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 90歳のお年寄りから学ぶ最新テクノロジー
「温故知新」とは、前に学んだことや昔の事柄をもう一度調べたり考えたりして、新たな道理や知識を見い出し自分のものとすること。古いものをたずね求めて新しい事柄を知る意。孔子の論語に出てくる言葉だ。


 私たちは昔の人の知恵に学ぶべきかもしれない。大量消費の時代が終わり、現在、地球温暖化、原子力発電事故などの影響から、エネルギーを節約・省エネする時代になっている。

2012年3月14日NHK放送の、クローズアップ現代は興味深かった。東北大学では90歳前後のお年寄りから、彼らの子どもの頃から働き盛りだった1960年代の暮らしぶりを聞き取る調査を行っている。

 その頃の日本は、家庭のエネルギー消費量が現在のおよそ5分の1から3分の1以下、便利さはなかったものの自然と共生した心豊かな生活が営まれていた。その暮らしの“知恵”の中から現代社会でも通用するコンセプトを抽出して最新テクノロジーに生かし、成熟社会の新たな生活のあり方を考え出そうという狙いだ。

Wisdom

 お年寄りから“生活の知恵”を聞く
 東北大学の古川柳蔵准教授は、90歳前後のお年寄りから聞き取り調査をしている。 この日、訪ねたのは宮城県の山あいの集落の農家。 86歳の高橋敏幸さんといそ子さん夫妻。

 「各家で近くの湧き水から水を取ってるんですか?」 「そうそう。」 古川さんたちはおよそ2時間かけて昔の暮らしぶりを聞き出していく。 「湧水、水路作って水船、家の中に水船作って。その水船の中にイワナがゴチャゴチャ入ってくるんだわ」

 イワナが飛び込んできたという水舟が今も残っている。山の湧き水を引き込み、上の段を飲み水に、下の段を食器や野菜洗いに使う、水を大切に使うためのシステム。 自然を生かす巧みな技術が暮らしに取り入れられていた。

 「自然に対して あまり無理しないことだな 無理すれば必ずどっかで破れていくんだ」 聞き取りは山村の暮らしから町の暮らしまで広範囲に及ぶ。

 味噌の貸し借り
 仙台市内に住む、ことし98歳になる佐藤すずさん。 「今も動くんですか?」 「動くよ」 80年近くこのミシンを愛用してきた。 家族はもちろん、親戚や近所の人たちにも洋服や着物を縫ってあげて喜ばれた。 「これおばあちゃんが自分で作った洋服?これなあに?スカーフ?」 「ネクタイでしょ」

 昔はお互いに支え合うつながりやおおらかさがあった、という。「お風呂も頂いてね、みそ、しょうゆも頂きました。」「それは隣近所の人たちからですか?」「隣近所っていいもんですね。昔はね、助け合いですね。何もない時は、それでも楽しかったですね。なければないなりにね。」

 調査にあたった東北大学大学院 古川柳蔵准教授はいう。「90歳の方々から聞くと我慢じゃなくて、その中にやっぱり楽しみがあったり、知恵があって、なんかそういう豊かなところっていうのはぜひ将来のわれわれの社会作りに生かしたいなと」

 90歳から聞き取った調査結果を先端技術にどう生かすのか。研究チームはまず130人以上の聞き取り結果の中から、現在、失われつつある物事を抜き出していく。そして、その物事を支えている要素は何かを考える。

 例えばうっかり調味料を切らせたとき、隣人と融通し合うみそやしょうゆの貸し借りには、おおらかさ、助け合い、そしてお金に換算できない価値があると考えた。また、水くみや炊事洗濯のために近所の人たちが集まり、会話に花を咲かせる井戸端会議。そこからは出会う仕組みと場、大事なことでつながる地域地域の楽しみを聞き出した。聞き取りから抽出された要素はおよそ70余り。

 それを20代から60代の男女にアンケートを取り、現在の生活にも活用できるか調査した。すると自然や社会的なつながりに関連の深いキーワードが重要だと分かってきた。

 生活の知恵+最新テクノロジー
 90歳から得たキーワードをもとに、新しいテクノロジーを開発している研究施設がある。

「家は生産の場」というキーワードをもとに家の中で発電できるさまざまなシステムを導入している。部屋の隙間から入る僅かな風でも回るマイクロ風力発電。そして、雨水がといを流れ落ちる力を利用した水力発電もある。みそやしょうゆの貸し借りや共有をキーワードに生まれたのがこちらのバッテリー。

 「ポイントは必要なときに抜いて、それでいろいろな所へ持って行ける。エネルギーを必要に応じて動かせる」みそやしょうゆのように、地域でエネルギーを融通し合いより楽しく豊かな暮らしを可能にする。

 東北大学大学院 田路和幸教授「90歳のヒアリングを通じて科学技術をやっている人間がイメージすることができた。その街作りとかいうところにそのイメージがしっかりしたもんですから、いろんな展開っていうのはこれから可能になってくるだろうなと思います。」

 この研究には、大学以外に企業も参加している。住宅メーカーに勤める佐藤哲さん。90歳への聞き取り調査を行った。そこで得たアイデアをもとにパークレットという新たな憩いの場を作ろうとしている。パークレットとは太陽光発電とバッテリーを組み合わせた現代版の井戸端。

 携帯電話などを充電したり電磁調理器で料理を楽しんだりする人たちが集う。自然エネルギーが人と人とをつなげる地域の新しいコミュニケーションの場だ。 仙台市郊外の住宅分譲地。「この辺りですね。」

 ことしの夏ここに初めてのパークレットが設置される予定。「今回、90歳ヒアリングから聞いたこのパークレットで全く新しい光景がここに出来るんじゃないかなと思って期待してます。」(NHKクローズアップ現代)


参考HP Wikipedia ヨシ GOODNEWSjapan ネイチャーテクノロジーで環境負荷を最小限に Blue Economy Innovetion http://www.blue-economy.net/ NHKクローズアップ現代 90歳が変える未来のテクノロジー

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