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2月4日立春 日中は寒さ和らぐ
2月4日は二十四節気の一つ「立春」。「立春」は、暦の上では春が近づき、少しずつ暖かくなり始めるころとされているが、今年は寒い日が続いている。4日の最高気温は、東京の都心で10.8度と、3日より4度以上高くなった。
しかし、来週半ばごろからは再び強い寒気が流れ込んで寒さが厳しくなり、日本海側を中心に雪が降る見通しだ。これまでの大雪で、日本海側を中心に積雪が平年の2倍から3倍に達しているところがあり、気象庁は雪崩や除雪作業中の事故などに引き続き注意するよう呼びかけている。
この寒さは日本だけではない、欧州でも寒波が到来し、2月2日までに少なくとも死者が約140人に達した。ふだんは雪の降らない、イタリアのフィレンツェやローマ、スペインのマドリッドで積雪。欧州のほぼ全域を飲み込んだ寒波は地中海を越え、北アフリカのアルジェリアでも雪を降らせている。今年の寒波は何が原因だろうか?
一般的に日本の冬の寒さは、「エルニーニョ」、「ラニーニャ」など低緯度の影響と、「北極振動(気圧の変動現象の1種)指数」の正/負など高緯度の影響の組み合わせで暖冬/寒冬が説明される。しかしながら、2011/2012年の冬のような場合、両者の組み合わせでは説明できないこともあり、予報という観点からも問題が残っている状況だ。
海洋研究開発機構(JAMSTEC)は2月1日、冬季バレンツ海を発生源とする低気圧の経路が近年の海氷減少に伴い通常より北側を通過していることを気象データの解析により示したと発表した。
この低気圧経路の変化によって、北極海上はより暖められる一方、シベリアでは北からの寒気が入り込みやすい状況が形成される。これは地球温暖化が進行しているにも関わらず、近年の日本の冬が寒い原因の1つであることを意味し、海氷減少と北極温暖化が中緯度の気候変動と密接に関連することを示した極めて重要な知見だという。
死者300人超える 孤立した村で出産も
1週間以上にわたって厳しい寒波に見舞われている欧州は、2月5日も広い範囲で空の便の乱れや救急隊が出動するなどの事態が続き、各地で死者が相次いだ。
フランスで2月5日、ホームレスの男性が死亡しているのが見つかったことで、今回の寒波によって死亡が確認された人は欧州全域で306人になった。路上での凍死のほか、日雇い労働者向けの暖房がないアパートや火災避難口、街頭に作られた簡易シェルターで亡くなった人もいる。
英国では、欧州最大のハブ空港ロンドン(London)のヒースロー空港(Heathrow Airport)で6センチの積雪を記録したため、予定されていた発着便1300便のおよそ5割が欠航した。ほかにも英各地の幹線道路で前夜から降り積もった雪のため多数の車両が立ち往生した。
ウクライナでは約1800人が病院に収容されたほか、7万5000人が暖房や食料を求め、国内各地に設置された約3000か所のシェルターに避難した。セルビアでは、雪で交通が遮断され孤立した村が続出し、警察や軍が出動して孤立した7万人あまりに生活物資を届けている。
一方、寒波に見舞われるなかでクロアチアからはおめでたいニュースが届いた。吹雪で孤立した村で、妊娠していた女性が救急隊も到着できない状況のなかで隣人2人の助けを借りて、無事に女児を出産した。女の子は、クロアチア語で「雪のように白い」という意味のSnjezanaと名づけられたという。(2012.2.6 AFP)
寒波はバレンツ海の海氷減少が原因
一般的に日本の冬の寒さは、「エルニーニョ」/「ラニーニャ」など低緯度の影響と、「北極振動(気圧の変動現象の1種)指数」の正/負など高緯度の影響の組み合わせで暖冬/寒冬が説明される。しかしながら、2011/2012年の冬のような場合、両者の組み合わせでは説明できないこともある。
一方、より大きな空間スケールで見ると、北極の温暖化と対となってシベリアの寒冷化現象がしばしば観測されることがあり、これが地球温暖化の一端として解釈できるのか世界的にも議論の的となっていた。
そこで今回の研究では北極の温暖化が最も著しい冬のバレンツ海に着目し、そこで発生する低気圧の経路が海氷の多寡によってどのように変化し、北極の温暖化とシベリア域の寒冷化にどのような影響を与えているのかが調べられた次第である。
今回の研究では、バレンツ海の海氷が少ない冬は低気圧の経路が通常のシベリア沿岸域よりも北極海側にシフト(北上)することを見出し、その結果形成される気圧配置の変化が北極海上の温暖化を促進する一方、大陸上では寒冷化が起こりやすい状況になることを明らかにした。
ここで形成された寒気は数日後には日本に到達することが多く、日本の冬の寒さとも密接に関連する。今回の研究で、この北極の温暖化と大陸の寒冷化のパターンは「WACS(ワックス:warm-Arctic cold-Siberian anomaly)偏差」と名付けられた。
現在の長期予報のもととなる数値モデルでは、バレンツ海などの海氷分布は平年値を利用しているため、各年の海氷の多寡に関する情報は計算に反映されず、低緯度におけるデータに強く左右される状態だという。各年の海氷分布を反映させるなど数値モデルの改良を行うことによって、より数値モデル精度の向上が可能となることが期待されると、猪上主任研究員らは語っている。
また、北極海の海氷減少は進行中であるため、中高緯度の大気や海洋が今後どのように変化していくかは将来予測モデルの結果を用いて検証していく必要があるともコメントしている。(JAMSTEC 2012/02/02)
参考HP JAMSTEC 今冬の日本の寒さはバレンツ海の海氷減少が発端
海から見た地球温暖化 | |
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光文社 |
この真実を知るために地球温暖化 改訂版―何が起きるのか?どう克服するのか? (ニュートンムック Newton別冊サイエンステキストシリーズ) | |
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