おいしい解凍法発見!
肉を家で冷凍すると、解凍した時に赤い液体が出てくるのはなぜだろう?
これが“ドリップ”というもの。冷凍したときに細胞が壊れるので、その中身が漏れ出すのがその正体。肉や魚を企業が冷凍する時には、-60℃で急速冷凍するので、細胞は壊れない。しかし、普通、家庭の冷凍庫は-10℃くらいの温度で冷やすため、肉や魚を冷凍するのに長時間かかる。その間に、細胞内の血や旨味を含んだ水分が初めに凍って膨張して、細胞膜を壊してしまうことがある。
ところが、急速冷凍したものでも、解凍方法が悪いと“ドリップ”が出て、べちゃべちゃになり、味が落ちてしまう。今度は溶ける段階で細胞が壊れてしまうからだ。では、冷凍食品の解凍はどうすればよいのだろうか?
解凍方法というと、これまでは冷蔵庫や電子レンジで解凍したり、流水や常温で解凍する。しかし、どれも上手く行かなかったので我が家では、肉や魚は冷凍保存していない。しかし、上手に解凍する方法があった!
そのヒントは鹿児島県枕崎市の鰹節工場にあった。工場の研究者、稲田明宏さんはカチカチになったカツオを、うまく解凍する方法を開発!新しい解凍方法で、鰹節のうまみ成分「イノシン酸」が1.5倍に増えた。新しい方法のポイントは熱伝導率と温度差にあった。
この方法を家庭でも試したところ、水っぽかったマグロやカニも新鮮でプリプリ、美味になった。おまけに常温解凍より速かった。いったいどうするのだろう?稲田さんは企業秘密なので、装置の仕組みは教えてくれなかったが、ヒントを教えてくれた。冷凍カツオの温度を測ると始めは-20℃、解凍後は-2℃。まだ凍っているのでは?いえ、カツオの場合はこれで十分なのだ。
2012年03月14日、NHK「ためしてガッテン」放送の「冷凍解凍に新ワザ誕生、速い!プリプリ!美味」では、おいしい解凍方法を科学的にも納得できる方法で解説してくれた。
溶けるとは何だろう?
まず溶けるとは、正式には融解といい、固体が液体に変化することである。また、そうさせるために加熱することである。固体が液体に変化する温度を融点、液体に変化した物質の状態を液相という。固体の温度を融点まで上昇させるためには熱エネルギーを必要とする。さらに固体が液体に変化する過程自体にも熱エネルギーが必要とされるが、これは融解熱(潜熱)により液体そのものの中にエネルギーが吸収されるためである。
次に食品の解凍とは、凍った食品の温度を上げて調理できる状態または食べられる状態にまで戻すことである。市販されている冷凍食品については、その解凍方法などが商品に記載されているので、その方法に従うことになる。調理済み食品を冷凍したものは、特別な解凍作業を行わずに、凍ったまま焼いたり揚げたりする方式が通常である。
冷凍食品はよいが、生肉や鮮魚の解凍についてはどうするのだろう?これまでの解凍方法を見てみると…
まず常温で、自然解凍するのは、冷凍された食品を室内に置いて室温で解凍する方法である。冷蔵庫での自然解凍は、冷凍された食品を庫内が氷点下ではない冷蔵庫に移すことで解凍する方法である。低温で解凍できるので味が損なわれにくく、衛生的であるが、時間がかかる。
次に、流水・水中解凍では、冷凍された食品を袋に入れて外側から水道水などの流水に当てて、あるいは冷水中に置いて解凍する方法。食品によっては、うまみや栄養分の流出に注意が必要になる。
次に、急速解凍法としては、加熱解凍がある。これは、冷凍された食品を凍ったまま茹でる、煮る、温水に浸す等の方法により加熱して解凍する方法。熱した湯や油でそのまま加熱調理されることもある。
電子解凍(電子レンジ)では、電子レンジに解凍用の特別な加熱機能が付いているものがあり、短時間で衛生的に解凍することができる。刺身などの生食材の解凍にも利用できるという。(Wikipedia)
しかし、どの方法よりも細胞を壊すことなく、しかもおいしく頂ける解凍法を番組では紹介してくれた。以下は番組ホームページの抜粋である。
「熱伝導率」でスピードアップ!
冷凍の食材を上手に溶かすにはどうすればいいのだろうか?意外な達人がこのヒントを教えてくれた。氷彫刻の職人、二橋一幸さんだ。
氷の彫刻を完成させるとき。表面の凸凹をなくすために一気に表面だけ溶かすという作業がある。このときに「凍ってるものが一気に溶けるアイテム」を使っている。そのアイテムは、プラスチック板、ガラス板、鉄板、木板、アルミニウム板のうちどれ?
正解のアイテムは「アルミニウムの板」。アルミニウムの板を氷の上にのせると、す~っと表面が溶けて一気にキレイになる。このワザのカギをにぎるのが、アルミニウムの熱伝導率。アルミニウムは、熱伝導率が高い=熱が伝わる力が大きい材質なのだ。あたたかい熱はもちろん、冷たい熱だってどんどん伝えることができる。同じ金属の鉄よりも熱伝導率が高い。
だから、氷にくっつけると冷たさがどんどん板のほうに伝わっていくため、結果的に氷の温度があがって速く溶かすことができる。この原理を利用してアルミニウムの鍋やバットの上に冷凍の食材を置いておけば、お皿の上に置いたときよりも圧倒的に速く溶かすことができる。
お寿司屋さんが、アルミの解凍用プレートを使ってネタを溶かしているのを見たことはないだろうか?自然解凍よりもずっと早く解凍できる。熱伝導率はアルミニウム236に対して、空気は0.0241。これでは自然解凍に時間がかかるわけだ。だが、問題は厚みのある食材。冷凍のカニのようなものは板との接触面が少ないため、なかなか溶けない。
オールマイティーな解凍ワザにたどりつくためには、もう一歩、工夫が必要。
「ゴールの温度」を間違えない!
冷凍の食材を上手に溶かすために、他にヒントはないのか。もうひとりの達人が、大切なことを教えてくれた。冷凍のカツオを大量に解凍しているという、カツオ節工場の研究者、稲田明宏さん。
このカツオ節工場では、冷凍カツオの解凍をするとき、解凍が終了するときの食材の温度、つまりゴールの温度を設定するようになってからカツオ節の品質が一気に良くなった。
そのゴールの温度とは、なんと「―2℃付近」。マイナスの温度帯ならまだ凍ってるんじゃないかと思ってしまうが、ここにわたしたちの大きな勘違いがある。
実は、食材が凍る温度は0℃ではない。0℃で凍るのは水だけ。食材の場合は「-3℃から0℃」の間に、凍り始める(=溶け終わる)本当の境界線がある。食品業界では「氷温(ひょうおん)」と呼ばれている温度帯。カツオの場合、溶ける温度は-2℃。つまりこの工場では、必要最低限の解凍だけを行うことで、温度が上昇して品質が劣化するのを防いでいた。
このことを考えれば、わたしたちが日常的に行っている解凍には、大きなムダがあるということ。加熱しすぎなのだ。むやみに温度を上げるのではなく、溶けるぎりぎりの温度帯をゴールに効率よく解凍すれば、時間短縮できて衛生的で品質が劣化もなくなる。
驚きの「氷水解凍法」
氷職人が教えてくれた「熱伝導率の高いもので」カツオ節研究者が教えてくれた「ゴールの温度を超えずに」効率よく解凍するにはどうすれば良いのか?実は、どんな家庭にもあるアイテムを使えば、この両方のことを同時に実現することができる。
そのアイテムとは「氷水」。氷水は空気よりも熱伝導率が圧倒的に高いうえに、1℃付近の低温を保ち続けるという性質がある。このなかに食材を入れておけば、スピードを保ちながら温度をムダに上げることもなく、非常に効率的に解凍することができる。水の熱伝導率は0.6だが、空気の伝導率は0.0241で、約25倍も違う。
氷水につけておいても冷凍食材は溶けないような気がするかもしれませんが…実際は冷蔵庫解凍よりも室温解凍よりも速く解凍できる。何と常温の自然解凍では1時間かかる解凍が、氷水解凍は45分で終了した。
さらに、この方法を研究している東京海洋大学の食品冷凍学研究室、鈴木徹さんによると、氷水解凍だと他の解凍方法よりもドリップが1/3にまで激減する。まさに常識をくつがえす驚きの解凍方法。
【氷水解凍法】:
1.ボウルに氷水をつくる
2.密閉できる袋に食材を入れて沈める(※食材にラップはまかない ※袋の空気はよく抜いておく ※浮いてくるときは重しをする
※袋に氷の膜が張ったら はがす)
3.食材が溶けたら終了 (NHKためしてガッテン)
熱伝導率とは?
熱伝導率(thermal conductivity)は、熱伝導度ともいい、熱伝導において、熱流束密度(単位時間に単位面積を通過する熱エネルギー)を温度勾配で割った物理量。その逆数を熱抵抗率(ねつていこうりつ)という。
熱流束密度をJ、温度をT、温度勾配をgrad T とすると、熱伝導率 λ との関係は次のように表される。 J = -λ grad T
熱伝導率のSI単位はW/(m・K)であり、W/(cm・K)も使われる。
熱伝導率は媒質中により温度勾配がある場合に、その勾配に沿って運ばれる熱流束の大きさを規定する量であり、熱拡散率は温度勾配により運ばれる温度(熱エネルギー)の拡散係数を意味する。ここで、熱拡散係数と熱拡散率は物理的に異なった量を意味するので注意が必要である。
熱拡散係数は,混合物に温度勾配がある場合に、熱拡散により濃度勾配が生じる時の大きさを規定する物理量である。 熱伝導率=熱拡散率x定圧比熱容量x密度 である。(なお、比熱容量x密度は単位体積当たりの熱容量で、体積熱容量と呼ぶ)
また、熱伝導率が一つの物質内での熱の伝わり易さを表す値に対し、物質間の熱の伝わり易さを表す値として熱伝達係数がある。
一般的な材料の室温付近での熱伝導率(単位: W・m-1・K-1)
カーボンナノチューブ(C) 3000~5500
ダイヤモンド(C) 1000~2000
銀(Ag) 420
銅(Cu) 398
金(Au) 320
アルミニウム(Al) 236
シリコン(Si) 168
真鍮 106
鉄(Fe) 84
白金(Pt) 70
ステンレス鋼 16.7 ~ 20.9
水晶(SiO2) 8
ガラス 1
水(H2O) 0.6
ポリエチレン 0.41
エポキシ樹脂("bisphenol A") 0.21
シリコーン(Qゴム) 0.16
木材 0.15 ~ 0.25
羊毛 0.05
発泡ポリスチレン("Styrofoam") 0.03
空気 0.0241
参考HP Wikipedia 熱伝導率 NHKためしてガッテン!冷凍解凍に新ワザ誕生、速い!プリプリ!美味
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