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 花粉シーズン到来
 いよいよ花粉の季節が到来した。私は2月21日頃から、鼻がむずむずしていたが、気象情報会社ウェザーニューズによると、2月27日に、関東の1都6県が本格的な花粉のシーズンに入ったと発表した。全国千カ所に設置してある花粉観測機により、関東各地の観測点でこの日までに花粉症の症状が出る飛散量を超えたという。

 飛散開始日予測は、一般的には1月1日からの日最高気温の積算値から推測され、関東ではこの値が400℃前後になると花粉飛散が開始すると言われている。関東はすでに400℃は超えているとのこと。今年は厳しい寒さが続いたため、花粉飛散が昨年より1週間遅れているそうだ。

 立春を過ぎて、その年の最初にふく、強い南風のことを「春一番」というが、こちらのほうも、寒さのために遅れている。昨年は2月25日だった。春一番は主に太平洋側で観測される風で、このように特定の地域で観測される風を、地方風とか局地風という。地方風の主なものに、からっ風、春一番、木枯らし、六甲颪(おろし)、やませ…などがある。

Earth_Global_Circulation

 また、シベリア高気圧と小笠原高気圧の境界にあたる日本などでは、季節によって高気圧の勢力が変わるため、風向にも季節性が現れる。このように季節性のある風を季節風(モンスーン)という。季節風の支配が強い地域は温帯・冷帯地域に多く、大陸の辺縁部に多い。

 また、海岸付近では日中と夜間で風向が逆転することが多く、これを海陸風という。山と谷の間でも同様に逆転することがあり、山谷風という。

 ジェット気流と大気循環
 もっと大きな範囲でふいている風もある。一般的に、地表は地形の影響を受けて風速が弱まり、風向も乱れが多い。しかし、上空に行くほど風速は速くなり、風向も規則的に並ぶようになる。また、上空には風速が非常に速いジェット気流という気流が帯状に分布し、季節や短期の気圧配置に伴い移動している。

 地球全体を観察すると、いつも一定方向にふく風の流れが観察できる。これを大気循環とよぶ。地球の大気の大規模な循環のことである。太陽から地球への熱の供給が原因となって発生する。

 一見、大気の流れは絶えず移り変わっているように見えるが、地球規模で見ると大気の流れは基本的に一貫しており、大規模な循環の構造を成している。しかし、大量の熱(太陽エネルギー)を受けるために熱帯における循環は不安定であり、十数日単位で流れが変化し、その予測が難しい。熱帯低気圧の発生の予測が難しいのもこのためである。

 緯度によって太陽からの熱エネルギーの供給量が異なるため、赤道(0°)付近、中緯度(30°)付近、高緯度(60°)、極(90°)の4つの緯度付近には、それぞれ気圧の異なる地域ができる。この気圧差によって、高圧帯から低圧帯に向かう風の流れが作られる。この循環には、ハドレー循環、フェレル循環、極循環の3つがある。さらに、地球の自転と地軸(赤道傾斜角)の傾きのために、その循環は複雑な構造を成している。

 ハドレー循環とは?
 18世紀にイギリスの気象学者ジョージ・ハドレーがその理論を提唱したことからこの名が付いた。赤道付近には地球上で最も多くの太陽熱が供給されるため、暖められた空気が上昇して境界圏まで達し低緯度地域の上空へ流れ込んだところで冷やされて下降し、高気圧(亜熱帯高圧帯または低緯度高圧帯)となる。

 その高圧帯から赤道付近へは「貿易風」が吹き込む。地球の自転の影響によって、貿易風は北半球では北東貿易風、南半球では南東貿易風となる。ただし、季節によって太陽が天頂へ来る地域は変わるため、正しくは「赤道」ではなく「熱赤道」となることに注意しなければならない。ハドレー循環は、他の循環に比べて成因が簡単であり、説明も容易だとされる。

 ハドレー循環によって、熱赤道周辺では大気が上昇して年間を通して気圧が下がる。この地域を熱帯収束帯または赤道低圧帯と呼ぶ。

 フェレル循環とは?
 19世紀にアメリカの気象学者ウィリアム・フェレルによって理論付けられたため、この名が付いた。フェレル循環は、熱力学的に見るとハドレー循環と極循環の2つの大循環によって引き起こされる2次的な循環だといえる。低緯度側ではハドレー循環によって大気が下降する一方、高緯度側では極循環によって大気が上昇している。この流れに合わせる形で、大気が渦を巻き循環していると考えられている。

 フェレル循環によって、極東風や貿易風とは正反対の向きに風が発生する。これは「偏西風」と呼ばれ、フェレル循環と極循環の境界付近で最も強くなり、強い西風(ジェット気流)となる。ジェット気流は、亜熱帯高圧帯と極高圧帯の境界となっている。

 フェレル循環は、亜熱帯高圧帯をつくる熱帯性気団と極高圧帯をつくる寒帯性気団の動きに左右される。2つの気団の境目は気圧が低く温度差も大きいため、常に低気圧(温帯低気圧)が発生しては消滅することを繰り返している。この繰り返しによってこの付近は年間を通して気圧が低い地域となり、高緯度低圧帯ができる。

 ハドレー循環や極循環が1つの閉じられた大気の渦であるのに対して、フェレル循環は閉じておらず不完全で、地上付近ではその影響が顕著に現れる。大気の高層で風が西寄りのときにも、地上付近ではそれに関わらずさまざまな向きに風が吹くことが多い。寒冷前線の通過時には、風向が急変することもあるほか、低気圧が北にあるときは何日も東風が吹き続けることが多い。

 極循環とは?
 赤道付近に比べて温度は低いものの、60°付近の大気は極地域に比べて暖かく湿潤である。このため、この付近で温められた空気が上昇する。するとこの付近の大気の下層部は気圧が下がり、高緯度低圧帯が発生する。極地域からはこの高緯度低圧帯に向かって大気が流れ込むが、コリオリの力を受めるため東寄りの「極東風」となる。極東風の風向は、北半球では北東、南半球では南東となる。

 ロスビー波のため、極東風は大気に倍音の波を発生させる。この倍音は、極循環とフェレル循環によって大気が上昇する地域を流れるジェット気流の流路に影響を与えている(偏西風の蛇行)。

 極循環は、低緯度地域から運ばれた熱を解消するヒートシンクの役割を果たし、地球上のエネルギー収支のバランスをとっている。極循環によって寒気と暖気が衝突し、カナダやヨーロッパなど高緯度地域では発達した低気圧による激しい嵐に見舞われることがある。しかし、極地域では大気が下降して高気圧(極高圧帯)となり大気は安定している。そのかわり、気温は非常に低い。(Wikipedia)

参考HP Wikipedia  大気循環

謎解き・海洋と大気の物理 (ブルーバックス)
クリエーター情報なし
講談社
偏西風の気象学 (気象ブックス)
クリエーター情報なし
成山堂書店

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