

 爆破から5分後、フーサトニックは水深約9メートルの海底に沈んだ。 7人の乗組員がクランクを回して推進する人力潜水艦ハンリーはその後、一度海面に浮上。艦長のジョージ・E・ディクソン海軍大尉が発煙筒に着火し、岸にいる南軍に攻撃の成功を伝えた。

 しかし、ハンリーと乗組員はこの歴史的ミッションから帰還することはなかった。成功の合図を送った直後に同艦はチャールストン沖約6.4キロに沈没し、2000年に引き上げられるまで136年間の長い眠りについた。

 永い眠りから目覚めた潜水艦
 アメリカ南北戦争で沈没した南軍の潜水艦H・L・ハンリーは、歴史上初めて敵艦を撃沈した潜水艦だ。引き上げ後、サウスカロライナ州ノースチャールストンのクレムゾン大学ウォーレン・ラッシュ保存センター(Warren Lasch Conservation Center)で11年におよぶ保存・復元作業が実施されていた。

ハンリーは1864年、サウスカロライナ州チャールストンの沖合で北軍の艦船フーサトニックを撃沈したが、その直後に自らも沈没。8名の乗組員と共に、その所在は長らく不明のままだった。ハンリーの残骸は1995年にようやく発見され、2000年に引き上げに成功している。

 海底から引き上げられたハンリーには、乗組員8人の遺骸が確認された。脱出を試みた形跡は見つかっていない。乗組員は意識を失い、酸素不足で窒息死したと考えられている。今年1月12日、特殊な鉄骨トラス(鋼材を接合した支持体)がクレーンで取り外され、往時の姿が公開された。現場に立ち会った技師のジョン・キング氏はこう話す。「ハンリーの全体像を目にするのは誰も初めてだろう。全貌がいよいよ明らかになる」。(National Geographic News February 2, 2012)

 潜水艦とその歴史
 潜水艦といえば、耐圧構造の船体を持ち、潜航可能な軍艦である。潜水艦の最大の特徴は隠密性である。潜水艦は潜航時には被探知率が大きく減少するので、隠密行動には最適の艦艇であり、"ultimate stealth weapon(究極のステルス兵器)" とも称される。

 このため、水上戦闘艦に比べ敵哨戒網の突破や、敵制海権下での活動が容易である。この特性を生かして、偵察、通商破壊、機雷敷設、核ミサイル運用などに使用される。潜航中は造波抵抗が無いので、同じ出力なら水上艦より高速が出せる(ただし、高速航行時には静粛性が大幅に低下する)。

 潜水艦はどのような経緯で造られたのであろうか?歴史に残っているのは、1620年 オランダ人コルネリウス・ドレベルがイギリス海軍向けに発明した潜水艇。櫂による人力推進。実戦投入はされなかった。

 1776年 デヴィッド・ブッシュネルが開発したタートル潜水艇が登場。実際に建造され実戦投入された最初の潜水艇。本艦は卵形船体で乗員数は一人、人力駆動の螺旋型推進装置を装備しており、アメリカ独立戦争時に米国が使用したが、敵艦艇撃沈には至らなかった。

 1864年 アメリカ南北戦争で、南軍が人力推進型のハンリー潜水艇を投入。1864年に、サウスカロライナ州チャールストン港外で、同港を封鎖中の北軍木造蒸気帆船フーサトニックを外装水雷により撃沈。史上初となる潜水艇による敵艦撃沈記録であった。 なお、当時は潜水艇は敵味方双方から卑怯な兵器と看做されていた。

 潜水艇デイヴィッドに襲撃された装甲艦ニューアイアンサイズの艦長は、同艦を襲撃時に捕虜になったデイヴィット艇長を「文明国で認められていない兵器を用いた罪で」裁判にかけて絞首刑にすると脅した。

 1867年 カタロニア人ナルシス・ムントリオルがスペイン海軍の援助を受けて、潜水艦「イクティネオII」を非大気依存推進させることに成功した。

 最初の近代潜水艦
 1900年になって、近代潜水艦の父と呼ばれた造船技師、ジョン・フィリップ・ホランドによって設計された潜水艦ホーランド号(水中排水量74t)が登場した。ホーランド号は主機のガソリンエンジンと電動機の直結方式であり、内燃機関によって推進する近代潜水艦の元祖であった。
 ホーランドの就役以降、世界各国で潜水艦が注目されるようになり、列強海軍は挙って潜水艦の建造に着手した。初期の潜水艦はガソリンエンジンが主流であったが、まもなくディーゼルエンジンに代替された。当時の潜水艦は、排水量100-1000t、水上速力10kt、最大潜航深度100m程度であった。
 潜水艦の本格的活躍は第一次世界大戦からとなる。いち早く潜水艦を有効利用したのはドイツ帝国であった。Uボートと呼ばれたドイツ潜水艦は、開戦直後の1914年9月、独海軍潜水艦が英巡洋艦4隻を撃沈したのを始め、次々と英国軍艦・貨客船を撃沈し、通商破壊に活躍した。
 英国の商船隊は大打撃を受け、英国経済を瀕死に追い込んだ。しかし1915年7月、ルシタニア号撃沈により米国人多数が巻き添えとなる事件が発生した。これにより、当時の中立国であった米国の参戦を恐れたドイツ帝国は、1915年9月以降は英国船舶への攻撃に消極的になり、その戦果は減少した。

その後、ドイツ帝国は戦局挽回のため1917年に無制限潜水艦戦を再開し、独海軍潜水艦隊は一時的に大戦果を上げた。しかし、英国が護送船団を採用すると、戦果は激減した。さらには英商船への無差別攻撃は米国の参戦を招き、第一次大戦敗北の一因となった。
 第一次大戦では、ドイツ帝国海軍は381隻の潜水艦を就役させ、その内の178隻を喪失したが、終戦までに約5,300隻・1,300万トンに及ぶ艦船を撃沈する戦果を上げ、大西洋の狼・Uボートは世界にその名を轟かせたのであった。

 最新の潜水艦・原子力潜水艦
 世界初の原子力潜水艦はノーチラス (SSN-571)号である。第二次大戦で急速に発達した原子力技術を駆使して誕生したのが原子力潜水艦だ。原子炉の核燃料棒の交換は数年から十数年に一度で済むため、吸気も燃料補給もなしに半永久的に駆動する。潜水艦には理想のボイラーたる原子炉の登場により、潜水艦の水中速力は大きく上がり、可潜時間も数ヶ月近くにまで増えた。

 原子力潜水艦は有り余る出力を生かして海水を電気分解し、艦内へ常時新鮮な酸素を提供する。このため、原子力潜水艦は「世界一空気が綺麗」と言われるほど艦内は快適である。しかし、超微量の放射線漏れは絶えずあり(特に艦外)、米軍の乗員は放射線被曝線量測定バッジをつける。

 常に蓄電池の残量を気にしながら、定期的な浮上を必要とする通常動力型潜水艦に比べ、「無限」の航続力を持ち氷の下の北極海すら航行可能な原子力潜水艦は、真の潜水艦といえる存在である。こうして見ると、原子力潜水艦は圧倒的に優位と思われるが、構造上解決できない欠点もある。

 原子力推進は、原子炉冷却水循環ポンプや、蒸気タービンによるブレードや減速ギアの騒音が発生するので、潜行中の動力を蓄電池と電動機にてまかなう通常動力艦よりも静粛性に劣る。さらに、常時原子炉冷却が必要なので、たとえ低出力下で自然循環冷却可能であっても、通常動力艦のように一切の作動音を停止し無音状態にすることは不可能である。そのため、攻撃型潜水艦の戦闘局面に限れば、原子力艦も通常動力艦も優劣付けがたいとされる。

 また、技術的水準や建造費、維持費が高く、保有できる国は限られる。日本などは技術上の問題の他、原子力に対して否定的な世論の存在により保有していない。

 潜水艦の居住性
 潜水艦は、特に第二次大戦時やそれ以前のものは、居住性が劣悪であった。元々軍艦の居住性は良いとは言えないが、潜水艦は特に酷かった。艦内は湿気だらけで洗濯物も乾かせず、また燃料・排気・カビなどの臭気が充満しているので、嗅覚に異常をきたす上、それらの臭いが体に染み付いてしまう。真水は貴重なので入浴は制限される。
 潜水艦には冷房装置が備えられているものの、多くは動力の冷却などに使われるため、室温が25度を下ることはなかった。敵艦に接近する場合は聴音されるのを防ぐため冷房装置を停止させたので、より高温になった。また、潜行中は水圧の関係からトイレも使用できなくなった。このような環境で毎日単調な任務が延々と続くので、潜水艦勤務は非常に過酷であった。
 原子力機関の登場後は、居住環境は以前よりも改善された。前述のように大出力の原子力機関は電力に余裕があり、電気分解や海水淡水化を行えるので酸素や真水の確保には困らない。大型の戦略級原潜タイフーン型では、プールやサウナまで装備されている。 (Wikipedia)


参考HP Wikipedia 潜水艦 原子力潜水艦 National Geographic news 謎の穴、南北戦争の潜水艦

ディスカバリーチャンネル Extreme Machines 原子力潜水艦 [DVD]
クリエーター情報なし
角川書店
オハイオ級/ロサンゼルス級原子力潜水艦 (イカロス・ムック シリーズ世界の名艦)
クリエーター情報なし
イカロス出版

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